ロシアによる本格的な無差別攻撃により、電気や水道といったインフラに深刻な被害が発生しているウクライナで、2つの大手通信事業社のサービスがほぼ同時に停止したことが分かりました。2社のうち1社のサービス停止は12時間以上におよんでおり、懸命な復旧作業が進められていると報じられています。
Ukraine’s Ukrtelecom goes down nationwide for 40m, ISP Triolan outage caused by cyber attack – DCD
https://www.datacenterdynamics.com/en/news/ukraine-ukrtelecom-goes-down-nationwide-for-40m-isp-triolan-outage-caused-cyber-attack/
ネットワークのモニタリングサービスを手がけるKentikで、インターネット分析ディレクターを務めるダグ・マドリー氏が2022年3月10日にTwitterで、「本日ウクライナで大規模なインターネット障害が発生しました。ウクライナの大手ISPのUkrtelecomは協定世界時の9時35分(現地時間の11時35分/日本時間の18時35分)に40分間、全国的に停止しました。さらに、Triolanはサイバー攻撃により、12時間以上全国的にダウンしており、現在もほぼ完全にオフラインです」と報じました。
Large outages today in #Ukraine️.
Ukrtelecom (AS6849) down nationally at 9:35 UTC (11:35am local) for ~40min.
Triolan (AS13188) has been down nationally for over 12hrs due to reported cyber attack. Still almost entirely offline.
Vizes from @gatech_ioda and @kentikinc: pic.twitter.com/v1wmKsR7kE
— Doug Madory (@DougMadory)
Ukrtelecomはウクライナの国営通信事業で、電話回線のほかインターネットサービスやモバイルサービスも展開しています。同社は、3月5日にもウクライナの北部の都市であるチェルニヒウ、西部のリヴィウ、北東部のスームィ、南部のヘルソンなど合計10の都市で発生した戦闘被害によりサービスが不安定になりました。今回の40分間のサービス停止がロシア軍の攻撃による物理的な被害なのか、サイバー攻撃などによる影響なのかは不明です。
またTriolanは、ウクライナで全国的に電気通信サービスを提供している事業体のグループで、本社はウクライナの首都・キーウ(キエフ)にあります。Triolanのインターネットサービスは、サイバー攻撃により3月10日からダウンしました。
同社は、SNSのTelegramで「遺憾ながら、私たちは敵の卑劣な戦略を目の当たりにしています。敵は私たちの家やインフラを破壊するだけでなく、情報ネットワークを混乱させ、人々を互いに連絡できない状況に陥れました。当社のエンジニアリングおよびセキュリティサービスは現在作業中ですが、システム全体の稼働を維持するために当面の間サービスを停止することを余儀なくされています。一刻も早く攻撃者を阻止し、全エリアでネットワークを再開できるよう努めます」と述べて、サイバー攻撃がロシアからのものであることを示唆しました。
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