古文書などの「くずし字」解読が簡単にできる一般向けAI-OCRアプリ、凸版印刷が開発。2023年提供予定 

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 凸版印刷株式会社は、スマートフォンで撮影したくずし字の資料を、その場で手軽に解読できるアプリを開発したと発表した。正式版のリリースは2023年3月の予定。

 同社はこれまで、法人向けの古文書解読支援システム「ふみのはゼミ」などを提供していたが、「手元の古文書を手軽に読みたい」といった一般向けサービスの要望が多かったことから、今回のアプリ開発に至ったという。

 くずし字には、手書きのもの(書簡や証文、日記などの古文書)と木版印刷物(版本や錦絵など)があり、それぞれに文字の形や使われている字種が異なるという。アプリでは、手書きと木版のそれぞれに対応した、AIにより崩し字を解読するOCRエンジン(AI-OCR)2種類を搭載。解読率90%の精度を誇るとしている。

 アプリ内では、つなげて書かれた文字の区切りの判別も含め、AIが自動で崩し字を解読する「フルオートモード」、1文字ごとに候補を提示し、ユーザーが候補を選択することでより詳細な解読が行える「1文字モード」の2つの解読モードが利用可能。解読モードやAI-OCRの切り替えは、大きく見やすいボタンによって、PCやスマートフォンの操作に不慣れでも手軽に解読できるという。

 同アプリは、2022年9月より資料館や大学などと連携した実証実験を開始。2023年1月にiOS版アプリのベータ版を公開し、同年3月に正式版をApp Storeにて販売予定としている。料金は未定。また、法人向けに個別のカスタマイズおよびAPI提供も予定しているという。

 凸版印刷では、研究機関などにおける作業の効率化を図れるだけでなく、個人の所有する歴史資料の破棄や散逸の防止にも貢献できることを期待しているという。

 実証実験に協力している公益財団法人三井文庫の下向井紀彦氏(主任研究員)は、「ふみのはゼミ」よりも資料の仮翻刻(くずし字を読み、現代の文字にすること)作業が簡単になったとし、現場の負担軽減に寄与してくれると考えている、とコメントしている。

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