Samsung、TVでクラウドゲーミングをプレイできる「Samsung Gaming Hub」をデモ

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持続成長(Sustainability)可能なデジタル産業の実現を目指すとSamsungのハンCEO

 韓国Samsung Electronics(以下Samsung)は、CES 2022の基調講演に同社 副会長 兼 CEO 兼 DX部門責任者 ジョン・ヒー・ハン氏が登壇し同社が掲げる持続可能なデジタル業界に向けた取り組みや、今度同社がリリースする予定の製品などを発表した。

 ハン氏は「Together for Tomorrow」(一緒に素晴らしい明日を迎えよう)という標語をタイトルとして掲げており、気候変動への対応など地球環境の維持のため、カーボンニュートラル(二酸化炭素の排出と吸収のバランスがとれていること)の実現がデジタル業界に置いても重要だということ強調し、リサイクル可能なパッケージや素材の採用、太陽光で動くリモコンなど小さなことから始めることが、総じてデジタル業界も全体で持続可能な産業になっていくとそのビジョンを説明した。

 また、今や冷蔵庫、TV、スマートフォンやPCまでといった白物から黒物まで幅広い製品をそろえる総合メーカーで業界のリーダーとなったSamsungの現状を反映し、未来に向けた提案を行ない、最大で100型サイズまで投影でき円筒型のポータブル・プロジェクターとなる「Freestyle」を発表したほか、スマートTVやディスプレイなどからGeForce NOWやGoogleのSTADIAなどのクラウドゲーミングが利用できるようになる「Samsung Gaming Hub」の構想を明らかにし、その専用ディスプレイとして55型のゲーミング用ディスプレイなどを公開した。

 Samsungは現在デジタル業界で策定が進む「Matter」(マター、スマートホーム用機器が相互にデータをやりとりするときのプロトコル)の取り組みへの参加を発表しているが、機器同士の接続互換性や顧客データの安全なやりとり、さらには電力効率の改善といった取り組みを業界各社と協力して進めるHCA(Home Connectivity Alliance)への加盟を明らかにし、今後ほかのメーカーとも協調して業界全体でスマートホームの取り組みを進めると強調した。

SamsungのスマートTVやディスプレイがGeForce NOWやSTADIAなどクラウドゲーミングのクライアントになる

Samsungが発表したFreestyle

 講演の後半では、Samsungが今年投入する予定の製品などが紹介された。最初に紹介された「Freestyle」で、円筒型のバッテリ内蔵プロジェクタ。最大(8.8フィート離した時)で100型サイズのFHD(1,920×1,080ドット)ディスプレイとして利用可能。スタンドの角度は180度調整できるので、横にして真横に映すこともできるし、真上に向けて天井に映すことも可能。また360サラウンドスピーカーを内蔵しており、視聴者がどこにいても音声を聞くことができる。

 USB Type-C/USB PDで電源を供給できるので、外部バッテリと組み合わせると外出先でも利用できる。OSはTizenが動作しており、各種の動画配信サービスなどを利用できる。TVのHDMIポートに接続してAmazon PrimeビデオやNetflixを再生するデバイスのような機能が標準で入っていると考えるとわかりやすいだろう。自宅の好きな場所に移動してコンテンツを表示したり、外に持って行ってキャンプで使ったりなどの使い方が想定されている。既に米国では予約が始まっており、米国での価格は899.99ドル。

Samsung Gaming Hubの機能が今年中に提供開始される

GeForce NOW、STADIA、Utomikのクラウドゲーミングのタイトルをプレイできるようになる

2022年に発売されるスマートTVやディスプレイに搭載

 また、2022年中に、SamsungのスマートTVやディスプレイに「Samsung Gaming Hub」と呼ばれるクラウドゲーミングや動画コンテンツなどにアクセスできる機能を搭載する計画であることが明らかにされた。Samsung Gaming Hubは、NVIDIAのGeForce NOWやGoogleのSTADIA、Utomikといったクラウドゲーミングがプレイできるようになると明らかにされており、今後はGeForce NOWなどと契約しておくと、SamsungのスマートTVやディスプレイだけでゲームがプレイできるようになる。

 また、そうしたゲーミング向けのディスプレイとして、55型の曲面ディスプレイも紹介された。の55型の曲面ディスプレイはOdyssey Arkという名称がつけられており、1000Rという横から見るとかなり大げさに曲がったデザインになっている。マルチビューも用意しており、24型分にゲームを表示して、残りにはZoomの画面やSNSの表示を出す、そうした使い方も可能だと説明された。ただし、残念ながら実物は公開されなかったが、実現可能であるならかなり期待できそうだ。

matterへの対応を強調、エアコンなどとスマートホーム機器の連携を実現するHCAに加盟を発表

今年のCESの隠れたトレンドの1つであるmatterへ対応

 また、Samsungはスマートホームの実現に向けて重要な取り組みを明らかにした。既にSamsungは「matter」と呼ばれるAmazon、Apple、Googleなどが中心になって作られたスマートホーム機器向けのプロトコル仕様を策定する業界団体CSA(Connectivity Standards Alliance)にも参加しており、今回のCESの基調講演でもmatterを採用し、自社のスマートホームデバイスだけでなく、業界標準を採用した他の機器とも接続して本物のスマートホームの実現を目指すと強調した。matterに対応した機器は今回のCESでも多くの企業が対応した製品を展示しており、今年のスマートホームのトレンドの1つになりそうだ。

HCA(Home Connectivity Alliance)に参加

各社と協力してデジタルホームの取り組みを加速していく

 それに加えて今回のCESでは、HCA(Home Connectivity Alliance)にも参加することを明らかにした。CSAがIoT機器のプロトコルなどの技術的な仕様を決める団体であるのに対して、HCAはHAVC(空調機器)などとTVなどで異なるメーカー同士で接続する際に発生する非互換性やクラウドサービス同士の連携などに関しての仕様策定など推進する団体。SamsungはArçelik、The Electrolux Group、Haier、GE Appliances、Trane Technologiesなどの他の加盟メンバーとそうした非互換性やクラウドサービス同士の連携、さらにはユーザーデータの保護などのセキュリティー面などで協力して実装していくと明らかにした。

 これにより、例えばSamsungのTVからGE Appliancesのエアコンをコントロールしたりなどが可能になると考えられる。こちらも注目に値する動向だと言えるだろう。

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