「食べ順ダイエット」は本当に効果的があるのか?

GIGAZINE
2022年06月26日 12時00分



健康的な食生活やダイエットに関心がある人の中には、「食べ順ダイエット」という言葉を見聞きしたことがある人も多いはず。ごはんやパンなどの炭水化物を食事の最後に回すことで、血糖値の急上昇を抑えるというこの食事法の実際の効果について、専門家が解説しています。

‘Food sequencing’ really can help your glucose levels. Here’s what science says about eating salad before carbs
https://theconversation.com/food-sequencing-really-can-help-your-glucose-levels-heres-what-science-says-about-eating-salad-before-carbs-181263

◆そもそも食べ順ダイエットとは?
食べ順ダイエットとは、食物繊維が多い野菜類、タンパク質が多い主菜、炭水化物であるごはんなどの主食の順番で食べることで血糖値が乱高下する「グルコーススパイク(血糖値スパイク)」の発生を防ぐことを目的とした食べ方です。

血液中のグルコース濃度が高くなりすぎると、炎症を誘発するホルモンやタンパク質の影響で血管や内臓がダメージを受け、糖尿病や心臓病などさまざまな疾患の要因となります。そのため、特に糖尿病の人や肥満の人、反応性低血糖食後低血圧の人では、できるだけ血糖値のピークを抑えることが重要とされています。


◆炭水化物の前に何かを食べることの意味は?
オーストラリア・アデレード大学で肥満と代謝について研究しているレオニー・ハイルブロン氏によると、炭水化物の前に特定の食べ物を食べると血糖値や消化の速度に影響があることが、複数の研究で分かっているとのこと。

たとえば、サラダなど繊維質が豊富な食事をとると、胃に入った食べ物が腸に出るまでの時間が長くなるので、グルコースを含む栄養が血中に吸収されるのも遅くなります。また、タンパク質や脂肪分にも食べ物が胃から出るまでの時間を遅らせる効果があるほか、特にタンパク質にはグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)というホルモンを活性化させるというメリットもあります。

GLP-1とは、タンパク質が腸の細胞に触れると分泌されるホルモンで、すい臓に作用して血糖値をコントロールするインスリンの分泌を助ける働きがあります。また、GLP-1自体にも胃から食べ物が出るまでの時間を長くする効果があるので、GLP-1を補うGLP-1受容体作動薬は糖尿病治療や血糖値をコントロールする治療に活用されています。


◆実際の食事では効果がある?
実際に所定の順番で食べ物を食べた人の血糖値を調べる実験でも、ある程度の効果が確認されています。例えば、プロテインのシェイクを飲んだ30分後にマッシュポテトを食べてもらう2009年の研究の研究では、同時に食べたり事前に水を飲んだりした場合よりも血糖値の上昇が抑えられることが確認されました。とはいえ、食事中に料理と料理の間に30分も時間をあけるのは少し長すぎると言えます。

健康な中国人16人に、野菜・肉・米をさまざまな組み合わせと順番で、15分以内に食べてもらう2020年の研究でも、最初に野菜を食べることによって血糖値の上昇が抑えられることが確認されました。ただし、その差はそれほど大きくなかったとのこと。つまり、早食いをしてしまうと効果は最小限になってしまうことになります。

こうした点からハイルブロン氏は、「糖尿病などの疾患をお持ちの人は血糖値の上昇に注意が必要なので、担当医や栄養士から食べる順番についてのアドバイスを受けることもあると思います。一方、健康な人は食事の順番に縛られる必要はないでしょう。ただ、糖分が多いドリンクを避けて、炭水化物だけでなく繊維やタンパク質、脂肪分も一緒に食べて血糖値の上昇を抑えるというのは一考に値します」と述べました。

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