1. NTTドコモが描く5Gと6Gの未来図――「docomo Open House’22」まとめ
1月17日~19日、NTTドコモはプライベートイベント「docomo Open House’22」をオンラインで開催した(メディア向けにはリアルイベントも開催された)。
そのなかではNTTドコモの5Gと6Gに向けたさまざまな取り組みが紹介されている(ケータイWatch)。とりわけ、6Gの技術開発に関して、「5Gの反省を踏まえながら、特許やビジネス、競争などのさまざまな戦略を考えていく必要がある。あとは、個々で対応できるような時代ではないので、いかに複数で連携して効率的に技術を開発していくか、というのが重要になってくると思う」(R&Dイノベーション本部 6G IOWN推進部長の中村武宏氏)としている。
先進技術の発表もされている。「ネットワークで人間の感覚を拡張する『人間拡張』を実現する基盤の開発」では、「脳や身体の情報をネットワークに接続し、人間の感覚を拡張する」とし、「6Gでは通信速度が人間の神経の反応速度を上回るようになるため、これが可能になる」という(TechCrunch日本版)。
戦略的には、NTTドコモとNTT、エアバス、スカパーJSATの4社が、高高度プラットフォーム(HAPS:High Altitude Platform Station)の早期実用化に向けた研究開発、実証実験の実施に関する協力体制構築の検討を推進するための覚書を締結したと発表されている(ケータイWatch)。地上、海上、上空の未だカバーされていない領域を狙い、宇宙を使ったインフラの構築は大手各社が取り組みを進めていることから、これから競争も激化しそう。
また、「電波を伝送するケーブルの近くに置くだけで、通信エリアを作り出せるアンテナ」など、基礎技術の開発も発表されている(ケータイWatch)。「従来の手法では電波が届きにくい場所であっても、よりスムーズに通信エリアを構築できるようになる」ことが期待される。
そして、「人の表情を、3Dアバターにリアルタイムに伝送・反映する遠隔接客システム」では、一般的なWebカメラで表情を撮影し、アバターにリアルタイムで反映できるという技術(ITmedia)。今後、VR空間などで、アバターを活用する場合の表現力の向上に結び付きそうだ。
ニュースソース
- 「2030年に宇宙もエリア化」、ドコモが描く5Gと6Gの未来図[ケータイWatch]
- ドコモが「ケーブルの近くに置くだけ」アンテナ開発、6Gに向け[ケータイWatch]
- NTTドコモ、脳・身体の情報をネットワークに接続し人間の感覚を拡張する6G時代の「人間拡張」のための基盤を開発[TechCrunch日本版]
- NTTドコモら4者、HAPSの早期実用化に向け連携を推進へ――宇宙RAN事業で離島や飛行機などへのカバレッジ拡張を目指す[ケータイWatch]
- 人の表情をアバターに反映 一般的なWebカメラでOK VR接客システム、ドコモが開発[ITmedia]
2. 5Gが航空機の運行に影響
米国で1月19日から始まる新たな5Gサービスの周波数が、ボーイング777型機の電波高度計へ干渉する恐れがあるとし、ANA(全日本空輸)とJAL(日本航空)は、安全性が確認されるまで、米国便の一部を欠航すると案内した(ケータイWatch)。原因として、「米国では、5G用の新たな周波数として、Cバンドと呼ばれる周波数帯域(同国内では3.7~4.2GHz帯)の電波オークションが2020年~2021年にかけて実施され、AT&Tとベライゾンの2社が落札し、新周波数帯でのサービスを開始する予定だった」。しかし、「米連邦航空局(FAA)の文書によれば、無線高度計は4.2~4.4GHz帯で動作する」ことから、航空業界が「5Gサービス用に使われる周波数の一部が無線高度計へ干渉する懸念」を表明したことに起因している。
また、現地メディアでは、米国大手航空会社は「バイデン政権に『即時介入』を要請した」とも報じられている(CNN)。
無線通信技術を利用するサービスはますますニーズが高まることは間違いなく、干渉問題はこれからも起こり得る課題である。
3. 早急な対応が必要――「Apache Log4j」脆弱性問題
「日経XTECH」の記事(日経XTECH)によると、「2021年末に明らかになったJavaのログ出力ライブラリー『Apache Log4j』の脆弱性が、ランサムウエア(身代金要求型ウイルス)攻撃に悪用され出した」ようである。1月10日にはマイクロソフトもLog4jの脆弱性を悪用する新手のランサムウェア「Night Sky」が広まっているという認識を示している。
しかも、これは対岸の火事ではなく、国内の企業もすでにその被害に遭っていることが報じられている。各社とも、最新情報に留意し、早急な対応が必要な段階といえる。
ニュースソース
- Log4jの脆弱性を悪用するランサムウエアが出現、既に日本のIT企業で実害か[日経XTECH]
4. NFTに関連する国内の新サービスが続々
NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)に関連するニュースが多い。
ファンエコノミー事業を展開するGaudiy(ガウディ)と大日本印刷は「アニメ、マンガ、ゲームなどの新しい知的財産を活かしたビジネス創出を目指して」業務提携を発表した(TechCrunch日本版)。
楽天はNFTマーケットプレイスおよび販売プラットフォーム「Rakuten NFT」で提供する初めてのコンテンツを円谷プロダクションのアニメ「ULTRAMAN」(ウルトラマン)のCG作品に決定した(Impress Watch)。
ミンカブ・ジ・インフォノイドは浦和レッドダイヤモンズとともに、浦和レッズ初の「NFTコンテンツ」の販売で協業することを発表した(Media Innovation)。
さらに、レコチョクはNFTの発行から販売、チケットなど、ブロックチェーンを活用したソリューション事業へ本格参入を発表した(ASCII.jp)。
デジタルコンテンツのビジネスと親和性が高いとみられ、各社がこぞってNFTへの対応を進めている。市場、つまりより広く消費者がNFTを理解できるようにプロモーションしていくことなどが今後の課題か。
ニュースソース
- Gaudiyと大日本印刷、ブロックチェーンを活用したコンテンツビジネス・次世代のファンサービス構築を目指し業務提携[TechCrunch日本版]
- Rakuten NFT、第1弾は「ULTRAMAN」のCGアセット[Impress Watch]
- ミンカブがNFTソリューション事業へ参入・・・第1弾は浦和レッドダイヤモンズとのNFTコンテンツ販売[Media Innovation]
- レコチョク、NFTアイテムの発行から販売などブロックチェーンを活用したソリューション事業へ本格参入[ASCII.jp]
5. 最近の情報通信技術への取り組みを進める各社の動向
デジタルトランスフォーメーション(DX)は今年も企業活動にとって重要な取り組み課題になるだろう。
これまでも、各事業会社が先進技術の採用をしたことが報じられてきているが、それをまとめた記事を産経新聞(産経デジタル)が掲載をしている。
まず、保険各社がAIを駆使しているという話題はこれまで比較的多く報じられてきた印象があるが、それを一覧としてまとめている(ITmedia)。各社損害の算定、支払処理を自動化することによる効率化を進めていることが分かる。こぞって対応をしているところから、保険会社にとってはこうした部分の効率化が共通の課題であったとみられる。
また、産経新聞(産経デジタル)はメタバースについても各社動向をまとめている(ITmedia)。「日本企業によるメタバース関連の取り組み」として、電機メーカーや通信事業者などの取り組みを一覧表にしている。こちらも散発的に報じられてきたが、こうして見ると要素技術や基本サービスが着々と整いつつあるようだ。海外動向では大手IT企業が提供するサービスに目が行くが、日本では産業の総合力により、国際競争に参入するということか。