「今のお気持ちは?」記者を批判 – ABEMA TIMES

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 「今のお気持ちは?…一言だけ!」。21日、神田沙也加さんの死去を受けて、札幌市内の斎場で囲み取材に応じた父親の神田正輝さんと母親の松田聖子さん。

 その去り際、報道の一人から飛んだ質問をめぐって、同日夜の『ABEMA Prime』に出演したロンンドンブーツ1号2号の田村淳らが議論した。

【映像】記者団から「今のお気持ちは」との声

■田村「“そっとしておいてください”という言葉を聞けば、心労は想像できる」

 田村は冒頭、「そもそもこういう状況にいる2人が報道陣の前に顔を出さなければいけないのかという疑問を感じている。僕にも経験あるが、このままでは収拾が付かないから、仕方なく“もう追わないでください”という意味で取材に応じたんだと推察するし、神田さんの“しばらくそっとしておいてください”という言葉を聞けば、その心労は想像できる。それなのに、“今のお気持ちは?”“一言だけ”と投げかけるスタイル。悪気があるわけではないのだろうが、考えてみてくださいよ、あなたが逆の立場だったらどうですか?と。報道をする人たちにモラルを求めてもしょうがないのかもしれないが、僕は許せない」と厳しく批判。

 アイドルの和田彩花は「Twitterを見れば、“マスゴミ”という言葉も出ている。見ている側がこういうチャンネルを変えたり、テレビを消したりすることで、報道する側にちょっとずつ伝わっていけばいいなと思った。カメラを持って追いかけてくる雑誌についても、何か対策の術はないのだろうか」」とコメントした。

 ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「視聴者の側にも本音と建前があって、“こんな報道は良くない”と言っていても、実は野次馬的に見たがっているのだろう、そうテレビ側は思っているのではないか。しかし、もはやワイドショー的報道を見て喜ぶのはかなり上の世代だけで、今の20代、30代は不快に思っている人の方が多いのではないか。そこに気付かないといけないはずだが、制作者たちが気が付くことはないのだろう。こういう、つまらない、ひどい報道をやりながら、ワイドショーは自滅していけばいい」と切り捨てた。

 一方、テレビ朝日平石直之アナウンサーは「淳さんがおっしゃったように、ご本人たちが辛い思いをされているが、お仕事関係も含め、周囲に迷惑がかかってしまうからやらざるを得ないという部分も見える。一方で、もう少し精緻な議論が必要だと思う。そういうシーンを必ず作らなければいけないとか、メディアが束になってやらなければならないというのは違うと思うが、両親も亡くなった方も、ものすごくよく知っている人なので、映っていたら見てしまう映像ではある。ものすごいインパクトを持っている映像なので、喜びはしないが、悲しみを重ね合わせたりするものだ」と指摘。

 しかし佐々木氏は「おっしゃる通りだと思うが、一方でSNSが発達した今、“こういうのを見せれば、みんな見ちゃうだろうな”と思いながらやっているんだろうな、というところまで視聴者側は推測できてしまっている。そういう、テレビ側が隠してきた論理みたいなのが暴かれる時代になっているということだ」と反論した。

■佐々木俊尚氏「自浄能力には期待できない。YouTuberが中継すればいい」

 さらに平石アナウンサーは「それこそ“マスゴミ”という形で束にしてしまうのは簡単だが、“お気持ちは?”と聞く記者に対して、そんなことを言ってはいけない、と思っている記者たちもいるはずだ。そして佐々木さんがおっしゃったことだが、ここ数日でこの話題を大きく、長く扱ったところの視聴率が高いという現実をどう見るか。だから放送していいということではないが、横並びの競争をしているので、基準を変えないといけない」。

 これに田村は「だからこそ、質問する側の責任が問われるべきだと思う。あれはどこの新聞社、あるいはテレビ局の、誰なのか。答える側も自分の責任で、自分の言葉で喋っているわけで、質問する側も自分のことを晒し、責任を背負って質問する、そして、そのやり取りを映す。そうしない限り、匿名のSNSと同じようなスタイルになってしまう」と提案。

 リディラバ代表の安部敏樹氏は「平石さんが言うことはその通りだ。だからこそ、マスコミとひとくくりにして議論をした方がいい。数字が取れるからやっているということであれば、みんなで“こういうことはやめましょう”というルールづくりをする、協定を結ぶということをしないと、一社だけではやめられないのではないか」と指摘。

 佐々木氏は「それをやらないから、ここまで来てしまった。メディアスクラムに関しては、協定を結ぶべきだという議論が20年以上前からあるが、できていない。特にテレビの場合、報道局まではカバーできていても、取材クルーが番組ごとにいるし、情報番組を作っている部署まではカバーできていない。基本的には、自浄能力には期待できないので、外部の力でなんとかするしかない。それこそYouTuberとかが現場でマスコミ側の様子を中継すればいい」と批判。

 田村も、「実際、保釈されて出てきた芸能人の方に群がったマスコミが歩道の点字ブロックの上に脚立を立てていた、ということを暴いたYouTuberがいる」。

 こうした意見に、平石アナウンサーは「テレビ朝日でいえば、報道、情報番組ともに制作は報道局内に含まれる形になっているので一気通貫しているが、記者会見のような形を取ると、他局だけでなく、ネットメディアもYouTuberもいるという中では手に負えないし、ああいう質問をする人が出てきてしまう。全体として、うまくいってないというところは認めざるをえない」と話していた。(『ABEMA Prime』より)

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