橋の形が手前と奥で違う……!
先日訪れた徳島県徳島市。その市内を流れる吉野川に架けられた阿波しらさぎ大橋が、環境にも配慮した素晴らしい絶景だったので紹介したい。
橋の南側約3分の1は斜張橋(ケーブルの張力で橋を支える吊り橋のような構造)にケーブルトラスを足した、とにかく珍しくてすごい構造。
そしてそのまま斜張橋が続くのかと思いきや、なんと北側のはケーブルのないラーメン橋(橋脚の上に橋桁を固定して支える構造の橋)なのだ。なんで!?
斜張橋が採用された理由は橋の下流にある干潟を守るためだ。
干潟は水鳥やシオマネキなどいろいろな生き物にとって貴重な生息地だが、上流に橋脚を大量に設置すると水や土砂の流れが変わって消滅してしまうかもしれないのだ。橋脚の数を少なくできる斜張橋は干潟への影響を最小限にできると考えられた。
そして、干潟は南側にしかないので、北側には安価に設置できる(けれど橋脚の数は多い)ラーメン橋が採用された。
ここに、世界でも珍しいキメラな構造の橋のある景観が生まれたのだ。
左右非対称な変わった形だが、自然環境への配慮とコストの削減を両立させた機能的な美しさがあると思う。
「人間、やるじゃん」
と何目線かわからない感想を漏らしてしまったのだった。