早起きしたので痴漢 犯人に呆れ – 阿曽山大噴火

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裁判傍聴芸人の阿曽山大噴火です。今回傍聴したのは3月18日に東京地裁で行われた岩橋英治被告人(58)の強制わいせつ初公判。通勤ラッシュ時の電車内で女性の体を触り、駅員に追われると線路上を逃走して電車を遅延させたと報じられた事件です。

会社に出勤せず自宅で仕事をするリモートワークが珍しい事ではなくなったコロナ禍。2年前には満員電車も減ってきて「チカンが無くなるかもな」と思いながら毎日電車に乗って東京地裁に通っていた訳ですが、1年くらい前からこの手の裁判が増えてきた印象ですね。本件はその中で実名報道された事件になります。

まずは初公判。起訴されたのは、今年の1月18日午前9時3分〜8分の間に被告人がJR池袋駅と新宿駅を走行中の埼京線電車内で被害女性(18)のスカートの上から臀部を触り、さらに下着の中に手を入れて陰部付近を触ったという内容。

検察官の冒頭陳述によると、被告人は高校卒業後に職を転々とし、犯行当時は無職だったとのこと。前科は5犯でうち3犯が同種犯行。2015年以降は電車内のチカン行為で有罪判決を受けて2度服役しているそうです。

そして犯行当日。被告人はチカンができそうな女性を物色していたところ、池袋駅のホームで被害女性を発見。同じ車両に乗り込み犯行に及んだという。被害女性が「やめて下さい!」と声を挙げると周囲の男性が被告人の腕を掴んだが、電車が新宿駅に到着すると被告人は線路に降りて逃走。駅員が追いかけて被告人を逮捕したというのが事件の詳細になります。

検察官は特に冒頭陳述では言わなかったですが、ニュースによると被告人が線路に降りたことで電車が12分も遅延したそう。被害女性に最大の迷惑を掛けているのは当然だけど、相当な数の人たちに迷惑を掛けた人騒がせな事件です。

取り調べに対し被害女性は「電車が出発して1分位でお尻を触られた。犯人の手が見えたので肘で抵抗して遠ざけたが再び触られた。大きめの声で『やめて下さい』と言うと、近くの男性が犯人の腕を掴んでくれた」と供述しているそうです。声を出すのは勇気が要る行動だったでしょうけど助けてくれる人は沢山いるということですね。

一方被告人は取り調べに対し「25歳か26歳の時に初めてチカンをした。犯行当日は早く目覚めたのでチカンをする為に電車に乗った。寒い季節で薄着の娘がいなかったので池袋駅に移動した。そこで被害女性を見つけて近付くと同じ車両に乗ってきた」と述べているそうです。チカンをする為に電車に乗り、いろんな駅で降りて女性を探していたみたいですね。ただでさえ朝は混んでいるのに犯罪をする為だけに乗車する人がいるとはねぇ…。そんな人が乗るスペースが無駄ですよ。

「再犯しないために電車に乗らない生活を考えています」

そして被告人質問。まずは弁護人から。

弁護人「まず、被害女性に対して言いたいことは何ですか?」
被告人「私の軽はずみな行動で心に深い傷を付けてしまいました。申し訳ないです」
弁護人「この日は10時から健康診断の予定があったと?」
被告人「はい」
弁護人「いつどの時点でチカンをやろうと思っていたんですか?」
被告人「早く起きまして。ちょっとチカンをしてみようかなと思いまして…」

ちょっとチカンしてみようって何よ。何度も繰り返しているだけあって、目覚めの良い爽やかな朝にそんな考えがよぎってしまう人物なのでしょう。

弁護人「ちなみにチカンの為の早起きではないんですね?」
被告人「はい、違います」

チカンする為に目覚まし掛けたりはしてなくて、たまたま起きちゃっただけなのだと弁護です。

弁護人「事件のことを訊きます。電車内で男性から腕を掴まれて認めなかったのはなぜですか?」
被告人「『やめて下さい』と言われて我に返って、言葉が出なくなりました」
弁護人「新宿駅では線路に降りて走って逃げたと。線路の上は危険ですよね?」
被告人「はい。配電線とかがあるので凄く危ないと後で駅員さんに言われました」
弁護人「遅延もしたんですよね?」
被告人「多くの人に迷惑掛けたと思っています」

600Vの電流が流れる送電線が線路横にある場所も存在するらしく、線路内に人が入ると電気を止める必要があるみたいですね。ホントいろいろ迷惑。

弁護人「同じ犯行を繰り返していて、またやってしまった訳ですけど再犯しない為にはどうしますか?」
被告人「チカンのとっかかりがスマホでの盗撮なんですね。なので所持をしない」
弁護人「盗撮していたんですか?」
被告人「はい。盗撮する為だけに持っていたスマホがありましたので、もう処分します」

完全に余罪だけど、盗撮もしていたようです。と言うか、スマホを持たないと約束するのは盗撮の防止策であってチカンの防止策にはならないような気が。

弁護人「再犯しないために他に考えていることは?」
被告人「あと電車に乗らない生活を考えています。電車を使わないで通える仕事を」
弁護人「電車に乗らないで通える仕事って何ですか?」
被告人「タクシーの運転をしていたんですけど、近場に営業所がありますのでそちらで」
弁護人「カウンセリングを受けようとかは考えていないですか?」
被告人「刑務所でもプログラム受けようと思っていますし、出てからも受けようかと」

2度とやらない為の様々な行動を約束して質問終了です。

続いて検察官から。

検察官「チカンで2回服役していますよね。刑務所の中で何を考えていましたか?」
被告人「やってしまった代償が大きく、被害者に申し訳ないなと」
検察官「もう2度としないとは思わないのですか?」
被告人「性犯罪のプログラム受けて頭に叩き込んでいたのに、時間経つと忘れてしまって…」
検察官「チカンを再開したのはいつなんですか?」
被告人「出所して真面目に生きようと思っていたんですが…。逮捕される4ヶ月前です」
検察官「2020年2月に出所して、2021年9月とか?」
被告人「はい」

出所から1年半くらいは反省したからなのかチカンをやらずに生活できていたようです。コロナ禍で満員電車が減っていた時期はやっていなかったということですかね。

検察官「前回の裁判でも2度としないと言っていて、今後あなたを規制するものってあるんですか?」
被告人「歳も歳なのでいつまでも続けられないです。あと、子供もいるので合わせる顔がないです」

そもそもチカンに年齢制限は無いだろうとは思いますが。冒頭陳述では出てこなかったけど、被告人には別居中の子供がいて子供たちに申し訳ないという気持ちもあるようです。すると検察官は呆れた感じで、

検察官「今回の犯行時も子供いたんだから規制するものになっていませんよね?」
被告人「そうですね、頭にありませんでした」
検察官「じゃあ状況は一緒なんだし、またやるんじゃないですか?」
被告人「自分ではスマホで盗撮していたのがチカンのとっかかりなので、スマホを所持しません」
検察官「スマホっていつ購入したんですか?」
被告人「4〜5年前です」
検察官「なんで処分しないんですか?」
被告人「子供が小さい時の写真が入っていたので」
検察官「データを他に移せばいいでしょ?」
被告人「う〜ん…そうなんですけど、撮影出来ると思ってしまって…」

よりによってそんな自分の子供の写真が保存されているスマホで盗撮していたとは。だからこそ、子供に合わせる顔が無いと発言したのでしょう。

検察官「出所後あなたを監督してくれる人っているんですか?」
被告人「大家さんが近くに住んでいまして、前回は身元引受人になってくれました」
検察官「ん?今回は引受人になってないですよね?」
被告人「お願いしてないので」
検察官「大家さんは面倒見てくれるって言ってるの?」
被告人「荷物は預けてあるので…」

情状証人として大家さんがこの法廷に来てくれた訳でもなく、被告人を監督すると上申書を提出してくれた訳でも無いですからね。勝手に言葉で名前出された大家さんも大変だ。

検察官「家族は?」
被告人「別れた妻が近所に住んでいます」
検察官「連絡取りましたか?」
被告人「何通か手紙を書いたんですけど…差し入れはありましたが話してはいません」

被告人の今後を監督してくれるのは大家さんしかいないのかも知れません。

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