料理できない人の最終兵器。最新調理家電「ウォーターオーブン」で料理の敷居は確実に下がる

GIZMODO

2021年3月16日の記事を編集して再掲載しています。

食生活を一変させる、蒸気パワー!

編集部員かみやま(自炊したいけどできないマン)が家電量販店を歩いていると、あるポップが目に入ってきました。いわく、生卵や冷凍の食パンを並べるだけで簡単にモーニングセットが作れる便利家電があるとか。

その家電の名は「ヘルシオ」。シャープが発売しているウォーターオーブンです。「山田さん、自炊派でしたよね。ヘルシオ使ったことあります…?」と、今回のレビューはそんなきっかけから始まりました。

およそ1ヶ月、ヘルシオ(2020年最上位モデルのAX-XA10)と共に生活してみたので、その使い心地を語っていこうと思います。ちな僕の料理レベルは麻婆豆腐やグラタン、ポタージュ、鯛めし、ふろふき大根、白菜の浅漬け、マフィン、チーズケーキなど、まぁわりと作れる方です。塩は4種類持ってます。

ヘルシオって電子レンジなの? なんなの?

ヘルシオ=高機能電子レンジだと思ってたんですけど、まずこの認識から僕は間違ってました。昨今のオーブンレンジには過熱水蒸気やスチームなどのあたため方式があるのですが、ヘルシオは過熱水蒸気だけで調理するのが特徴。なので、ウォーターウォーブンと自称しています。

で、この過熱水蒸気ってのがまたすごい。水は100度を超えると水蒸気になるけど、さらに加熱すると100度以上の無色透明の気体になるんですって。これが、水で焼くということらしいですよ。

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Video: シャープ公式チャンネル SHARP/YouTube

かがくのちからってすげー…。ヘルシオは通常のオーブンレンジ的な使い方に加えて、この過熱水蒸気による調理方式が使えるのです。しかも過熱水蒸気による調理は脱油や減塩などの健康効果もあり、味と健康で二度美味しいってわけよ!

いざ実践、過熱水蒸気調理!

ヘルシオの推しポイントは、コイツ1台で調理が完結できる点。例えば上段で冷凍食品や鶏肉を調理しながら、下段で温野菜を作れます。赤外線ムーブセンサー+過熱蒸気+温度センサーの合わせ技で複数段・別々の食材の加熱を可能にしている模様。

ガスコンロ調理と違ってキッチンに立たなくても良いから時短にもなるし、火加減も気にしないで良いの。

これは上段で冷凍食品をカラっと揚げて、下段で野菜とソーセージを蒸した時の様子。上段を鶏肉(冷凍でもOK)にすればチキンソテーが、衣をまぶした豚肉にすればとんかつが作れます。蒸し野菜はポン酢や黒コショウ、マヨネーズなんかで味付けすればOK。

ノンフライ調理を活かして、フライドチキンに挑戦。ガスコンロで作る場合は結構な量の油が必要なのでおっくうなレシピですが、衣をまぶした手羽元をヘルシオに入れてやると…。

カリッカリに仕上がっておるッ!

いかん、美味すぎる。油で揚げてないから表面がべチャリとせずカリッカリ、しかも鶏肉の油がしっかり中に残ってて、とんでもねぇジューシーさです。100g70円くらいの手羽元が、こんな簡単にごちそうになるなんて…。ヘルシオ、恐ろしい子!

鶏皮をノンフライで焼いてみました。下に落ちてる油の量がハンパない。もちろんカリッカリですぜ。

食パン+ソーセージ+生卵を、ヘルシオのモーニングセットで調理してみました。本来ならパンはトースト、卵とソーセージはガスコンロで調理するところですが、ヘルシオなら一発でOK。異なる食材を一括調理、しかもノー労力で良いってのはやっぱデカイですよ。忙しい朝ならなおさら。

フライ調理のほかにも、炒める、焼く、蒸す、茹でる、網焼きなど、ガスコンロでできる調理のほとんどがヘルシオで実現可能です。お米を広げて味付けすればチャーハンだって作れますからね。

ヘルシオがあれば自炊できる?

イエスとお答えしましょう。編集部員かみやまは「自分のような料理苦手マンでもヘルシオがあれば救われる?」と期待していたようですが、その予感はおおむね当たっています。

料理の面倒さって、必要な食材や調理方法の計画立案=レシピを考える点にあると思うんです。でも、ヘルシオはそこも任せちゃって良いのが新鮮でした。乱暴にいうなら、自炊できない人が適当な食材をヘルシオに入れても自炊として成立する。食材を最適な方法で調理する器具としてヘルシオが活躍してくれるワケですよ。肉や野菜も適切に火が通りさえすれば、あとは味付け次第ですから。

そうしたヘルシオ活用術の参考になるのが、付属のレシピ本。これすごく充実していて、何を作れば良いかわからないときは気になったレシピをなぞるだけで「こんなに美味しい料理をオレが作った…!?」な体験ができます。上のフライドチキンもレシピ本に載ってたやつなんですよ。ちなみに、スマホで閲覧できるレシピサイトもあります。

スーパーでセールになっている肉や魚、野菜を適当に買ってくる。さて何を作ろうか、レシピ本をチェック。そんな流れで完全にOKです。仮にレシピの材料が不足している場合でも、肉や魚なら塩コショウして焼く、野菜ならポン酢かけて蒸す、みたいな雑クッキングで充分美味しい。なぜなら火を通す時間や火加減の調整はヘルシオくんがやってくれるから!

一方で、料理できる派な人にとってのヘルシオは、ガスコンロとは異なる理屈をもつ(ご飯を天板に並べてチャーハンを作るなんて!)特殊な調理家電でありつつも、コツさえ覚えればレパートリーや時短に大きく貢献してくれます。コレがこう蒸されるなら下味をこうしておけば…みたいなトライアンドエラーですな。楽しいやつですな。

あとオススメなのは、お惣菜の温めですね。唐揚げやコロッケなどのフライものを、過熱水蒸気がめっちゃ美味しく仕上げてくれます。うちの近所に安いけど味はイマイチなお惣菜のお店があって、そのお店で夕方に買ったお惣菜を夜に温めたんです。もうね、お店違うレベルで美味しくなった。古い油が抜けたことが大きいと思うのですが、あんなの知っちゃったらお惣菜フィーバーしたくなるよなぁ〜。

運用コストは決して軽くない

ではここからはデメリットのはなし。細かい指摘になるので、箇条書きで。・本体がデカイ(導入できる場所が限られる)・消費電力がデカイ(調理方式にもよるが、最大出力は1460W)・清掃が面倒(過熱水蒸気で調理した後は掃除が必須)・油が恋しくなる(冷凍食品などは油で揚げた方が美味しい気がした)

掃除の手間は残るも「自炊を自分ゴトする第一歩」となりうる家電

特に気になったのは清掃。通常のオーブンやレンジ調理の時は良いのですが、水蒸気調理をすると庫内は水滴まみれになります。拭き掃除は必須。さらに水を入れるタンクや水受け皿も清掃が必要なので、こうした掃除案件はおっくうになるかも。

上で試したモーニングセットは、過熱水蒸気で調理します。忙しい朝、調理をしてくれるのはありがたいけど、そのあと掃除をする面倒さがあるわけです。庫内を拭くだけなら数秒で終わるけど、その他の掃除は後回しにしたい気持ちあるなぁ。

それから網の掃除も、モノによってはちょっと大変。肉や魚、フライの衣がべちゃっと張り付くことがあって、やや洗いにくいですね。トータルの洗い物時間で考えると、ガスコンロでフライパンを使うのとヘルシオを使うのとでは、どっこいどっこいな感じでした。全部洗うとこのボリューム。過熱水蒸気を使った庫内清掃やニオイ取り機能なども完備していますが、人の手で水を拭かなきゃいけないのは同じです。

それでも「自炊のためにヘルシオ買うのはアリ?」な意見については、料理の成功体験を重ねられるガジェットという意味でも、もちろん実用的な調理家電としても、ヘルシオは自炊を助くる存在になるはず、と言っておきましょう。その人にとって料理の時間=コストなのか、あるいは単に自炊する時間がないだけなのかなど、前提も様々とは思いますが、ヘルシオをはじめとする便利家電のおかげで自炊を自分ゴトとして考えられればまず第一歩かな、と。

料理ができる人にも高品質と「ノーマル自炊では得られない効果」が刺さる

個人的にはどうかというと、清掃の労力、美味しさ、時短効果、そして10万円オーバーという価格、それらの要素を普段の自炊の手間暇や外食にかかるコストと比較してみると、どうもコストに見合わないなと感じました。料理ってある種の創作欲求が満たされる感があって、しかも美味しいと思えるものが作れたら自己肯定感も増すメリットだらけのアクティビティだと思うのですよ。そもそも僕は日々の自炊を楽しいと思ってるわけです。

一方でノンフライヤーの見事な揚げっぷりや、時短効果(調理中にゲームができる余裕)などはノーマル自炊にはない要素なので、そこはうらやましい。鶏皮せんべいとかめっちゃ美味い。

というかシンプルにオーブンレンジとして高品質で、操作性が良かったりお菓子を作っても焼き上がりが均一になったりと「良いレンジってこういうとこが違うんだなぁ」と実感しました。

これは自前のオーブンレンジで作ったマドレーヌなんですが、火の通り方が均一じゃないのが一目瞭然ですよね。ヘルシオだとこれが綺麗に焼き上がるんですわ…! なので、僕の中での結論は「最上位モデルはオーバースペック。でも水蒸気調理は便利だったので機能を絞った小型モデルが欲しくなったぜ」です。

ちなみに消費電力について、我が家では3回ブレーカー落ちてます。どうやら炊飯器と一緒に使うと落ちちゃうみたいで、家庭ごとに調整が必要かも…。小型モデルは消費電力も抑えられてるだろうし、そこも理由。むしろ最上位モデルをスっと買える家庭は、結構な余裕ファミリーなのかしらね。

一日の終わりに、確実に美味しいごはんが待っている幸せ

一日のシメのご飯が美味しいと、なんだかんだ良い日だったなと思えるものです。ヘルシオの存在は、そのシメの確度や手軽さを数段引き上げてくれました。冷凍鶏肉を温めるだけでこのジューシーさですもの。ノーマル自炊なら「解凍忘れた…」ってなる。

例えばノンフライ調理。ヘルシオのおかげで揚げ物が軽率になりすぎて、「いつでも唐揚げ作れっけど?」な全能感がパない。蒸し料理も簡単だから野菜も美味しくいただける。半額のお惣菜はできたてのカリッカリに生まれ変わるし、あぁ、過熱水蒸気の恩恵たるや!

ある程度自炊ができる人なら、その人なりのヘルシオ活用法が見いだせるはず。一方で自炊がメインでない人は、むしろヘルシオにすべてを委ねちゃって良いと思います。冷凍の肉も適当な野菜も、ヘルシオなら最適な調理で美味しくしてくれますからね。自分で美味しいごはんが作れると、自炊のモチベーションにも繋がるもんです。

これから本格的な自炊を始めたいけど何かしらのアシストが欲しい派には、今回試した最上位モデルの「AX-XA10」が。ある程度自炊していてさらに美味しさを追求したい派には、小型モデルの「RE-WF261」などがマッチするかなと思います。金額、置く場所、家族人数なんかで変わってくるとも思いますが、なんせ良いモノには違いないのでご安心を。美味しさ、追求しようぜ!

そういえば、ヘルシオの名前は「減る塩」とかけて、減塩効果もアピールしているそうな。美味しいものを食べ続けたければ、健康面も意識しないわけにはいかないものね。食の充実は人生の充実。

Photo: ヤマダユウス型
Source: シャープ, YouTube
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