天文学者が「地球に向けて膨大なエネルギーを発する謎の物体」を報告

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オーストラリアの研究チームが「1時間に3回というペースで地球に向けて膨大なエネルギーを放出する謎の物体」を新たに報告しました。太陽系から約4000光年という距離に位置する問題の物体は、観測史上前例のない光り方をしていたとのことで、研究チームは「全く予想外」「ちょっと不気味」とコメントしています。

A radio transient with unusually slow periodic emission | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-021-04272-x

Mysterious object unlike anything astronomers have seen before – ICRAR
https://www.icrar.org/repeating-transient/

Unexplained Radio Signal Unlike Anything Seen Before Found By Astronomers | IFLScience
https://www.iflscience.com/space/unexplained-radio-signal-unlike-anything-seen-before-found-by-astronomers/

Astronomers detect powerful cosmic object unlike anything they’ve seen before | Live Science
https://www.livescience.com/ultra-slow-magnetar-new-stellar-object

新たにオーストラリアの国際電波天文学研究センター(ICRAR)のナターシャ・ハーレイ-ウォーカー氏が報告した「GLEAM-X J162759.5-523504.3(以下、GLEAM-X)」は、「18分に1度というペースでおよそ1分間巨大なエネルギーを放出する」という物体。エネルギー最大時には全天体でも屈指の明るさに達しますがおよそ1分後には暗くなり、また18分後には輝き出す……という動きを繰り返したとされています。

ICRARが作成した、GLEAM-Xのイメージムービーが以下。

Repeating Transient Animation
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明滅するGLEAM-Xを天体図に模式的に描き込んだ図が以下。

Repeating Transient Profile
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このような明滅を繰り返す天体は「Transient(突発天体)」と呼ばれますが、今回のGLEAM-Xは突発天体の中でも前例のない存在とのこと。突発天体は基本的に超新星のような「数日かけてエネルギーを増し続け、その後数カ月かけて消え去る」というタイプと、パルサーのような「ミリ秒単位で明滅を繰り返す」というタイプの2種類に分類されます。今回のGLEAM-Xは前者にしては明滅が早すぎ、後者にしては明滅が遅すぎるため、ハーレイ-ウォーカー氏いわく「全く予想外」とのこと。

GLEAM-Xは太陽系から約4000光年離れているため、一連の明滅現象自体は約4000年前に発生したものです。研究チームはエネルギー最大時の明るさと、太陽よりも小さいというサイズ、そして非常に偏光した電波を放出したという点から、その存在が理論上予言されていたゆっくりと回転する中性子星の一種である「超長周期マグネター」か、ないしは「超強力な磁場を持つ白色矮星」ではないかと判断しています。

ハーレイ-ウォーカー氏は今回の観測結果について、「理由はわかりませんが、この物体はこれまでに観測された天体よりもはるかに効率的に磁気エネルギーを電波に変換しています」とコメント。今後は既存の観測記録からGLEAM-Xに該当する記録を探す予定だと語りました。

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