「製品がすばらしければ 口コミ が起こる」:ダグネドーバーのM・マッシュ氏とD・ガンジー氏

DIGIDAY

9年前、バッグブランドのダグネ・ドーバー(Dagne Dover)のローンチにCEOのメリッサ・マッシュ氏とCOOのディーパ・ガンジー氏が着手したとき、自分たちのやりかたで事業を進めることにした。その中には、チーフクリエイティブオフィサーのジェシー・ドーバー氏をはじめとする創業チームの構成について熟考することや、外部の投資家と関与する前にブランドをローンチすることが含まれていた。

「経営に自分たちが反映されていないと思っていた。小売業界は、顧客や製品を作る対象や、実際に小売企業で働いている人たちが女性であるのにもかかわらず、非常に男性中心の業界であったし、そうあり続けている」と、マッシュ氏は最新のGlossyポッドキャストで述べている。「そこで、私たちのために作られたと感じ、我々がそれまで小売業で経験したのとは異なるエネルギーを持って経営されている会社を作りたいと思ったのだった」。

同氏また次のようにも語っている。「すぐに資金調達せずに、迅速にかつ長く事業を進められるように、創業チームに財務や運用、デザインのスキルを持たせることも非常に重要だった。我々はこれを試して、製品市場に合っていることを確認するために、時間を費やすことができた」。

業界の規範から離れた同社の独立性は、ローンチ以来ダグネドーバーが変わらずに維持しているものである。たとえば、同社はデジタルネイティブであるが、創業者らはノードストローム(Nordstrom)など一部の小売業者に販売チャネルを戦略的に拡大することをためらってはいない。2020年には、ニューヨークにダグネドーバーの初めての常設店舗をオープンしている。

「さまざまな点で従来の小売ブランドのように経営されているが、テクノロジーと最新の効率性がある」とマッシュ氏。

以下にポッドキャストでの会話のハイライトをいくつか紹介する。読みやすさのために若干の編集を加えてある。

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製品第一の企業の経営

ガンジー氏:「我々は、最初から、すべてではないにしろ、ほとんどの顧客獲得において利益を上げてきた。この点は、同業他社や10年ほど前にローンチしたほかの多くのブランドと比較してユニークだと思う。また、これは、基本的に我々が集団として持っているスキルセットとバランスだけではなく、当社が製品第一の会社であることにも関係していると信じている。すばらしい製品を作れば、口コミが生まれる。客はその製品の会社を何度も利用したいと思うようになる。忠実でいたいという気持ちが顧客にはあるので、顧客獲得のために手段を選ばないようなことはしない。

また、ジェシー(・ドーバー氏)とチームが来る年も来る年も創造と革新を続けているのは驚くべきことだ。最初の製品は仕事にぴったりのトートバッグだった。だが、それを超える商品を展開できてビジネスは10倍に成長した。その結果、品揃えはライフスタイルへと変化した。そのトートバッグのおかげで、当初から我が社を支持してくれた顧客は、完璧なファニーパックやマザーズバックパックを販売するときにも支持してくれる。それは、当社にはバランスがあり、当社を現在の位置に押し上げてくれた魅力を維持しつづけることができると信じているからだ。そのバランスによって、これからも当社は引き続き成長できるだろう」。

サプライチェーンの障害への対応

ガンジー氏:「工場に関しては中国とフィリピンで全製品を製造している。原材料のベンダーはグローバルだ。なので、我々もサプライチェーンの問題や遅延、コストの上昇などを他社同様に経験している。ありがたい点は、すばらしい工場パートナーがいるので協力できること。現実には、必要なときに製品を入手して在庫を維持するために、通常よりも数カ月早く注文しなければならなくなっている。所要時間は長くなっており、短くなってはいない。なので、積極的に計画を立てて、工場やベンダーら皆と提携することが重要だ。どうやって協働してゆくのか? サプライチェーンの観点から世界の変化をどのように受け入れて、それをどのように自分の計画に組み込めるのだろうか? 、と考えているが、それは容易ではなく、正直言って状況は良くなっていない。ただ、現時点で、私のチームは基本的にはーーでは、状況は維持されるか、またはさらに悪化するかもしれないと仮定しようーーと考えている。それに対して計画を立てて能動的でいることができる。しかし、港から製品を受け取るまでに2、3カ月から6カ月かかっている。以前は最長でも1〜2カ月だった。つまり状況はまったく異なっている。まったく異なる資金調達戦略がいる。複雑だが、当社のとても優秀なチームがこれに対応してくれている」。

ソーシャルプラットフォームで迅速に行動することのメリット

ガンジー氏:「ダグネのチームが成功を収めていることのひとつに、新しいソーシャルプラットフォームにおける急速な成長がある。何年も前にインスタグラムで成長があった。いまでは大昔のような気がする。だが、我々の広告が初めて公開されたとき、すぐにインスタグラムで行動した。当社には顧客のフィードに対する有機的なすばらしいコンテンツがあり、そしてすばらしい見返りもあった。2017年、インスタグラムは当社のケーススタディを実施して、「広告費のROIは13倍である」と述べた。これは我々が迅速にインスタグラムを活用したためだ。当時はインスタグラムがとても効率的なチャネルだった。

また、一方では(その成功は)コンテンツの有機的で信頼できる性質によるもので、共感を得られたからだと信じている。では、それをもっと活用するにはどうすればよいだろうか。昨年、TikTokでよく似た成功率があり、成長できた。当社のフォロワーは約15万人だが、これは非常に急激な成長だ。類似ブランドの多くがまだTikTok戦略を理解しようとしている段階だが、我々もその段階は経験はしている。

では、このチャネルを促進するには何が必要だろうか。もっと多くのコンテンツ、つまりコンテンツクリエーターやデジタルクリエーターがもっと必要であり、当社は運用チームを築いているところだ。我々には拡張が必要だし、コンテンツクリエーターたちや運用チームに対して注力しなければならない。また、製品の革新に資金を費やし続ける必要もある。製品は常に我が社にとって最優先なので、PDチームと設計チームは急速に発展している」。

[原文:Dagne Dover founders Melissa Mash and Deepa Gandhi: ‘When you make great product, word of mouth happens’

JILL MANOFF(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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