渡邉美樹氏 岸田首相に4つの提言 – わたなべ美樹

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沖縄、広島、山口の3県で蔓延(まんえん)防止等重点措置が出されたが、大した効果があるとは思えない。
ワタミ直営店は国や自治体からの要請を守るが、重点措置に伴う飲食店への時短要請も「第5波」の時から守っていない店の方が多い。守る店より、守らない店の方が利益を出しており、この不公平感は問題だ。

補償や罰則の仕組みを早急に見直し、全飲食店が要請を守る制度にすべきだ。行動制限解除後、飲食店事業者は、アルバイトの人材確保をコストかけ必死に行っていた。そうしてせっかく集めた人材も再び営業時間に制限がかかることで台無しとなる。

岸田文雄首相は、総裁選で「ワクチンパスポートの活用」や「PCR検査の拡充」など、「新しいコロナ対応」を掲げて国民の期待を集めたが、今のところ菅政権との違いが見えてこない。やみくもに重点措置を出すくらいならば、次の4本柱を提言したい。

①PCR検査を学校や職域単位で徹底して行う。重点措置に指定した市町村では全員を対象に実施するなど大胆な政策をとるべき。

②十分な補償をセットにした上で、ロックダウンを可能とする法整備や、警察権を行使した要請違反への対応など、強制力の法整備。

③ワクチンだけでは感染拡大は防げない今、治療薬の普及に重点を置き、有効性次第で制限を緩和していくことに全力を賭けるべき。

④飲食店だけを要請の対象にするはやめ、百貨店や商業施設など人が集まるところすべてを対象に、前週の重症者数や病床の逼迫(ひっぱく)率に応じて、翌週の営業時間や入場人数を決めるなど、社会全体で収束をはかる制度の検討。

とにかく、これまでと違う大胆な政策がなければ「第6波」は「第5波」を超すことになる。ワタミグループとしては、本部社員の現場異動など、大幅な配置転換を行いひとりの早期退職者も出さないで「第6波」を乗り越えると結束を強めている。

岸田首相は「分配」を掲げ企業に賃上げを求めているが、外食企業は裾野も広く、多くの雇用を抱えている。賃上げと経済活動の自粛という矛盾を現在、突き付けている。

菅義偉前首相は世論の批判にさらされながらもワクチン政策に全力を賭け、あらゆる手段を講じた。岸田首相も「賭けるもの」を見せる時期に来ている。菅政権との違いがないなら、なんのための総裁選だったのか、多くの国民もそう感じるだろう。

【夕刊フジ】「渡邉美樹経営者目線」(毎週火曜日連載)より

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