宮島に行き、最終的にはお好み焼きを食べる、王道なような王道でもないような旅
土地勘のないライターがガイドブックに頼らず、地元の人におすすめの場所を聞いてまわる旅。それがこの”地元の人頼りの旅”シリーズのコンセプトである。これまで30を優に超える都道府県を各ライターが巡ってきた。
が、今回は広島に在住している筆者が、広島を旅することになったのだ。
※これまでいろいろな場所で取材をした記事を読めば誰もが知ったかぶりできるはず。「知ったかぶり47」は、デイリーポータルZと地元のしごとに詳しいイーアイデムとのコラボ企画です。
地元の人頼りの旅、番外編?
と、いうのも筆者が広島のことをあまりにも知らないためである。
のっけから身の上話で恐縮だが、今年の6月、結婚を期に縁もゆかりもない広島に引っ越してきた。ふつうの世界なら観光がてら広島を周っているところ、新型コロナの影響もありどこにも行けずにいたのだ。
そういったわけで、ちゃんと電車に乗ったのはワクチン接種のために移動した2度だけ、というコロナ対策大学の首席とも言える筆者に今回の広島旅の白羽の矢が立った。
ワクチンも2回打った、感染者数も落ち着いた。恐る恐る部屋のドアを開け、まだ知らぬ広島に触れていく旅である。
原爆ドームへ行った話
今日の旅は、原爆ドームのそばにある観光案内所からスタートする。
実は、こちらに越してきてから原爆ドームだけは訪れていた。というのも、「広島で暮らすうえでの必修項目」とのことで広島が地元である奥さんに連れられたのだ。
原爆ドーム近くの広島平和記念資料館は、”リニューアルしておどろおどろしさが減った”とのことではあったが、それでも原爆の凄惨さの一端を知ることができた。
なぜ広島に原爆が落とされたのか。それは広島が当時、原爆の投下により効果的に日本にダメージを与えることができる、と相手国に考えられた大きな都市だったからだ。横浜・京都・新潟など、いくつかあった候補の中から広島が選ばれた。
恥ずかしながら筆者はこの経緯を知らずに生きてきた。最初にここを訪れることができてよかったと思う。
宮島編
重ための前日譚をしてしまったが今回の旅自体はあっけらかんとしたもので、大きく「宮島編」「広島駅周辺編」のふたつに分かれる。
地元の人頼りの旅の大ベテランであるライターの小堺丸子さんが、観光案内所で「個人的に好きな場所」を訊いており、とても良いなと思っていたのだ。
「おすすめ」を訊くとどうしても鉄板の観光地を案内されがちだ。その人個人の好みに迫っていけばなんだかニッチで素敵な場所を教えてくれるのではないか。
意気揚々とカウンターで個人的に好きな場所を教えてもらう。
やっぱり宮島かー!
広島に住む前に一度、宮島観光をしたことがあったので今回行くか迷ったが、受付の方の熱量が相当に高い。あ、これ、本当に”個人的に好き”で宮島を薦めてくれているぞ。
宮島でも訪れたことのなかった、知らなかった情報を身ぶり手ぶりで色々と教えていただき、次第に筆者も熱が高まってきた。よーし、やっぱりここは宮島だ。
フェリーに乗る前に、おにぎりを買おう
原爆ドーム前から路面電車に揺られ50分。広電宮島口へ。
気になっていたのが2020年4月にオープンしたばかりの商業施設、ettoである。
広島の名物を扱った飲食店を中心に様々なテナントが入った探索しがいのあるスポットである。おもしろいかも、と薦められたのがおにぎり屋の旅行の友本舗。
「旅行の友」というふりかけが広島に本社を置く田中食品さんから販売されており、その直営店なのだそうだ。
ひと際目につくのがこの鮮やかなおにぎりたち。
なんでも、「日本初の巻くふりかけ」とのことだ。素材が…シートに…?よくわからないけど嫌いじゃないぞ、そういう挑戦。
目移りするけどもう出航の時間。気になった2品を購入し、慌てて搭乗口へ。
せっかくなので潮風にあたる席を陣取る。マスクのせいで潮の香りはわからないが、否応なしにテンションは高まる。
海!晴天!そしておにぎり!わかりますか、水、陸、空、おにぎり無限大です。
朝ごはんに購入したのは、鮭のシートが巻かれた鮭おにぎりと、少し辛味のある大根の葉のシートが巻かれた鯖おにぎり。海苔代わりのシートのおかげでどこを食べても味が続くのが楽しい。