プーチン氏の邪悪な野望を分析 – 鈴木しんじ

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2月24日にロシアがウクライナに侵攻を開始して以来、ロシアのプーチン大統領(以下、プーチン)は世界中から厳しい批判を浴びています。ほとんどの人は、プーチンの蛮行を厳しく非難していますが、一部の人たちは「ウクライナにも非がある」、「NATOはロシア包囲網であり、東方拡大をしたのが良くなかった」などど、プーチンの行動を擁護するような言動をしています。さらに、ウクライナがNATO加盟をあきらめ、NATOもウクライナの加盟を拒絶すれば事態は変わるなどと考えている人もいます。

しかし、このような意見は本質を分かっていないとしか言いようがありません。プーチンの目標は自身が支配する帝国をできるだけ拡大することです。彼は現在69歳ですが、残りの政治生命を考えた場合、できるだけ早く行動しないと旧ソ連レベルの大国を作る(復活させる)ことは無理なので、コロナ渦やアメリカのバイデン政権がアフガン撤退で醜態をさらした今がチャンスと思い決断した可能性があります。彼としては力による世界征服ができればそれに越したことはなく、自身の野望が欧米に潰されるのならば、血がつながった後継者もいないことから、核戦争で世界を道づれにしても構わないと考えている節があります。

そのように考えると、プーチンはヒトラーと同じであり、ヒトラー相手に交渉で解決できるなどと考えているのは非常に甘いと言わざるを得ません。仮にプーチンがそこまで考えていないにしても、捨て身で行動していると想定するのは妥当であり、「彼が自分と世界を亡ぼしても構わないと考えている」と想定して手段を考えることに何ら問題はありません。

プーチンという相手が自身と世界の破滅を覚悟で捨て身の戦いに挑んできているので、事態はとんでもなく厄介であり、ウクライナを彼の思い通りになるようにすれば解決するものでは到底ありません。次はポーランド、モルドバ、バルト三国、その次はフィンランド、スロバキア、ルーマニア、ハンガリー、その次はチェコ、ブルガリア、スウェーデン、そしてドイツと際限なく要求を拡大させるでしょう。こういう相手に対して「NATOはウクライナから今回の戦争を引き取って、5核保有国でしっかり話し合って解を見つけてくれ。NATOにも日本にもきれいごとばかり言う学級代表的な政治家しかいないのか。」などと言っている橋下徹をテレビ局はゲスト出演させるべきではないです。きれいごとを言っているのは橋下本人で、愚の骨頂としか言いようがありません。

さて、どうすればよいのかについては、プーチンをできるだけ早く権力の座から引きずり下ろすことが唯一の根本的な解決策です。他国が被害を受けないためには、ロシア内部からの動きでプーチンの追放が行われる必要があります。一番手っ取り早いのは政権内部で動きが起きることですが、政権内部からの動きにせよ軍や民衆からによるものであるにせよ、ロシア国民に「今すぐプーチンを権力から引きずり下ろさなければ、自分たちの将来が大変なことになる」と認識させる必要があります。

西側とプーチンの戦いに関してはチキンレースになる方向性が強いですが、早い段階で彼が国内政治に忙殺され、チキンレースを脱落せざるを得ない状況を作り出すことが重要です。チキンレースは弱みを見せれば負けます。ロシアのSWIFT排除など強力な制裁はこちらにも返り血が飛びますが、ロシアで反プーチン機運を高めるのには必要なことであり、西側諸国のリーダーには国民に理解と連帯を強く求めるべきです。ウクライナは非常に厳しい状況ですが、北京パラリンピックまで持ちこたえれば明るい兆しが見えてくるかもしれません。西側は軍事・サイバー両面で間接的にでも最大限ウクライナを支援すべきです。

最後に日本に関しては、右派から憲法改正や核保有または核共有を行うべきとの声が強まり、それに反対する左派との間で世論の分断が起きつつあります。私はもともと立憲主義的な憲法改正自体には賛成の立場ですが、安倍政権などこれまでの自民党政権による統治により憲法9条は骨抜きにされ、軍を持たないはずの日本が世界5位の軍事力に位置付けられているという奇妙な現状を考えれば、今「9条改憲」をテーマにした政治闘争をやることは国力をそぐだけであまり意味がないと考えています。それこそ中露の思うつぼです。核保有または核共有に関しては、唯一の被爆国家で日本は本来核廃絶を訴えるべき立場にあることを抜きに除外して考えても、アメリカの傘に入っている現状でどれだけ抑止効果があるのかをしっかり再確認してから議論すべきです。いずれも、今、日本を守るために本当に足りないものは何かを再確認して、防衛力の強化を冷静に進めるのが本筋です。

追記:プーチンがNATOに対して強い反感を感じているのは彼の個人的な性格や経験に基づくところが大きいとも考えられます。NATO加盟国である日本以外のG7メンバーは、これまでずっとロシアに敵対的な態度を取ってきたわけではありません。2002年にNATO19カ国にロシアを加えたNATO・ロシア理事会(NATO20)が設立され、ロシアはNATO準加盟国ともいわれたこともあり、2014年のクリミア併合以前は、ロシアはG8のメンバーでした。

NATOによってロシアの安全保障が脅かされているというのであればNATOに入ればよいし、G8に留まりたければ強引にクリミアを併合しなければよかったのです。単に、ロシア連邦の最高権力者であるプーチンが民主主義・人権という西側の価値観を拒絶し、西側と同化することを拒絶しただけです。そして、自分がすべてを支配する旧ソ連の後継国家を最低でも旧ソ連に匹敵するレベルまで拡大するという野心を実現するために、手段を選ばなくなっただけです。どのようにして彼の人格が育成されてきたのかについては諸説ありますが、幼少期の家庭環境KGBでの活動、ソ連崩壊によってKGBを退職せざるを得なくなった屈辱感などが大きな要因になったことは容易に想定できます。

鈴木 しんじ

博士(理学)

日本型大統領制を実現するリベラル新党、
政治団体「社会民主進歩党」代表

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