変異株で急落 日経平均の脆弱さ – 韋駄天太助

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先週金曜日の急落は南アフリカで新たなコロナ変異株が発見され世界的に広がりかねないと懸念されたことが主要因です。
週末にWTOがこの変異株をオミクロン株と名付けましたが、株式市場の急落も「オミクロンショック」と命名されたでしょうか?

米国は感謝祭の金曜日に市場はある意味ブラックなフライデーとなった訳ですが、この急落が1日限りとは限らないし、そうかも知れないし、わかれば苦労しませんね。
急落の過程で気になったのが日経平均の脆弱さ。

米国市場が前日休場だったこともあったのか、オミクロンショックは金曜日の東京時間から始まりました。
寄付きは29324円なので前日比175円程度の下落から始まり何の変哲もない日常風景でした。
しかし、その後は無抵抗に右肩下がりを続けて13時台に場中安値28605円(前日比約900円安)を付けてから若干戻したものの28751円(前日比約750円安)で引けました。
確かにダウ先物も下げていたのですが、ダウ先物が0.5%の下落なら日経は1%下げ、1%の下落なら2%下げるといった具合に我先にと悲観して急落して行きました!?

いやちょっと待てよ、ニッポンと日経平均!
オミクロンはまだ日本では感染が確認されていない。
寒さも増して世界ではオミクロン関係なくコロナが再拡大している国が多いのに、現状の日本は大変な優等生で感染を抑え込んでいる。
なんでニッポンが南アの変異コロナに世界中で一番怯えて日経平均が真っ先に暴落してんねん?

と、ファンダメンタルズでは説明し切れない下落が必然となる日経平均の悲しいサガがあるのも確かでしょう!?
アジア時間で市場の悲観材料が急速に大きくなると海外の投資家も取り敢えずアクセスし易い東京市場で流動性も高い日経平均先物を大量に売り建てます。
これを日本の現物株に対するヘッジだけではなく、欧米や新興国も含めた全世界株式の買いポジションに対して当座で日経平均先物を売り建てて急落に備えるので、現物の日経平均が説明しがたい暴落に見舞われることになります。

今回は米国が前日休場で金曜日も半日取引だったので更に東京時間での日経売り建てによるリスクヘッジが増えて暴落に繋がったという説明は出来ます。
以前ならこれにリスク回避の円買いによる日経平均の下げも加わって来ましたが、今回も1円程度の下げでまだ113円台だから為替はあまり影響しなくなってますね。

しかしながら、日経平均は今年28000円から30000円のレンジで推移し米国やドイツのような右肩上がり上昇相場とはなっていません。
今年日経が上昇しない理由として挙げられたのが政治や行政の差によるワクチン接種率の低さでした。
確かにワクチンが開発されて、米欧で接種が始まり、感染率が下がる過程に同期して欧米株はグイグイと上昇して来たと思います。
日本は接種が遅れましたが今では接種率も劣らないし感染を抑え込んでいるのに、株価は一向に上がらず欧米に劣後したままで南ア新型コロナが既に入り込んでる欧州や感染再拡大中の米国よりも悲観して真っ先に下落していくっておかしいだろ!

金曜日は結果的に欧米時間でも更に悲観が拡がり下落率が日経平均に追いつきましたが、日経平均は更に連動して下げ続けただけて先物は28155円で引けました。
東京時間から更に600円程度下げた訳で欧米現物株のヘッジで取り敢えず日経平均先物を売り建てた層は欧米株の売りポジションに切り替える筈で日経平均先物には買い戻しが入り欧米より下落がマイルドになると思うのですが?

日経平均は上がってないけどショックをきっかけにファンダメンタルズの様々な面から未来にあまり期待できない国の株から真っ先に売られたという見方も出来ないでしょうか?
金曜のビビり下げだけを見ても、国民性と世界に劣後し続ける日本の現状を日経平均が表しているように見えてしまいます。

週明けはパニック的下げが収まり先週末の先物清算値よりは上昇して始まりましたが、定量化できない(見えない)オミクロンみたいなリスクが拡がると底が抜けるような下げ方をすることはコロナ第一波で経験済みですね。
あの頃は先週金曜のような下げが連日続いて止まらなくなりましたが、市場はとにかく「わからないこと」に怯えます。
今回はあくまでコロナ変異種であるオミクロンの影響をもう少し冷静に定量化できて、世界のリーダーも民衆も市場も学習していると期待したいですね。
(個人的にはもっともっと下げてくれて全然構わないけど、それは経済以外にも世界がまた混乱する未来を意味するので・・。)