ラルフローレン 、メタバースに進出:82歳のブランド創設者も意欲的

DIGIDAY

ラルフ・ローレンがロブロックス(Roblox)の世界にやってきた。文字通りの意味で。

12月8日、サンドボックス型ゲームからメタバースプラットフォームへと進化したロブロックスのユーザー向けに、冬をテーマにした「ラルフ・ローレン・ウィンター・エスケープ(Ralph Lauren Winter Escape)」がリリースされた。ラルフ・ローレンのデザインにインスパイアされたデジタル衣装が豊富に用意されているほか、宝探しなどホリデーシーズンらしいアクティビティも仮想体験できる。

今回のアクティベーションは、ラルフ・ローレンとロブロックスに特化したデベロッパースタジオである、フノメナ(Funnomena)のコラボレーションによるもので、2022年1月3日までの期間限定で実施される。

2021年、ファッションブランドは仮想空間への参入に関心を持つ企業の先陣を切った。そしてときを同じくして、ロブロックスなどのゲームベースのプラットフォームは、初期バージョンのメタバースを構築する変化のパイオニアとなった。実際、ヴァンズ(Vans)やグッチ(Gucci)などのブランドは、今年すでにロブロックスでのアクティベーションを実施しており、ラルフ・ローレンも今年8月、韓国のプラットフォームであるゼペット(Zepeto)と提携し、初のメタバース進出を果たしている。

米DIGIDAYは、ラルフ・ローレンの最高デジタルおよびコンテンツ責任者、アリス・デラハント氏と、フノメナの共同創業者、ロビン・ハニキー氏にインタビューを実施。仮想体験の実現のためにどのようにコラボレーションを進めたのか、ラルフ・ローレンはロブロックス空間の創造によって何を成し遂げようとしているのかを訊いた。なお、パートナーシップの予算規模は明かされなかった。

以下に紹介するインタビューでは読みやすさを優先し、発言には適宜編集を加えている。

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──ラルフ・ローレンは、ロブロックスへの進出で何を達成したいと考えている?

アリス・デラハント(以下AD):これはブランディングとコマース、そして顧客獲得のための取り組みだ。我々はこれをソーシャルコマースとみなしており、我々がつくるデジタルプロダクトはデジタル空間において、実世界での実物のプロダクトと同じように価値があると考えている。つまり、我が社にとって将来の収入源になると見込んでいるのだ。デジタルプロダクトの将来と、それがファッションの未来にもたらす意義に、大いに期待を抱いている。

ロビン・ハニキー(以下RH):ブランドにとって、これはデジタル空間での制作やリーダーシップに投資する絶好の機会だ。一方ゲーム業界側からみると、ブランドのニーズを満たせるかどうか、腕試しをするチャンスだ。(メタバースで)何かを完成させるのは、高度に特化した知識と技術が求められる、きわめてテクニカルな領域だ。この分野にまだプロのゲームデベロッパーは多くないが、このところますます増えてきている。プラットフォーム上でスキルを向上させ、技術面で最先端に到達できる機会が、そこにはあるのだ。

──成功を評価するのに、どんな指標を使用しているのか?

AD:エンゲージメントの測定は非常に重要だと思う。具体的には、ビジター数や滞在時間、リテンション、ゲームに戻ってきて肯定的評価をした顧客の数だ。それにもちろん、販売数といったコマース面での効果にも注目する。我々が用いるのは、極めて一般的なブランドとコマースの指標だが、同時にメタバースにふさわしい新たな指標の理解も進めている。

──ラルフ・ローレンはフノメナに、仮想空間の構築に役立つ何らかのアセットを提供したのか?

AD:我々のクリエイティブプロセスは、常に創業者であるラルフのビジョンからはじまる。このプロジェクトも例外ではない。彼は道を示し、具現化したいファッションに関して、すばらしい方向性を提示してくれた。彼が生み出した代表的なスポーツコレクションの数々、たとえばポロ・スタジアム、スノービーチ、ポロ・スポーツにはカルト的なファンがいる。ラルフのビジョンに忠実に、ロブロックスとフノメナと緊密に連携しながら、こうしたプロダクトに命を吹き込めることに興奮している。

デザインチームやアーキテクチャーチームといった我々の社内のメンバーは、アクティベーションの世界の外観やデザインを構築するうえで、中心的役割を果たした。たとえばアセットに注目すると、我々のアーキテクチャーチームは、ブランド規範を新たに解釈しなおしつつ、ロブロックスのユーザーに固有のニーズに訴えるような、店舗のデジタルレンダーを提供した。

RH:アセットを忠実に再現し、まさにあのスポーティな装いを生み出して、何度も訪れてエンゲージしたくなる環境を創出することが、我々にとっての最優先事項だった。そこで重視していたのはコミュニティ要素だ。ホリデーシーズンの喜びに満ちたポジティブな感情を生み出すのは、これが欠かせない。

──待ってほしい、あのラルフ・ローレン氏が、82歳のデザイナー本人が、メタバースに参加しているのか?

AD:そう。ラルフは毎週会議に参加し、我々のユニークなクリエイティブアセットに目を通している。ロブロックスも例外ではない。我々はプロダクト選定について彼と意見交換し、店舗のレンダーも確認した。ラルフと私は毎週、Web3.0やメタバースなど、今後10年で台頭するであろうさまざまなテーマについて話している。彼はとても明確な意見をもっている。

──ブランドがロブロックスでアクティベーションを実施する際には、ゲーム内に常設するタイプにするか、期間限定の体験にするかという選択肢があるが、ラルフ・ローレンはなぜ後者を選んだのか?

AD:(当社の)第3四半期にローンチするという我々の決定は極めて戦略的なものだった。ホリデーシーズンはブランド構築に重要な時期であり、この時期にはさまざまなプラットフォームでソーシャルへの反応が急増することがわかっている。そのため、我々にとって幸福感に満ちた何か、ラルフらしく季節感のある何かを作りだすには、またとないタイミングだった。我々は、ロブロックスとの長期的パートナーシップに期待している。今回の体験はとてもわくわくするものだ。ともにテストし、学んでいきたい。

[原文:Why Ralph Lauren — the man and the company — is already in the metaverse

ALEXANDER LEE(翻訳:的場知之/ガリレオ、編集:村上莞)

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