今年は流行語が「不作」だった――? 2021年の「ユーキャン新語・流行語大賞」の授賞式では、選考委員からトップテン入りした言葉の「弱さ」を嘆く声が次々と上がった。
東京大学名誉教授の姜尚中氏は「自分の口から出したいと思う勢いのある言葉がなかった」としつつ、「来年には勢いのある言葉を期待しています」と語ったほか、杏林大学教授の金田一秀穂氏も「見るべきものを探すのに苦労した」と厳しい見方だった。
「テンションが低い言葉が多かったと思います」
今年の新語・流行語大賞では、年間大賞に選ばれたのは「リアル二刀流/ショータイム」。そのほか、「ジェンダー平等」「うっせぇわ」「親ガチャ」「ゴン攻め/ビッタビタ」「人流」「スギムライジング」「Z世代」「ぼったくり男爵」「黙食」がトップテン入りした。
12月1日の授賞式では、こうした結果について選考委員が1人ずつ講評していったが、その表情は例年になく曇りがちだった。7人いる選考委員の言葉の端々に、年間大賞を含むトップテン入りした言葉の「弱さ」を嘆く文言が目立ったのだ。
先述した姜氏と金田一氏だけでなく、漫画家の辛酸なめ子氏も「テンションが低い言葉が多かったと思います」と残念がった。さらに歌人の俵万智氏は
「今年はコロナのニュースと五輪のニュースが、ちぐはぐなパッチワークのように押し寄せてきたなと思います」
と、その不協和音ぶりが言葉の力を奪ったと指摘する。
また、俳優の室井滋氏は「終わってみると、オリンピックは本当にあったんだろうかといった感想すら湧いた」としつつ、「オリンピックで発せられた言葉がその後、残ったかというと、その印象は薄い」と、世界的なイベントがあったにもかかわらず、今年が不作であると嘆いた。