ぼーっ
街角は通りすぎるもの。
駅から会社へ。現在地から目的地へ。赤信号など、移動できない理由がないかぎり、人はどこかに無為に立ち止まっていたりはしない。
でも、たまには立ち止まって、同じところから街角をただずーっと眺めてみるのも面白いんじゃないかと思った。
※2005年12月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
ようするに一日中ボーっとしてるわけです
というわけで、街の一角をただひたすら眺めてみることにしたい。時間は24時間。おはようからおやすみまで、一日の変化を見つめてみるのだ。
なんというヒマな企画。場所はどこでもいいのだけど、ふだんの通勤でよく通る新宿駅西口の交差点を選んでみた。
東京の新宿駅西口の交差点にて
昼の風景
そして、上の写真が交差点のお昼の風景。
「おはようからおやすみまで」というタイトルのはずが、おはようを通り越していきなり「こんにちは」というべき時間になっている。
いきなり寝坊しました。
タバコをめぐる攻防
知らなかったのだけど、いまでは新宿区でも路上での喫煙が禁止されているらしい。
交差点の角に、それを啓蒙する係の人が立っていた。
お話を聞いてみると、
「自分たちがいる間はみんなも吸わないんですけどね・・」とのこと。
眺めていると確かにそのとおりで、係の方が別の場所に移動すると、ごくたまにではあるけれど、ふつうにタバコを吸っている人を見かけるのだった。
がんばれホットペッパー
別の場所では、道行く人に「ホットペッパー」という飲食店等の情報誌を配っている女性がいた。
一生懸命に声をかけるのだけど、ほとんどの人は受け取ってくれないようだ。
しばらくすると、10人めくらいに声をかけた男性が受け取ってくれた。
「受け取ってくれた」という書き方にも表れているとおり、この時はわがことのように嬉しかった。
ふだんは自分でも受け取らないくせに。
ただし渡すべき冊数はこんなにある。先は長い。
ちなみに、信号待ちをしている人々に声をかけた場合、最初のひとりが受け取ると他の人も次々に受け取ってくれる傾向があるようだ。
だれかがヤラセで最初のひとつを受け取ればいいんじゃないか?
夜の風景
ビッグエコー vs 魚民
夜の新宿では仁義なき戦いが繰り広げられていた。
舞台はこの「カレイドビル」。
ともに4Fのテナントであるカラオケのビッグエコーと飲み屋の魚民が、帰宅前の客を呼び込もうと互いにしのぎを削っていたのだ。
タイムリミットはともに終電まで。
それまでにいかの多くのお客さんにお店に来てもらえるか。
2店の熱い戦いを見てみよう。
しかし客は立ち止まらない。
未明の風景
基本的に無人になる
終電の時間をすぎると、駅周辺は急に人がいなくなる。
さきほどまでの喧騒もウソだったかのように、急に静まり返る。
だれもいない、何も起こらない街角は寒さも肌に染みるようだ。鼻水が出てきた。
そして午前3時ごろになると、あちこちの場所で本当に人が一人もいなくなる。
以下は新宿駅前なのに人がいない写真集です。
靖国通りのとおるガード下。
タクシーすら通らない。
道の真ん中で寝る、というのをやってみたかったけど、法に反するのでやめておいた。
東口と西口のあいだを抜ける自由通路。
ふだんからそんなに混んでいるわけでもないけれど、ここまでガラガラということはない。
これだけ長い道が空いてたら何かできそうだ。ボウリングとか。
冒頭の写真の一番左側あたりにその入口がある思い出横丁。
こういう風に撮るとさみしげに見えるけど、じつはかなり早い時間からもともと人通りが少なくなる。
ここもボウリングができそう。
そして夜の定番、工事
未明は、まちのメンテナンスが行われる時間だ。
鉄道だと、始発までの間に線路の点検などが行われるし、道路の場合は道を掘り返して水道管工事などが行われたりする。
どちらも、朝、まちが再び動きだすまえにその作業を終える必要があるから、内容によってはかなりシビアなものもあるんだろう。
朝の風景
朝は掃除の時間
朝になった。まちはまた騒がしくなる。
人々があわただしく駅に向かう一方で、あたりの掃除をする方も多く見かけるようになる。朝はまちの掃除の時間なのだ。
人間に例えると朝風呂に入る感じか。夜入らずに朝入るタイプなのかも。
そして店が動き出す
7時、8時、9時。節目の時間ごとに、閉じていたシャッターがガラガラと開く音が聞こえてくる。
お店が開いていくと、まちもようやく起きてきたような気になる。
いい加減おなかが空いたし、それに寒い。
朝早くから開いていたおそば屋さんで、あたたかいおそばでも食べることにした。
ここの開店は朝6時45分らしい。
あたりでは一番早くに開く食べ物屋さんだ(24時間営業をのぞいて)。
ごはんを食べると元気が出てくるように感じる。
仕事に行こう
信号待ちで学生が眠い目をこすっている。
朝8時。ふだんならぼくはまだまだ眠っているころだ。
交差点にも日が差し込み、だんだん暖かくなってきた。バスやトラック、道をとおる車もにぎやかになる。
ぼくもそろそろ仕事に行かなきゃ。
長い一日でした
ぼくはボーっとするのが好きなほうだ。何も考えずにただ時間を過ごしたい。
とはいえ、こんなに長い間、とくに何もしないという経験はもちろん初めて。座る場所もないし、寒いし、眠いし、大変だったけど、ふだん見たことのない景色を見ることができて、楽しかった。
ふつう、交差点にとどまる時間は長くても1分くらいだ。どんどん人が入れ替わるのをみていると、自分の時間だけがとまっているような、妙な気分になる。
そろそろ、向こう側に戻ることにします。