映画
ベトナム戦争を舞台にした映画「プラトーン」で有名なオリバー・ストーン監督が制作した、繰り返し他国からの侵略を受けてきたウクライナの激動の歴史をテーマにしたドキュメンタリー映画「Ukraine on Fire」が、YouTubeから一時削除されたと報じられました。同作はその後、プロデューサーによりVimeoやRumbleなどで公開された後、厳重な確認事項と年齢確認が追加された状態でYouTubeで再公開されました。
Oliver Stone’s 2016 Ukraine Documentary Banned on YouTube — World of Reel
https://www.worldofreel.com/blog/2022/3/d2fim83jwgkw8r92x9q6o2bks6onlh
Video sharing giants censor ‘Ukraine on Fire’ documentary on West’s role in Ukrainian color revolution
https://www.presstv.ir/Detail/2022/03/13/678482/Video-sharing-giants-delete-documentary-Ukrainian-revolution
BREAKING: Rumble uploads Oliver Stone documentary ‘Ukraine on Fire’ after YouTube censors it | The Post Millennial
https://thepostmillennial.com/breaking-rumble-uploads-oliver-stone-documentary-ukraine-on-fire-after-youtube-censors-it
アメリカや西側諸国に批判的な作風で知られるオリバー・ストーン監督が2017年に発表した映画「Ukraine on Fire」は、17世紀頃に現在のウクライナに存在したヘーチマン国家の勃興にはじまり、1917年のロシア革命、ナチス・ドイツによるウクライナ占領、西ウクライナのソ連への編入、2004年の大統領選挙に対する抗議運動に端を発するオレンジ革命、2014年ウクライナ騒乱など、ウクライナの歴史や国家の成り立ちを扱ったドキュメンタリー作品です。
映画全体を通してロシアのウラジーミル・プーチン大統領、親ロシア派の元ウクライナ大統領であるヴィクトル・ヤヌコーヴィチ氏、2014年ウクライナ騒乱で抗議者に対する実弾の使用を許可した当時の内務大臣であるヴィタリー・ザハルシェンコ氏らのインタビューが取り上げられており、ウクライナの人権団体のハルキウ人権擁護団体から「クレムリンのプロパガンダ」と評されるなど、ロシア寄りの映画と位置づけられることがある作品です。
この「Ukraine on Fire」について、映画関連ニュースを扱うWorld of Reelが2022年3月9日に、YouTubeから削除されたと報じました。YouTubeの広報担当者はメディアに対し、「このドキュメンタリーは暴力的で生々しいコンテンツに関するポリシーに違反していたため削除しました。違反コンテンツを含む動画であるため、再アップロードしても削除されます」と説明しました。
これに対抗し、「Ukraine on Fire」のプロデューサーであるIgor Lopatonok氏は、同作をVimeoにアップロードした上で「映画をVimeoからダウンロードし、あらゆる場所に投稿してくれるようお願いします」とツイートして、拡散を呼びかけました。
しかし、「Ukraine on Fire」はその後Vimeoからも削除されダウンロードできないようになってしまいました。これを受けて、動画サイトのRumbleは「私たちは、何を見るかを決めるのはGoogleのお偉いさんではなく、一般の人々であるべきだと考えています」として、「Ukraine on Fire」の公開を引き受けることを発表しました。
BREAKING NEWS: YouTube removed @TheOliverStone‘s documentary, “Ukraine on Fire.” We believe the public should decide what it sees, not Google execs. We’re proud to announce the producers uploaded the film to Rumble, enabling anyone who wishes to view ithttps://t.co/aIqBs2zH4m
— Rumble (@rumblevideo)
このような紆余曲折の後、最終的に「Ukraine on Fire」はYouTubeで再び閲覧できるようになりました。しかし、年齢確認のためログインしないと再生できないようになっているほか、「この動画は、一部のユーザーに適さない可能性があります」「次のコンテンツは、一部の視聴者にとって攻撃的または不適切な内容を含んでいるとYouTubeコミュニティが特定したものです。ご自身の責任において視聴してください」と繰り返し警告されるようになっています。また、共有するためのURLや埋め込みタグを表示するボタンも見当たりません。
なお、「Ukraine on Fire」はDVDもリリースされています。ただし言語は英語で、記事作成時点の価格がマーケットプレイスで税込1万5196円と、やや手が出しにくいものになっています。
Amazon.co.jp | Ukraine on Fire [DVD] [Import] DVD・ブルーレイ
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