ニューヨークに本拠を置く海洋系エンジニアリング企業のPliant Energy Systemsがイカの動きに着想を得たという潜水ドローン「Velox」を発表しました。一般的なプロペラで動くタイプのドローンに比べて3倍というエネルギー効率を達成している他にも、耐久性に優れているとされています。
Cuttlefish-Like Robots Are Far More Efficient Than Propeller-Powered Machines
https://interestingengineering.com/cuttlefish-like-robots-are-far-more-efficient-than-propeller-powered-machines
Veloxがどのようなドローンなのかが一目で理解できるムービーが以下。
Ice-skating Robot Also Swims – YouTube
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これがイカ型潜水ドローン「Velox」です。
最大の特徴は本体下部に備えられた波打つような形状のヒレで、冒頭のシーンではこのヒレをウネウネ動かして氷上を縦横無尽に移動しており、海洋探索が主目的ながら陸地にも対応している様子。
雪上や海底などの不整地は、ヒレを大きく開いて走行します。旧来の潜水ドローンに備わっていたプロペラは基本的に大きく突き出たものが多く、ぶつかったり引っかかったりして損傷するケースがありましたが、このヒレは形状的に障害物と接触する可能性が低い上に、柔軟性を有するため仮に衝突したとしても破損しにくいとのこと。
横から見ると、ヒレがウネウネ動く様子がよくわかります。このヒレが生み出す推力は、小型ボートに備え付けられているプロペラの3倍というエネルギー効率とのこと。
海での運用試験は、ムービーの26秒頃からスタート。
海中を泳ぐVeloxは、そのヒレの動きからほとんど生物に見えます。
Pliant Energy Systemsのベンジャミン・ピエトロ・フィラルドCEOによると、Veloxをアメリカ海軍研究局に見せたところ、Veloxよりも移動速度や軽量性を向上させ、さらに無線操縦に対応した機体の開発を依頼されたとのこと。Veloxはプロペラ型ドローンに比べて騒音が少なく発見されづらいため、海軍研究局から発注を受けた改良版Veloxは深海探査だけでなく、海底パトロールや機雷除去に用いられる可能性があるそうです。
フィラルドCEOはヒレを使って泳ぐ生物の例としてシロナガスクジラを挙げ、ヒレという推進機構は大型化にも適していると主張。さらにヒレ部分に「海流で充電する機構を実装する」というアイデアにも取り組んでいると語り、ウネウネ動くヒレを搭載した巨大潜水ドローンが海中を静かに泳ぐという未来の実現に意欲を見せました。
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