AIの開発競争に日本も参入へと向かう ほか【中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」2023/5/18~5/24】

INTERNET Watch

1. AIの開発競争に日本も参入へと向かう

 OpenAI、マイクロソフト、グーグルらの大手IT企業らによるAIの開発競争が激化してきた。

 そのようななか、日本でもAIに対する独自の取り組みが出てきた。7期連続でスーパーコンピューターの性能ランキングで世界1位を獲得した富岳(理化学研究所と富士通の共同開発)(ITmedia)を使って、東京工業大学、東北大学、富士通、理化学研究所が大規模言語モデル(LLM)の分散並列学習手法の研究開発を開始する。研究成果は2024年度にGitHubやHugging Faceで公開する予定だ(Impress Watch)。また、名古屋大学やサイバーエージェントとの連携も検討するという。

 また、理化学研究所と米インテルは、AIや量子コンピューター開発などの次世代コンピューティング分野の共同研究を加速させる連携や協力に関する覚書を締結した(PC Watch)。

 日本の各社はChatGPTをサービスに組み込む動きが報じられているが、AIの開発競争にも取り組む組織が出てきたことで、今後の成果に期待をしたい。

ニュースソース

  • 「富岳」で大規模言語モデルの研究開発[Impress Watch
  • スパコン「富岳」、2部門で7期連続の世界1位 「総合的な実力の高さ示した」[ITmedia
  • 理研とIntel、AIや量子コンピュータ開発で協業[PC Watch

2. サブスクリプションサービスや動画投稿サービスが好調――JASRAC事業内容公表

 日本音楽著作権協会(JASRAC)が2022年度の事業内容を公表している(ITmedia)。それによると、楽曲の使用料徴収額は前年度と比較して122億8000万円増加した1290億1000万円、分配額は1256億4000万円で、いずれも過去最高になった。その理由として「サブスクリプションサービスや動画投稿サービスが好調だった他、コロナ禍の行動制限が緩和されて演奏会なども大幅増となった」としている。まさにインターネットでのコンテンツ消費動向を反映している結果といえるだろう。

ニュースソース

  • JASRAC、徴収額が過去最高に ネット配信がけん引 1290億円超え[ITmedia

3. G7サミットではデジタル分野も議題に

 5月21日にG7広島サミットが閉会した。ウクライナのゼレンスキー大統領の参加をはじめ、グローバルサウス各国の首脳も参加し、世界的な課題に対する議論が行われたことは多く報じられているところだ。そのなかにはAIをはじめとするデジタル技術の進展に関する話題も含まれている(Impress Watch)。

 G7広島首脳コミュニケでは「『責任あるAI』の推進のため、透明性、開放性、公正なプロセス、公平性、プライバシー及び包括性を推進する手続の重要性の認識などを強調。加えて、『信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)』を促進することの重要性」について書き込まれている。

 「G7(カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国に加えてEU)の首脳らは、G7作業部会を通じて2023年末までに『広島AIプロセス』を立ち上げることを関係閣僚に指示する」としていて(CNET Japan)、今後、議論が活発化することになりそうだ。

 G7以外でも、AIの急速な発展に対して懸念を表明する専門家も出てきている。英科学誌「ネイチャー」にコンピューター科学や社会学、環境学などの米国の研究者6人が執筆した論文が掲載された(朝日新聞デジタル)。「データを公開したがらないテック企業を説得し、外部の独立した研究者が検証できるようにする組織が必要だ」と訴えている。

 また、ChatGPTを開発したOpenAIのサム・アルトマンCEOも米国議会で「AIの倫理的な問題点に言及し、免許制にしたり第三者機関の監査を受けたりするといった規制」を提言している(Impress Watch)。

 生成型AIに関する理解が浸透するとともに、今後、より議論も深まるだろう。

ニュースソース

  • G7広島サミット閉幕 デジタルやAIについても議論[Impress Watch
  • 生成AI、G7サミットでも議論に–「広島AIプロセス」立ち上げへ[CNET Japan
  • ChatGPT「政府間で監視を」 研究者、テック版のIPCC提唱[朝日新聞デジタル
  • OpenAI、未来の“スーパーAI”は原子力並みの規制が必要と訴え[Impress Watch

4. ゲームプレイ動画の配信者を逮捕

 一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA)の発表によれば、「宮城県警察本部生活環境課と南三陸警察署は5月17日、YouTubeを通じてゲームプレイ動画やアニメを権利者に無断でアップロードしていた男性1人を、著作権法違反の疑いで逮捕」したということだ(INTERNET Watch)。容疑者は、エンディングを含むゲームのストーリーを1時間程度にまとめた動画をYouTubeにアップロードし、広告収益を得ていたとともに、アニメ作品を権利者に無断で編集し、字幕やナレーションを付けた動画(いわゆるファストコンテンツ)もアップロードしていたとされる。原則として、動画のアップロードや配信には、権利者の許諾が必要とされる。

 今回の事件を前例として、今後、同様なケースの取り締まりは強化されると思われる。

ニュースソース

  • YouTubeでガイドライン違反のゲーム動画などをアップロードしたユーザーを逮捕 「シュタインズ・ゲート 比翼恋理のだーりん」エンディングまでを1時間程度の動画にして公開[INTERNET Watch

5. AIに積極姿勢を見せるマイクロソフト

 米マイクロソフトは年次開発者会議「Microsoft Build 2023」を開催した(ITmedia)。サティア・ナデラCEOは「われわれはAIをすべての製品とサービスのレイヤーに注入している」と語っている。また、「AIチャットインターフェースの登場は、コンピューティングの進歩にとってインターネットや『iPhone』の登場といった他の大きな節目と同じように重要だ」と述べている。主なポイントは「ChatGPTでBingが利用可能になる」「Bingで使えるプラグインの増加」「Windows Copilot登場」「Microsoft 365 CopilotがEdgeに統合」などである。

 また、Bing Image CreatorやMicrosoft Designerなどの画像生成AIを採用したマイクロソフト製品で作成された作品に「画像や動画がAIによって生成されたものかどうかを判断する機能」を提供すると表明した(CNET Japan)。

 マイクロソフトがシェアを持つオペレーティングシステムやオフィススイートを通じてAIを活用する利便性が高い機能が新たに提供されるということは、近年では最大の技術のジャンプといえよう。

ニュースソース

  • AI一色な「Microsoft Build 2023」で発表された非開発者向け新機能まとめ[ITmedia
  • AI生成コンテンツの安全性向上へ–マイクロソフトが複数のツールを発表[CNET Japan
  • 「Microsoft 365 Copilot」、「Edge」にネイティブ統合へ[CNET Japan
  • WindowsにAIチャットを組み込む「Windows Copilot」発表–6月プレビューへ[CNET Japan
  • マイクロソフトの「Bing」、「ChatGPT」のデフォルト検索エンジンに[CNET Japan
  • 新しいBing さらにアップデート プラグインはChatGPTと共通化[Impress Watch

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