まん延防止より3回目接種進めよ – 舛添要一

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 新型コロナウイルスの変異株、オミクロン株の感染が急速に世界に広がっている。1日の感染者が、アメリカでは100万人、フランスでは30万人、イギリスでは20万人を超えている。

 日本でも、倍々ゲームといった感じで、1月8日には、コロナ感染者は、東京都で1224人、沖縄県で1759人、全国で8000人を超えた。

 ウルズラ・フォン・デア・ライエンEU委員長は、オミクロン株は1月中旬までにヨーロッパを席巻するだろうと述べている。

 WHOによれば、オミクロン株はすでに世界120カ国以上で確認されており、感染の速度がデルタ株よりも速い。感染しても重症化したり死んだりする人の比率は下がっているとされているが、まだ十分なデータが揃っているわけではない。

 感染歴のある人の感染率がデルタ株の5倍以上というデータもある。また、2回接種完了者でも感染するケースが続出している。この点は問題であるが、3回目の接種(ブースター接種)は有効だという。

 イギリス政府は、追加接種の対象を40歳以上から18歳以上に引き下げ、2回目接種からの間隔を6ヶ月から3ヶ月に短縮した。そして、年内にブースター接種の完了を目標に軍隊も動員して接種を急いでいる。

 日本では、十分な根拠も示さないまま、厚労省が8ヶ月後という方針を固め、自治体もその指示で動いてきた。岸田首相が6ヶ月後に前倒しすることを決定したのは12月17日である。あまりにも遅い。

 日本は、ワクチン接種などのコロナ対策は、ヨーロッパの周回遅れである。政府に諮問する専門家たちの責任も大きい。皮肉を言えば、欧州など海外の先行事例があるので、それを参考にして対策が立てやすいはずである。ところが、その先行事例を活用することをしない。

 1月8日の段階で、イギリスでは、オミクロン株の感染がピークアウトしたようだが、それは3回目の接種をした人が12歳以上の60%に上るからである。だから、オミクロン株の収束が早い。日本では医療関係者もまだ未完了である。イギリスでも医療従事者の感染で人手不足が起こっている。沖縄もそうだ。まん延防止等重点措置もよいが、それよりも3回目接種に政府は全精力を集中すべきである。

 オミクロン株が重症化しにくい、つまり弱毒化を進めていることは、ウイルスの生き残り戦略としても理解できるところである。このまま普通の風邪に変化していけばよいのだが、まだそれを予測させるデータが足りない。また、先述したように、コロナ既感染がオミクロン株感染の防護壁にはならないというのも厄介である。

 ワクチンの追加接種が最も有効な武器である。

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