マイメロ炎上 名言が偏見を助長? – 赤木智弘

BLOGOS

「マイメロディ」公式ホームページ

サンリオが発売を予定していたグッズが発売中止になった。発売中止になったのは「おねがいマイメロディ」というアニメシリーズに登場する、マイメロディのママのセリフをあしらったデザインのグッズである。

その中のセリフに「女の敵はいつだって女なのよ」や「女ってね、ダメな男ほど放っておけないものなのよ」などといったセリフがあったため、TwitterなどのSNSで「時代錯誤ではないか」「ジェンダーバイアスが強い」などとして批判された。そうした声を販売側が汲み取ったのか、発売予定だったグッズの一部が発売中止になったのである。(*1)

アニメ版「マイメロ」のママが残した「名言」

「おねがいマイメロディ」は2005年から2006年まで放送されたアニメシリーズである。マイメロディと言えばハローキティに並ぶサンリオの代表的なキャラクターであり、内容もサンリオのイメージに合わせた子供向けの優しい内容だと思うだろう。

しかし、おねがいマイメロディはファンシーな世界観と大きく異なる、ブラックジョーク満載の内容で放送された。その内容は人々の期待を良い意味で裏切る作品であると評価され、サンリオファンのみならずアニメファンの間でも話題にもなった作品である。そんなおねがいマイメロディの登場人物のひとりが、今回の話の中心となるマイメロディのママ、通称「マイメロママ」である。

作品の中ではマイメロディの回想の中に現れることが多い。ママが話の流れに合わせた皮肉を言う回想が流れた後に、マイメロが「ってママが言っていたわ」としゃべり、その場のキャラクターたちにその指摘が「刺さる」というジョークである。そしていつしか、マイメロママの言葉が、視聴者側からのアプローチなのか、サンリオ側からのアプローチなのか「名言」と呼ばれるようになって今に至っている。

男性も対象ではあったが・・・

最初に明確にさせておくが、マイメロママの「名言」は、決して女性の側を腐すものばかりではなく、男性も同じように腐している。

「パパは野菜を育てて、ママはパパを育てるのよ」という、男性は労働をし、女性がその舵をとるという内容の言葉や、「女の子が気にしているような事を言うような男はぶってもいいのよ」など、女性が男性に対して暴力を振るってもいいとするものも含まれており、決して女性を一方的に見下す内容ではない。

「男も批判しているんだから、フェミが批判をする権利はない」と思う人もいるかも知れないが、男女のどちらがより強く批判されているかに関係なく「男はこういうもの、女はこういうもの」と主張していることそのものが「ジェンダーバイアス」であるとして批判されているのである。

「名言」はアニメ内の演出に過ぎない

マイメロママの名言を擁護する人たちは、「あくまでも作品内のブラックジョークに過ぎない」と主張している。しかし、アニメとは切り離されたグッズにこれらの言葉を並べ、しかもそれを「名言」と呼ぶ人が多くいる状況で、これらの言葉を「ジョークの一環」として認識できるだろうか?

僕の認識ではこの「名言」というのは、あくまでも絵が下手な人を指して「画伯」と呼ぶような名付け方であって、あくまでもその内容は偏見に過ぎないと考えている。だが、擁護する人の中にも先ほど述べたような「あくまでもジョーク」という人の他に「マイメロママの名言は(現実社会においても)正しい」という意見があることが僕には気になってしまう。

確かにアニメの中ではマイメロママの発言は、他のキャラクターたちに見事にズバズバと刺さりまくっている。だから、アニメを見ていると、さもマイメロママの発言は物事の本質を突いた「名言」であるかのように思い込んでしまう。しかしながら、これらの「名言っぷり」はあくまでもアニメの演出に過ぎない。周囲のキャラクターたちが動くことによって、マイメロママの発言が、そのキャラクターたちの本質を突いたように見えただけのことである。

タイトルとURLをコピーしました