早川書房が発行する雑誌「SFマガジン」に掲載予定だった、絶版となり入手困難となった本を想像で特集する企画が中止となった。企画したSF作家・樋口恭介さんらがツイッターで発表し、関係者に謝罪した。
企画をめぐっては、絶版となった本の著者たちから批判的な声が寄せられていた。
J-CASTニュースは2021年12月6日、樋口さんに企画を依頼した「SFマガジン」の塩澤快浩前編集長に、中止の理由などを取材した。
「加害性に対して無自覚でした」
中止となったのは、「読みたくても高騰していてなかなか読めない幻の絶版本を、読んだことのない人が、タイトルとあらすじと、それから読んだことのある人からのぼんやりとした噂話だけで想像しながら書いてみた特集」という企画だ。
12月2日、樋口さんは編集部と相談し、告知していた企画を中止すると発表した。複数人から不快感を示す声が寄せられており、特に「当事者である絶版本の著者の方からの言葉」を重く受け止めたとした。
「私は加害性に対して無自覚でした。これはひとえに私の未熟さ・認識不足に起因するものです。実在する具体的な個人としての被害者の方への配慮、その存在、その感情に対する想像力が足りておりませんでした。申し訳ありません」
企画の中止を伝える一連のツイートを受け、「作品に対する冒涜以外の何物でもない」、「出版に関わっている人達がやる企画ではない」などと批判する声が広がった。一方で「面白そうだったのに残念」という声も寄せられた。