2020年に組み込み向けのRaspberry Piである「Raspberry Pi Compute Module 4」が発表されて以来、さまざまなPCI Express対応ネットワークカード(NIC)をテストしてきたというソフトウェアエンジニアのジェフ・ゲーリング氏が、Linux向け2.5Gbイーサネットアダプタの実効速度を検証しています。
Check your driver! Faster Linux 2.5G Networking with Realtek RTL8125B | Jeff Geerling
https://www.jeffgeerling.com/blog/2021/check-your-driver-faster-linux-25g-networking-realtek-rtl8125b
さまざまなNICの検証を行ってきたゲーリング氏が興味を持っているNICのひとつが、「安価な2.5ギガビット(Gb)イーサネットアダプタ」です。2.5ギガビットイーサネットアダプタは、Raspberry PiのPCI Express 2.0レーン1つで利用できるNICとしては最も高い帯域幅を実現できるものとのこと。ゲーリング氏は「2.5ギガビットイーサネットアダプタは10ギガビットネットワークよりもはるかにアクセスしやすく、すでにCAT5eのLANケーブルを配線していて、CAT6以降のLANケーブルに交換するのが面倒というユーザーにとってはベストの選択肢です」と語っています。
そんな2.5ギガビットイーサネットアダプタを使用しているNASの一例として、ゲーリング氏はASUSTORのDrivestor 4 ProとRaspberry PiをベースとしたRadxa Tacoを挙げており、これらの実効速度を測定。2つのNASはどちらもRealtekの2.5ギガビットイーサネットアダプタである「RTL8125B」を採用しているという共通点を持っています。
実効速度の測定にはクライアントとサーバーの間のネットワーク帯域幅と実効速度を測定するためのツール・iperf3が用いられており、2つのNASの実効速度は「Radxa Taco」が1.89Gbps(毎秒1.89Gb)、「Drivestor 4 Pro」が1.87Gbpsで、1.9Gbpsをわずかに下回る程度でした。また、RAIDを組んで使用した場合、「Radxa Taco」の実効速度は1.51Gbpsまで低下しています。
なお、ゲーリング氏は「Linuxカーネルのドライバーにより改善が見られるのではと考えたものの、違いはなかった」とのことで、カーネルの更新では大きな実効速度の改善はみられなかったと語っています。
続けて、ゲーリング氏はRealtekのウェブサイトからLinux向けの2.5ギガビットイーサネットドライバーをダウンロードし、ドライバーを最新バージョンの9.007.01にアップデート。その後、再びベンチマークテストを実行した結果が以下の通りで、実効速度が明らかに向上していることがよくわかります。
これらの経験から、ゲーリング氏は「期待するパフォーマンスが得られない場合はドライバーのアップデートなどを試して実効速度を確認してみてください」「2.5ギガビットのNICを使用しているLinuxユーザーが少ないため、この種のパフォーマンス問題はほとんど議論されていないのでは」と記しています。
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