1月29日のABEMA『NewsBAR橋下』に立憲民主党の泉健太代表が生出演。オミクロン株への置き換えが進む中での新型コロナウイルス対策について、橋下徹氏と意見交換した。
■泉氏「重症化しやすい方に振り向けていかなければならない」
[embedded content]
橋下:これは岸田政権もそうだが、泉さんたちは感染者数を抑えにいくということなのか。それとも、批判が出るから言いにくいことだけれど、感染者数をある程度は“容認”しながら医療の方をしっかりバックアップしていくということなのか。その大きな方向性の違いがあると思う。泉さんや国民民主党の玉木さんが“検査キットをどんどん増やせ”と言うのは分かるが、検査で感染者数を抑えた国なんてないわけで、それが目的だとしたら大間違いだと思う。
泉:その問題に関しては、僕はどちらかといえば橋下さんと同じ姿勢だ。確かに立憲民主党は“ゼロコロナ”と言っていたし、それは間違いではなかったと今でも思っている。つまり人の命を失わせないためにも、最大限、ゼロに向けた努力はすると。
ただ、オミクロン株によって誰しもがうつる可能性があり、水際対策をしても正直って全く意味がないくらいの状況になった今、重症化を抑えるかとか、社会を継続して回していくかに重点を置くべきだ。だから先日の予算委員会で質問した時にも、濃厚接触者の待機期間は短縮すべきだという話をした。PCR検査や抗原検査についても、あくまでも陽性と陰性とを判別して、隔離する方は隔離をし、公共交通機関や行政などが継続できるようにするためにするためのものだ。
橋下:泉さんたち立憲民主党がそういう考えなら、もっと明確に打ち出した方がいいと思う。有権者は枝野さんたちの“ゼロコロナ”を今も引きずっているのかなと思ってしまっているのではないか。今はそうではなくて、むしろ岸田政権以上に社会経済活動を認めていくべきだ。もちろん命をないがしろにするわけじゃなくて、それは医療の方で体制を組んでいく。批判はあるだろうが入院基準を厳格化し、できる限りベッドをあけておこうとか。そういうメッセージが伝わってこない。
泉:ある意味で“両面作戦”なところがある。人流の総量を抑えるため、東京都が緊急事態宣言にいくかどうかという話があるが、やはり宣言をしないといけない所もあると思う。それでも、何は止めずに回し続けるのか。例えば今までは自宅療養者全員にパルスオキシメーターを配ると言っていたんだけど、これだけ患者さんが多くなってくると、それも難しくなってくる。若くて、本当に重症化する可能性は低いという方よりも重症化しやすい方に振り向けていかなければならない。
橋下:その、“両立て”というのが分かりにくい。緊急事態宣言は否定していくべきだと思う。枝野さん体制の頃、新型インフルエンザ等対策特別措置法で私権を制限するなと言っていたでしょう?それがいつの間にか”ゼロコロナ”になって、強制的に抑えてはいけみたいな話に聞こえるようになった。
泉:これからの緊急事態宣言というのは、国民に対するメッセージだと思う。今の政府で言うと後藤厚生労働大臣だけでなく山際経済再生担当大臣、堀内ワクチン担当大臣もいてコロナ対策を誰がやっているのか分かりにくいし、メッセージも“マスクをしよう”“三密を避けよう”くらいで、あまり変わっていない。“オミクロン株はこういうものだから、ここは動かしていこう、ここは気をつけてください”といった分類がない。そういう意味で、より深刻になってきた時の“仕切り”の手段の一つとして、緊急事態宣言というのはあり得ると思う」と答えた。
■橋下氏「船の底に大きな穴があいて水が入ってきているという認識を」
橋下:では緊急事態宣言を出した場合、人流抑制は必要だと思うか。「人流よりも人数制限だ」という尾身会長の発言が知事会や政治家から批判を浴びたけれども、“人数制限”というのは象徴的な言い方だと思うし、僕は第1波の頃から「人流よりもその場の対策だ」と言ってきた。密な状況を個別に確認することはできないから人流を抑制するわけだが、このスタジオではこうして距離を取ったり、衝立を設置したり対策しているし、それは飲食でも、職場でも同じだと思う。
泉:居酒屋だけを制限するのもおかしいと思う。例えば昼間の喫茶店でも6人でワイワイやっていたらダメだし、家の中で親族が集まるのも感染源にはなる。一律でそういうことはやめようといい、抑えていかないと。
橋下:そこは新型インフルエンザ等対策特別措置法の施行令の方で入れ込めるわけだし、一義的には政府与党の責任だと思うが、そのことをいろんな番組で与党幹部に話しても、私権制限につながることは野党との協力がどうのこうの…と言う。本来は私権制限をもっと明確にやらないといけないんじゃないか。
泉:僕は『ABEMA Prime』でひろゆきさんから「ゼロコロナなんて、できるわけがないじゃないか」とさんざん言われてしまったが、東京では50人ぐらいまで新規感染者数が減った。だからやれないことはないと思う。ただ、私権を制限するということは、摘発をしないといけなくなる。これはすごく面倒だし、留置所や罰金をどうするのみたいな話も出てくる。社会の労力をそういうことに割くことがコロナ対策として正しいかというと、僕にはそうは思えない
橋下:確かに50人くらいまで下がったが、これは人為的に下げたというよりも、感染がピークを迎えれば下がっていくという現象の中で下がったということだと思う。それから私権制限についても、飲食店に限らず全てのところでマスクや衝立を厳格化することが“人流抑制”よりも先じゃないのか。守らせることはできないと言うけれど、日本は罰則が無くても、号令がかかったら従うような国民性がある。加えて“抜き打ち”という方法がある。消防法にしたって何にしたって、世の中は“全件調査”なんてやってない。そこから逃げていても意味はない。
対策ができるお店は営業を続けてもらう。できないお店には休んでもらう。そして人流は最後のところだという認識。政府与党はそういう認識ではなさそうなので、野党の方からそういうメッセージが出た方が、今の世の中の潮目の変わり具合、みんなの期待にも合っていると思う。泉さんが濃厚接触者の待機期間を短くしろ言ったことも、みんなが思っていること。実際、どう考えたって濃厚接触の認定は追いついていないし、無症状陽性者が活動しているような状況。今は船底に大きな穴があいて水が入ってきている。それをおちょこですくい出そうとしても、しょうがないだろうというような発想で、対策を打ち出してもらいたい。(ABEMA/『NewsBAR橋下』より)
【映像】シングルマザーの益若つばさ「もはや陽性になってしまった方がいいのではないかと…」 濃厚接触者の隔離期間が短縮されないのは、厳しい措置を支持する声が大きいから?
【映像】「オミクロン株はインフルエンザ並のウイルスになっているのに」社会経済活動を停滞させかねない政府の“まん延防止等重点措置”に、医師からも疑問の声
菅前総理、新型コロナウイルスの“5類”引き下げ・緊急事態宣言の発令は「もうしばらく様子を見る必要があると思う」