こういうのは含みません
かばんの底に10円玉が入っていた。
買い物のおつりを適当に放り込んだからだ。500円だと財布にしまうが、10円だとそうすることがある。
そのお金は使われずにかばんのなかに放置されたままになる。もったいない。いつか後悔する日が来るんじゃないかと思う。
そんな日が来る前に、10円の価値を確かめたい。この21世紀の東京で10円で買えるものを探します。
※2005年11月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)
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秋葉原ラジオデパート
10円で買えるものを考えていきなりここに来てしまった。自分のなかのアンタッチャブルな部分に触れるようだ。
でも、上の写真を見て毛穴が開くような感覚に襲われる男子も多いかもしれない。多いかもしれない、なんて他人事のように書いたが僕のことだ。ムフー。
ラジオデパートはパーツ屋さんが集まっているビルである。各店舗ではプラスチックの取り皿に電子部品を自由に乗せて選ぶシステムになっている。機械の体がただでもらえる星のサラダバーみたいなものである。
ここで10円で買えるものは…。
どうでしょう。ちまちました未来が10円で買える。抵抗とか使い道ないけどちょっと嬉しい。抵抗とかLEDついてる食玩があったらきっと買うね。
どこのお店も10円の商品をビニール袋に入れてくれるた。ただ、
「領収書でないけど、いい?」
と言っていた。ええ、今回は自腹でもぜんぜん平気です。
路上でも10円の商品発見
中古のシングルCDを10円で売ってないか調べていたところ、予想外の10円商品を発見。
健康食品が10個10円で売られていたのだ。1個1円か…。
隣にいた若者が
「これ、からだに悪いってことないよな…」
と話していた。いや、まあ確かに安すぎるとそんな気がしなくもないね。
浅草橋のシモジマへ
次、総武線にひと駅乗って、シモジマへ。包装用品やディスプレイ用品の専門店だ。
Zくんのお面やZくんの頭を入れる段ボールなど、実は本サイトでよく利用するお店である。
ここなら10円のものがあるかもしれない。
………。
たしかに1個あたり10円程度のものはたくさんあるのだが、1個売りしていない。100個でいくら、という価格設定である。
ここでは10円のものを見つけられず、ポチ袋が10枚28円だったのでそれを買う。
しかしあとから1個10円という企画趣旨とは違うし、べつにポチ袋も欲しくないことに気づく。
なんで買ったんだろう、総武線のなかで思った。
駄菓子屋
10円ショップの王道、駄菓子屋にも行ってみる。以前の記事「萌え萌え業務用」で訪問したお店、エワタリさんだ。前回は箱単位で買ったが、ここは1個単位でも購入できるのだ。
箱買いしたい衝動を抑えて、ひとつずつ買ってきた。
きつねうどんをフューチャーしたスナック菓子のパッケージに堂々と「きつねなし」と書いてあるところに惹かれた。
だっても10円だもん。10円の潔さに憧れる。
ポイントカードで買えた気分
ずいぶん長い時間買い物をしていたが使った金はわずか80円である。
机のなかや鞄のそこの10円玉をかき集めれば買えてしまう金額である。ヨドバシカメラで「ポイントだけで精算できました」って言われたみたいなサプライズだ。
鞄のそこの小銭は天然のポイントカードである。
格言みたいなことをメモしていい気分になったところで、さあ、次のお店へ。
ハンズだよ
10円でなにが買えるか、という前に僕の給料のほぼ半分はハンズに消えている。使い道のない計測器やただ小さくて便利そうな瓶。デイリーポータルZに登場しなくても使途不明のものを買っている。
無駄遣いのリベンジとして10円のものを買おうじゃないか。
マジックテープの切れ端が10円で売っていたのだが、袋を開けてみたら片方だけだった。かなり使い道が限定される。
いや、このテープにもどこか活かせる場所がある。そういう店員さんの想いが伝わるようだ。
「彼だって、得意分野があるはずです!」
だめな生徒をそう励ます中学教師のようだ(でも、たいていグレる)。
買ったもの
ひも、ゴム、スポイト…。価格こそ10円だが、いらないものを買って満足しているところはいつもといっしょである。
ただ、値段が安い。これだけ買って110円だ。
ジュースより安いというところがまた興奮する。全体に道路に落ちてるものっぽいな、ということは気づいているので言わないでください。
合羽橋
飲食店向けの問屋街、合羽橋である。買い物というとすぐここに来てしまう。
10円で買える食器などないだろうか。10円で食器が買えたら、もう二度と10円玉をポケットに入れたままにしたりしません。
安いんだけど、さすがに10円はない。
紙皿や割り箸などの消耗品は1個あたり1円だとかものすごく安いのだが、当然1個単位では売ってくれない。
10円じゃなくても18円でお茶わん買えたからいいか。
また企画趣旨を忘れてレンゲの受け皿とか もんじゃのコテ、18円のお茶碗を買ってきてしまった。うちにレンゲないのに。
レンゲの受け皿に棒をつけてレンゲにしようと思う。
最後はユザワヤ
ビーズとか毛糸とかフエルトなど、フワフワしたりキラキラしたものがそろう店である。おもに「あら素敵じゃなーい」という語で形容されるアイテムだ。
ここで10円の価値を探す。
ビーズばら売りのコーナーで1個10円のビーズを発見。1個くださいとは言えずに10個買ってしまった。それでも100円だ。
もうひとつ、天然の貝殻を使ったビーズも1個10円だった。フランスのものらしい。
貝を拾って、穴を開けて、飛行機で運んできたものが10円ってすごい。遠いところで貝に穴を開けている人の給料が心配だ。
10円で買うことが楽しい
10円で買えるものはかなりあった。わかったことは
・意外に金属製のものが多い
・ちまちましててかわいい
・やっぱり要らないものもある
・10円で銅のかたまりの10円玉ってすげえ
などである。しかし、際限なくある商品から10円のものを探すのが楽しかった。記念に買ったって10円だし。鞄やズボンのポケットに入れっぱなしの10円でかなり遊べます。
王様のブランチで10円ショッピングを取り上げる日も近いよ。きっと。