追加接種の遅れ 国民に不満蓄積 – 舛添要一

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  新型コロナウイルスの急激な感染拡大、1月15日、1日の感染者が遂に2万5千人を超えた。

  岸田政権が発足してから3ヶ月経つが、支持率も上昇して順調に滑り出している。

  しかし、急増するオミクロン株感染への対応で、ワクチンの追加接種が遅れるなど、国民の間に不満が蓄積しつつある。

  ワクチンの追加接種、飲み薬の普及といった武器はあるにしろ、この感染拡大への対応に失敗し、国民の不満がさらに嵩じれば、コロナで足を引っ張られた菅内閣と同じような運命を辿る危険性もある。欧米では感染対策のため、様々な規制を再強化しており、それが経済に大きなマイナスとなっているが、日本も同様な状況に陥るかもしれない。

  昨年秋の衆院選では、自民党には予想外の大勝となったが、今年の夏には参議院選挙が行われる。参院選は、アメリカの中間選挙のような意味を持っており、次の衆院選の前哨戦となる。

  たとえば、2007年の参議院選挙では、年金記録問題で国民の批判に晒された自民党(安倍晋三党首)は27議席減、民主党(小沢一郎党首)は28議席増で、第一党が民主党(109議席)、第二党が自民党(83議席)となり、公明党の20議席を合わせても、与党(定数242)は過半数に達しなかった。

  この結果、「ねじれ国会」となり、厚労大臣の私は、国会対応に苦慮したものである。そして、2009年夏の衆院選では自民党は惨敗し、民主党への政権交代となった。「非自民・非共産」をうたった民主党は、参議院選で助走を始め、次の衆院選で一気にゴールに達したのである。

  この例を見ても分かるように、参議院選挙は政治の方向を占う重要な先駆けとなるのである。今の参議院(定数248に増加)は、自民108(54・・改選対象、以下同じ)議席、公明28(14)議席、立民45(23)議席、維新15(6)議席、共産13(6)議席、国民12(7)議席、れいわ2(0)議席、社民1(1)議席、N党1(0)議席であり、自民党は単独で過半数を有していない。衆議院とは大きく違うのである。

 勝敗の鍵を握るのは32の1人区であるが、小党分立している野党が選挙協力できるかどうか。先の衆院選のような有権者の共産党アレルギーをいかにして克服するのか、野党も知恵を出さねばならない。

 外交については、米中対立、米露対立など、冷戦への逆行を思わせる国際情勢への対応が問われることになる。民主主義、人権といった理念を先行させるバイデン政権は、北京五輪の外交的ボイコットを行うなどして、習近平政権の神経を逆なでしている。日本は、北京五輪については、米中双方の顔を立てる形で玉虫色の決着を図ったが、今後もその方針が貫けるとはかぎらない。

 ウクライナ情勢も緊迫感を増している。日本人にとっては遠いヨーロッパの話であろうが、第三次大戦の引き金を引くことになりかねないほど、米露の対立が激化している。

 韓国では、3月9日に大統領選が行われる。次期政権がどうなろうと、岸田首相には、ソウルとの関係を改善する手を打てるのかどうかが問われている。

 外交でも岸田政権に大きな課題が山積する2022年である。