IoTスマートホーム事業を手がける株式会社リンクジャパンは1月24日、同社のIoT機器などでスマートホーム化した賃貸マンション「Brillia ist 上野」の一室を報道陣向けに公開した。この部屋は、賃貸物件でありながら、あらかじめIoT機器が組み込まれていて、入居すればすぐにスマート化された鍵、エアコン、照明、電動カーテンなどの利用が可能になる。
Brillia ist 上野は、東京建物の賃貸マンションで、JR上野駅から徒歩圏内にある。今回は、完成間近というタイミングでスマートホーム化が決まったため、スマートホーム化された居室は全36戸のうち6戸にとどまる。スマートホーム化にあたっては、リンクジャパンのIoT機器をハブとし、一部提携社の製品も連動する。
備え付けの機器でスマート化されたものは、玄関の鍵、エアコン、照明、電動カーテン、温度・湿度のセンサーなど。さらに入居者が持ち込むテレビや家電機器などを登録して連動させることも可能で、それらを一括制御が可能となる。
リンクジャパンはハブとなる“家のOS”を提供する
リンクジャパンは、IoTプラットフォームでワンストップサービスを提供する、国内初のIoT専門企業。同社CEOの河千泰進一氏は、シリコンバレーでIoTという言葉が生まれたことを知って、ライフワークにしたいと思い起業した。住宅向けにフォーカスした理由は、ほかのジャンルよりも参入しやすかったからだといい、ここまでの発展は、当初は予想していなかったという。
同社ではすでに、赤外線スマートリモコンといったハードウェアの提供をしているが、現在はホームリンクアプリのサービス提供に注力。今後はハードウェアの開発に注力するのではなく「ホームリンクをベースにさまざまなサービスと技術をアップデートすることで機能を増やしていく」といい、「ハードウェアにとらわれず、アップデートできる世界を提供を提供していきたい」としている。
ソフトウェアに注力、将来的にはハードウェアは提携企業に任せるとしている河千泰氏だが、一方でハードウェアへのこだわりも強い。例えば同社のスマート電球の開発にあたっては、当初、既存製品と提携してスマート電球の機能を提供することも検討していたが、自らも自宅に設置して使いやすさなどを検証した結果、あまり使いやすくなかっため、手頃な価格で自社製品を登場させたのだという。
また、ホームリンクアプリ自体は今後も提携先を広げていく一方で、Zigbeeの米CSA(Connectivity Standards Alliance)が提唱するスマートホームの共通規格「Matter」への対応も検討していると言う。現在、リンクジャパンの製品はZigbeeの規格に準拠して作られているため「Matter」への対応が難しくなく、Matterに対応した場合は将来、一気に対応製品が広がる可能性もあるとしている。