ディズニーのスター・ウォーズホテルに泊まってきた! 没入感すごくて最高!でも高い、でも最高、でも高い、でも…

GIZMODO

最高!でも高い…。でも最高!でも高い…。そんな気持ちです。

ミッキーの本国アメリカはフロリダ州のウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートにこの春オープンのスター・ウォーズの世界を体験できるホテル「Star Wars: Galactic Starcruiser(スター・ウォーズ:ギャラクティック スタークルーザー)」。ホテルというより、宿泊型の体験アトラクションというべきなのでしょうか。発表されてから新たなエンタメの形として興味しんしんだったのですが、3月1日の一般公開前に、米Gizmodo編集部がお泊まりに行ってきました。で、その感想がタイトルそのままです。最高! でも高い…。でも最高! でも高い…。とりあえず、宿泊レポを見てみましょう。


スター・ウォーズの世界の住人に2日間だけなれるとしたら、いくら払いますか? スター・ウォーズはハードコアなファンも多いですから、人によってその金額にはかなり開きがあるとは思いますが、たとえば6,000ドル(約70万円)なんてどうでしょう? ディズニー公式がこれならファンは払ってくれるはずだろうと設定したのがこの価格なんです。スター・ウォーズホテル「Star Wars: Galactic Starcruiser」に家族4人で2泊3日滞在すると(テーマパーク費用含む)6,000ドルになるんです。

昨年、スター・ウォーズホテルの映像が公開されると、「は?」というネガティブ意見が多く、動画はすぐにYouTubeから削除(公式は削除についてノーコメントだけど)。誰もが「スターツアーズの待ち行列みたいな場所に行くだけで1泊1,200ドルとか何なの?」と小馬鹿にしていたのですが、第一印象がいつも正しいとは限りません。一般オープン前に行われたメディアお披露目会に招待されたので行ってきました。招待、そう費用はすべてディズニー持ちなのです。しかも一家4人家族そろっての招待! 宿泊費用、パークの入場パスはもちろん、交通費も飲食費用もすべてミッキー持ち。結果、動画を最初に見たときとはまったく印象が変わって最高にクールで楽しかったんですが、それはつまり招待=無料だったということも大きいですよね。

正直、自費の家族旅行なら、わが家はこの予算を組めません。2泊3日のスター・ウォーズホテルでの体験は2人で4,800ドル。ひと家族4人なら6,000ドル。この旅行に6,000ドルの価値があるかと言われたら、残念ながら私は「NO」と答えます。でも、スター・ウォーズホテルってどうかと問われたら「最高!クール!」と答えます。

Galactic Starcruiserとは何なのか?

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Photo: Joel Cunningham – Gizmodo US

スター・ウォーズホテル「Star Wars: Galactic Starcruiser」とは、簡単に言うと2泊3日のスター・ウォーズLARP(Live Action Role Playing、リアルRPG)です。参加者は銀河を旅する豪華宇宙船「ハルシオン号」のゲストという設定で、客船275周年をお祝いする航海を楽しんでいるということになっています。スター・ウォーズの世界でいうと、ハルシオン号275周年は『最後のジェダイ』と『スカイウォーカーの夜明け』の間のどっか。実世界のクルーザー旅行と同じく、船内の食事やエンタメショーを楽しみつつ過ごすわけですが、船内にレジスタンスがいるという情報を受けたファースト・オーダー軍が乱入するとうストーリー。

2泊の間、参加者は観覧者であり参加者でもあります。あちこちに登場するスター・ウォーズキャラと触れ合うことも可能。

没入型エンタメ

実は参加する前はかなり不安だったんです。LARPにうまいこと馴染めるのか。銀河を旅する豪華客船なんて設定を本当に楽しめるのか。コスプレ的なことを心から楽しめる人とそうではない人がいますが、私は後者。どうしても照れが出ちゃうタイプ。周りに人がいると気にしちゃって絶対キャラになりきれない。が、実際参加してみると、何も心配することはありませんでした。始まってしまえば、設定された世界に入り込むのって思ってたより簡単なんですね。

もちろんなりきり度は人によって違いますし、参加者みんなそれぞれの楽しみ方があると思います。それでも、参加者は全員同じ設定、同じストーリー展開で進みます。大人数でやるフラッシュモブほどの一体感はないにしろ、みんなで何かしら芝居を演じるくらいの距離の近さは生まれます。ストーリー展開がシンプルなので、デジタルライフ、スクリーンからちょっとひと休みして、バケーションを楽しみたいくらいの軽い気持ちで行ってもなんとかなります。

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宿泊者に配られるデータパッド
Photo: Joel Cunningham – Gizmodo US

乗船すると「データパッド」なるものが渡されます。これ、どうみてもiOSをひっぺがしたiPhone 12 miniですね(画面アンロックのデフォパスワードが1138なのが粋)。このデータパッドでストーリー展開確認しつつ、自分のスケジュールを立てていきます。子どもの参加者も1人1台データパッドあるので、スクリーン時間のルールがあるご家庭は、事前に家族で相談しておいた方がいいかも。

ストーリーが進むにつれ、データパッドにキャラクターたちからのメッセージが届きます。船長、クルーズディレクター、ファーストオーダー軍のレジスタンス調査の噂などなど。これらのメッセージにどう返信するかによって、今後のスケジュール、つまりどうストーリーに絡んでいくのかが変わっていきます。エンジンルームでトラブルに巻き込まれる新人クルーを助けたり、マストの間に挟まったウーキーを救助したり、過去のホロクロンを守るためジェダイのお手伝いしたり、ストームトルーパーとすれ違ったり、いろいろです。物足りないなと思ったら、船内あちこちに設置されているATMみたいな見た目の端末にリストバンド(ルームキー)をかざして、データパッドのパズルを解いたり、ハルシオン号のコンシェルジュドロイドと動画チャットしたりもできます。下船スケジュールでは、ディズニー・ハリウッド・スタジオの「ギャラクシーズ・エッジ」エリアで遊びます。このとき、パーク内の隠しQRコードを見つけてスキャンすると、ストーリー展開に関わるミッションをクリアできるという仕組みもあり。

どれだけ楽しめるか、どれだけストーリーに参加できるかは、参加者次第。ちょっと変わった世界観のホテルで、ちょっと変わった人たちがウロチョロする中で、いつものようにご飯食べてのんびりするだけでもOK。なんにせよ、2泊3日でストーリーは進んでいきます。最終的にみんな戦いのシーンに駆り出されるわけですが、ストーリーの絡み方によって、タイ・ファイターを撃つ人もいれば、Xウイングを狙う人もいます。やっぱりスター・ウォーズですから、ライトセーバーは出てきますよ。

スター・ウォーズファンじゃなくても楽しめる?

どうでしょう。私は35年来のハードコア スター・ウォーズファンなので、じゃない人のことが想像できず。でも、一緒に参加したうちの子どもたちはスター・ウォーズを1度も見たことがないし、夫もそんなにファンじゃないですけど、楽しく過ごしていましたよ。ファンじゃなくても楽しめる理由は、スター・ウォーズ以前にディズニー・マジック(ディズニーのクルーズ客船)の力が大きいからだと思います。

一緒に参加する人がスター・ウォーズファンじゃない場合、リアルにサバックテーブルを見て興奮していると、「なんで?」「何これ?」と言われ、ハン・ソロがランドからミレニアム・ファルコンを手に入れた賭けゲームだよって説明し、さらに「ハン・ソロってなに? ランド?」と質問が尽きない流れにはなっちゃいますけどね。それでも体験としては、ガイドがあることもあって、スター・ウォーズの知識が乏しくても問題なし。まったく知らない人は、最低限の知識として「これは宇宙の話」「フォースってやつがある」「ジェダイって人はライトセーバー使う」「モコモコしてるキャラの名前はチューバッカ」「軍のユニフォーム着てる人は悪い人」ってとこくらいを押さえておけばいいかな。

ハルシオン号での旅は、スター・ウォーズというよりもディズニーの世界。60年近くテーマパーク運営しているだけあって、どんなゲストもウェルカムで楽しませちゃうスキルはさすがです。スター・ウォーズのリアル世界というよりは、宇宙がコンセプトのテーマパークという方が適しているかも。ハン・ソロとレイアが新婚旅行でホーンテッドマンションに乗ってるみたいな感じです。世界観の作り込みが見事なので、没入感があるんですよね。ただ、やっぱりそこはディズニーなので、銀河帝国にしてはみんな明るすぎだし陽気すぎなんですが、それは全スタッフ完全にディズニー的指導が行き届いているということ。それぞれのキャラがそれぞれのストーリーを演じながら、ゲストを最大限に楽しませようとする様子を見てわくわくしながらも、頭のどこかで「6,000ドルかぁ」と考えちゃう自分が嫌になっちゃうくらいには眩しい場所ではありました。

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Photo: Donna Mehrabi – Gizmodo US

自分のそんな皮肉をぐっと押し込むことができれば、世界にどっぷり浸って心の底から楽しめる場所です。だって、ディズニーが得意なのってそこですから。何かのキャラを演じる必要も、キャラクターの設定を深く理解する必要もないし、スタッフや他のゲストを積極的にからむ必要もないけれど、参加しようと思う気持ちだけは絶対に必要です。船内を散策してみたり、子どもっぽいなんて言わずにライトセーバーのトレーニングに参加してみたりする心意気はないとダメです。船内を散歩して、いろんな物に触れ、ありとあらゆるボタンを押してみてこそです。部屋を1歩出れば、どれだけ争おうともストーリーのどこかには(程度は違えど)参加させられる仕組みになっていますから。

ホテル内には窓がなく、宇宙を望む「ビューポート」があるのですが、これが期待しすぎたせいでまぁまぁだったのはちょっと残念。それでも窓から宇宙を見ている演出自体は素晴らしかったです。実際はホテルの地下にいるんですが、まったくそれを感じさせず、あそこはやっぱり宇宙でしたね(後から思い返すと、ハルシオン号に乗船するために最初にシャトルバスに乗るのですが、あのシャトルバスは大きなエレベーターだったんですね)

行く価値あり?

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Photo: Joel Cunningham – Gizmodo US

NO。でも、もしかしたらYES。難しいな。正直、予算次第なんです。2泊3日の家族旅行にいくら出せるか、それによって答えは全然違います。 2泊で6,000ドルなら、どっか南の島で2週間過ごす方がいいと私なら思っちゃうかなぁ。でも、間違いなく言えるのは、スター・ウォーズの豪華なLARPが楽しめるのはGalactic Starcruiserだけだということ。なので、まさにそれが理想の家族旅行だという人ならYESなんです。

サンディエゴのコミコンに仕事で行っていたときのことを思い出しました。自分は自費じゃないから気楽に楽しいんだけど、これ自分のお金で来ている人もいるんだよなぁって。

客室自体は豪華客船というよりは実用性重視の部屋でしたが、そもそも部屋で過ごすより、ハルシオン号の中を探検するべきなのでそれでいいのかも。何か問題があるとテレビ通話でスタッフと話ができるんですけど、さすがの神対応(予定されていたストーリー展開に遅れてホログラムのヨーダに会えなかったんですが、スタッフさんが個別で私たちのためにストーリーを再現してくれました!) 。ディズニー・マジックの力というか、ゲスト対応は本当に一級、お見事です。

そもそもディズニーってのは高いんです。スター・ウォーズホテルじゃなくても、パークに遊びに行くだけでも高い。そう考えると、食べ物も宿泊もエンタメ体験も全部一緒になっているのはお得なのか、も? 滞在中にパークの方にも行ってみたんですが、人混み・行列・食べ物コストで、家族全員疲れ果てムード最悪。一方で、Galactic Starcruiserなら人混みの行列もなし。子連れの人が途中で部屋に帰って休むのもすぐそこ。常に体験型イベントがどこかで発生していると思えば、パークよりもお得なのか、も? パーク近場のホテルに泊まって、パークの入園チケット買って、中でご飯食べて飲み物飲んで、人混みに紛れて並んで…。そう考えるとGalactic Starcruiserは、パックになっているものとサービスの高さを考えると十分アリなのか、も?

Galactic Starcruiserの滞在は、人生で1度というくらい最高に楽しくてファンタジックな体験でした。でも、やっぱりそれは自費じゃないから…なのかな。

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