開幕ダッシュに成功し、首位を快走している巨人に陰りが見えてきた。
2022年4月29日から本拠地・東京ドームで最下位・阪神にまさかの同一カード3連敗。打線がつながりを欠き、救援陣が終盤に大量失点で崩れるパターンが続いた。大きな痛手は、主将・坂本勇人の戦線離脱だ。同月30日の阪神戦の守備で負傷し、翌5月1日に「右膝内側側副靱帯損傷」で登録抹消された。
坂本は今季29試合出場で打率.283、3本塁打、11打点。精神的支柱としても不可欠な存在だっただけに、チーム一丸となって乗り切るしかない。
「靭帯損傷は早期復帰できる軽傷ではない。考えなければいけないのは遊撃の守備の負担です。坂本の守備は抜群の安定感を誇りますが、33歳という年齢を考えると無理をさせられない。故障のリスクを考えると、コンバートを考えなければいけない時期に来ていると思います」(スポーツ紙デスク)
プロ2年目の08年から遊撃のレギュラーに定着し、16年に打率・344で首位打者を獲得。19年は打率.312、自己最多の40本塁打をマークし、巨人の生え抜きの右打者では長嶋茂雄(現巨人終身名誉監督)の39本を抜く最多記録を樹立した。
20年には右打者で史上最速の31歳10か月で通算2000安打を達成。150キロを超える直球をはじき返し、打撃に衰えは全く見られない。通算3000安打も十分に狙えるが、怖いのは故障だ。
名遊撃手として知られた元ヤクルトの宮本慎也氏、元阪神の鳥谷敬氏も30代後半に三塁にコンバートされ、ゴールデングラブ賞を受賞している。宮本氏は社会人・プリンスホテルを経由して24歳、鳥谷氏は早大から22歳でプロの世界に入っている。高卒の坂本は19歳から遊撃のレギュラーで毎年試合に出続けていることを考えると、体の負担を考えてのコンバートは早いに越したことはないだろう。
遊撃から三塁にコンバートされるケースが多いが、不動の4番・岡本和真が三塁を守るため現実的ではない。そこで、選択肢として考えられるのが一塁だ。
「一塁はレギュラーの最有力候補だった中田翔がファーム降格し、中島宏之もチーム最年長の39歳で常時スタメンに出場するのは厳しい。坂本は適任でしょう。不慣れなポジションなので最初は戸惑うと思いますが、器用な選手なのでうまくこなすと思います。ハンドリングが巧くショートバウンドの処理能力が高い。身長も186センチと高いので、他の野手は投げやすいでしょう。打撃に専念させるためにも『一塁・坂本』は検討する価値があると思います」(スポーツ紙記者)
坂本の力は今後も必要なだけに、「最も輝く守備位置」を模索する必要がある。
(中町顕吾)