QRコード付きのタグで 再販 を簡素化:コペンハーゲン発のファッションブランド「 サムソサムソ 」

DIGIDAY

ファッションブランド「サムソサムソ(Samsoe Samsoe)」が衣服にQRタグを取り付け、サステナビリティへの取り組みを拡大している。Meta(旧Facebook)のマーケットプレイスでの再販をより簡単に行えるようにすることが目標だ。

サムソサムソは1993年、クラウス・サムソ氏とプレーベン・サムソ氏の兄弟がコペンハーゲンで立ち上げたブランドで、デンマーク、英国、ドイツなどに実店舗を45軒構える。現在は欧州、米国、カナダ、豪州などで販売され、米国ではノードストローム(Nordstrom)でも取り扱われている。また、卸売パートナーを通じても販売され、世界中で1,500以上の卸売業者と提携する。製品の価格帯は19ドル(約2,500円)のアクセサリーから750ドル(約98,000円)のコートまで幅広く、2021年の収益は1億2700万ドル(約166億円)以上を記録した。2019年からはサステナビリティ関連のイニシアチブへの投資を増やしている。

QRコード記載のタグの役割

新しい再販用タグは衣服に縫い付けられており、MetaがFacebookやインスタグラムで展開するマーケットプレイスと接続されている。アンクル・グレイ(Uncle Grey)のクリエイティブ・チェアマン兼最高戦略責任者であるラース・サミュエルセン氏はこのように語る。「可能な限り自動化されたシームレスなプロセスだ。QRコードがスキャンされたら製品について自動的に投稿されるよう、広範囲にわたるデータソースを活用する。同時に、Facebookとインスタグラムをまたぐ投稿に使われる、衣料品関連のメディア予算も有効活用できる」。データには製品のスタイルや価格、サイズ、写真、場所、購入日などが含まれるという。

Metaとのパートナーシップは結んでおらず、すべてのトランザクションは売り手と買い手の間で直接行われる。サムソサムソもMetaも、やりとりに積極的に関わったり、買い手や売り手から手数料を取ることはない。発送やその後の展開について責任を負うのは消費者であり、サムソサムソが関与するのは、データを活用してリストに含まれるユーザーに情報を提供することのみだという。

製品のライフサイクルを延ばす

QRコードを活用するアイデアが生まれたのは、アンクル・グレイとのミーティングの最中だった。両者は製品ライフサイクルのイニシアチブを立ち上げるため以前より協業していたのだ。

「サムソサムソの製品は、何年にもわたって着用するのに適した非常に優れた品質と、流行に左右されない普遍性を兼ね備えている」とサミュエルセン氏。「同ブランドは常に、より一層責任を果たす形で運営していこうと推進してきた。しかし、すでに生産された衣服を最大限に活用するという点については、見落とされてきたのだ」。

サムソサムソのQRコードは、これらのイニシアチブに完全に沿ったものだ。「当社製品のライフサイクルを延ばすのは、すばらしいアイデアだと考えている。生産方法をサステナブルにすることだけでなく、製品が長持ちし、長期間着用されるという点でもサステナブルになるからだ」と、サムソサムソのCEOであるピーター・セクストス氏は語る。

QRコードはまずデンマーク国内の店舗で、25種類の衣料品でテストされる。その後、テストで望ましい効果が得られれば、国際市場全体に向けて展開され、すべての衣料品にタグが付けられることとなる。テストがどれだけ早く完了するかによって実装のスケジュールは変わってくるが、年末までの導入を目指している。

衣類購入と同じくらいシンプルに

リセール・プラットフォームの数が増えるなか、ブランドが無料で提供する再販サービスの魅力といえば利便性だろう。消費者による入力の手間はほとんど必要なく、衣類を購入するのと同じくらいにシンプルなものであるため、簡単かつ迅速に始めることができる。2021年の第1四半期にFacebookマーケットプレイス(Facebook Marketplace)に登録した月間ユーザー数は10億人を超えており、ターゲットとするには魅力的なプラットフォームといえよう。

「私たちは可能な限り、ダイナミックであろうとしている。そしてこの業界がどのように機能するか、常にチャレンジし続けている」とセクストス氏。「私たちのタグには、手数料がかからない。私たちから提供するのは製品のデータのみで、ユーザーがそれをFacebookに載せて再販することができるという仕組みだ」。

同ブランドのマーケティング戦略はソーシャルメディアや店舗ディスプレイなど、購入に近い媒体に重点を置いている。主たるオーディエンスとしてターゲットに設定しているのは、ファッションに敏感な20~45歳の男性ならびに女性だ。今後数カ月で西ヨーロッパや東アジア、米国で店舗を増やす計画を立てており、スカンジナビア・デザインに焦点を当てつつ、サステナビリティのミッションをより多くのオーディエンスに届けたいと考えている。

必要不可欠な循環型ビジネスモデル

独立型のキャンペーン組織「グリーンピース(Greenpeace)」によると、非常に多くの衣料品が無駄になっている。未使用のまま廃棄される衣料品は、世界中で毎年約5,000億ドル(約65兆円)と推定される。

また、経営コンサルティング会社「マッキンゼー(McKinsey)」とグローバル・ファッション・アジェンダ(Global Fashion Agenda)が2020年に発表したレポートによると、温暖化による気温上昇を1.5℃に抑制するには、2030年までに2割の衣料品が再販売や修理、リサイクルといった循環型のビジネスモデルに転換する必要があるという。つまりブランド側にも、製品が売れた後のライフサイクルについて考慮する必要があるということだ。

[原文:Scandinavian brand Samsoe Samsoe is using QR codes and Facebook Marketplace to simplify resale

ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:田崎亮子、編集:黒田千聖)

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