クリエイター は、なぜ スポンサー を厳選すべきなのか?: ユーチューバー のカール・ジェイコブス氏が語る

DIGIDAY

マーケターがユーザー生成コンテンツの重要性を認識し始めたことで、コンテンツクリエイターが成長するゲーム、eスポーツ経済の中心に躍り出た。ブランド活動の流入を受けて、クリエイターは大切に育ててきたコミュニティのニーズと新しいチャンスのバランスを取らなければならなくなった。

カール・ジェイコブス氏もそのようなクリエイターのひとりだ。23歳のジェイコブス氏は2017年に初めてTwitch(ツイッチ)でライブストリーミングを行ったが、大ブレークしたのは2019年。人気ユーチューバー、ジミー“ミスタービースト”ドナルドソン氏の兄弟であるチャールズ“ミスターブロ”ドナルドソン氏にYouTubeチャンネルの編集を依頼されたことがきっかけだ。ジェイコブス氏は間もなくミスタービーストのカメラマンとして採用され、その後、YouTube界における登場人物のひとりとなった。

以来、ジェイコブス氏は有名ユーチューバー兼Twitchストリーマーとして独自の地位を築き、データプラットフォームGEEIQによれば、すべてのプラットフォームを合わせて2400万人以上のフォロワーを獲得している。ジェイコブス氏がもっとも得意とするのはTwitchだ。ツイッチ・スタッツ(Twitch Stats)のデータによれば、ジェイコブス氏はTwitchでもっとも視聴されているストリーマーに数えられる。

ミスタービーストと関わっているクリエイターにとって、ブランドパートナーシップは当たり前の取り組みだ。ミスタービースト自身もカレント(Current)と大規模なプレゼントキャンペーンを行ったり、2020年にレストランチェーンのミスタービースト・バーガー(MrBeast Burger)を立ち上げたりと、アクティベーションへの名義貸しで知られる。ジェイコブス氏もブランドパートナーシップに乗り出しており、そのジェイコブス氏が米DIGIDAYのインタビューに応じ、ブランドパートナーシップとコミュニティの好みのバランスをどのように取っているかを語ってくれた。

なお、読みやすさを考慮し、以下のインタビューには若干の編集を加えている。

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――ブランドパートナーの話が来たとき、どのような点を考慮するか?

ブランドが接触してきたら、「実際のところ、ブランド契約としてうまくいくのか?」など、いくつかの波を越えることになる。

最初の波がもっとも重要だ。最初の波は、私がつくりたいコンテンツのタイプに合うか、私というブランドに合うかどうかだ。もし答えがノーであれば、私はすぐに、その場で、金額を聞く前に話を打ち切る。あとでつらい思いをしたくないためだ。2番目の波は、成果物は何か、彼らはどこが寛大で、何を期待しているかなど、そういう意味での相性を確かめることだ。そして、3番目の波は、予算を聞き出し、条件が合うかどうかを確認することになる。

――相性が良かったパートナーシップの実例とその理由を教えてほしい。

ストリーミングで鑑賞会を開くなど、特定のアニメを見る権利がほしいとマネジメントチームに伝えたことがある。私はアニメが大好きで、私のコミュニティもそれを知っており、私を通じて、コミュニティもアニメに夢中になっている。そして、アダルトスイム(Adult Swim)が接触してきた。スポンサー契約を結び、彼らの「フェスティバル」を共同配信したいという内容だった。私はフェスティバルのスケジュールを教えてもらい、そこから2時間を選び出し、鑑賞会のストリーミングを行うことになった。完璧な組み合わせだった。

もうひとつの例は、ストリームエレメンツ(StreamElements)経由で結んだスポティファイ・ラップド(Spotify Wrapped)のパートナーシップ契約だ。スポティファイ・ラップドは、スポティファイで1年間に聴いた音楽のまとめだ。私がストリーミング中に自分のスポティファイ・ラップドを確認し、何をもっとも聴いていたか、どのアーティストが好きかといった結果への反応を見てもらった。良い意味で、ストリーマーがコミュニティに自分をさらけ出しているような楽しいストリーミングになった。

――あなたはYouTubeで有名になり、今は主にTwitchでストリーミングを行っているが、クリエイターのタイプによって、検討すべき点に違いはあるのか?

ユーチューバーなどの短編コンテンツクリエイターと比べて、ライブストリーマーは一度に何時間もライブを行うため、ほかのコンテンツクリエイターより本質的に自分自身を見せていると思う。編集してヒット作を生み出すタイプのものではない。すべてライブでの反応だ。そのため、ライブストリーマーはほかのコンテンツクリエイターに比べ、スポンサーシップがよりオーガニックでなければ、売り込みのような印象を与えてしまう立場にあると思う。

――カール・ジェイコブス・ブランドの商品を販売しているが、コミュニティと真のつながりを維持しながら、どのように自分自身をブランド化したのか?

本当に細かく計算し、直接触れ合うことができる距離を維持しながら、コミュニティを成長させようと努力してきた。彼らが特定タイプのコンテンツをどう感じているかを深く理解するため、ファン層との交流に使っている方法がある。私は非公開のTwitterアカウントを持っていて、フォロワー数は10万程度に抑えている。必ずしも私のファンでない人、つまり、私をフォローしているだけの人を排除する手段だ。一度に少しずつしか開放しなければ、コミュニティに本物のハードコアな人しかいない状態になる。コンテンツに関して、本物のファン層が求めていることがよくわかる。

――市場調査会社のようなことをしているように聞こえるが。

その通り。私はA/Bテストが大好きで、直接的な因果関係を見るのが好きだ。その点で、このやり方は完璧だ。

――コミュニティの構成は? カール・ジェイコブス氏の典型的な視聴者は?

私のコミュニティはほとんど10代で、間違いなく女性に偏っている。キッズからティーンエイジャー、ヤングアダルトまでと幅広い。私はもともと、ミスタービーストのコミュニティでフォロワーを構築した。あちらは少し男性寄りで、もう少し若い。そして、私のTwitchコミュニティははるかに女性寄りで、年齢も少し高めだ。私が接しているのはそのような人々だ。

私のストリーミングを見ている人々は、ブランドが狂喜乱舞する人々だ。だからこそ、私は一緒に仕事をするブランドを慎重に選んでいる。その選択が後々まで尾を引く可能性があるためだ。そして、私は私を心から信頼してくれる人々のコミュニティを作ることができた。私がコンテンツを提供するときは、必ず良いコンテンツになること、私がスポンサーシップを持ち出すときは、私が本当に支持するものであることを、ある程度だが、彼らは信じてくれている。

[原文:‘More organic’: YouTuber Karl Jacobs on why creators should prioritize working with like-minded sponsors
ALEXANDER LEE(翻訳:米井香織/ガリレオ、編集:猿渡さとみ)

credit: Original headshot by Tayla Berry

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