最近ルーズソックスが流行っている。
90年代にルーズソックスを履いていた世代が母になり、娘に伝授して若い子の間で再ブームになっているらしい。
ルーズソックスってかわいい。
足元に布がくしゅっとなって溜まっている様子も、ダボダボな感じもかわいい。
とはいえ、私にとってルーズソックスは日常的に履きにくいのだ。
もっとデニムくらい使いやすくあってほしい。
そうだ!ルーズソックスのかわいい要素をパンツにつけたらいいんじゃないか。
これなら全世代・どんな性別の人でも履きやすいはずだ。
よし、ルーズソックス風パンツを作ろう!
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ルーズソックスのかわいいところ
まずは、ルーズソックスのかわいい要素を取りこぼさずにパンツにするために、かわいさを整理した。
ちなみに今の流行りはこんなにくしゅくしゅが多くない。現代の若い子の間ではドラゴンボールのブルマの靴下くらいの、軽めのくしゅくしゅがトレンドだ。
しかし今回は当時のルーズソックス要素を取り入れたいと思う。
その要素を取り込んでデザインを書いた。
重心が下にあるシルエットを出すためには、太ももから膝までがピタッと脚に沿う生地がいい。
その方がくしゅくしゅの部分が目立ち、よりルーズソックスっぽく見える。
作り方は簡単。ただパンツの裾を長く伸ばせばいいだけだ。
当時のルーズソックスも1.5メートル程の長さがあったから、大体2メートルのパンツを作ればちょうどよくくしゅくしゅができるだろう。
作ろう!
さっそく布屋に出かけた。
今回の要は生地だ。布が命運を分ける。
脚にピタッと沿う伸縮性、くしゅくしゅにしたときにルーズソックスのように積み重なる風合い、時期にあった厚み、気分の上がる色、というスペックが揃わないといけない。
毎回布選びに1番時間がかかる。
ちなみに、店内をぐるぐるし布を触っては「ちょっと違うなぁ」と首をかしげるのが、こだわりの強いデザイナーっぽくみえる布屋のオツな楽しみ方である。
黒ずくめのそれっぽい服を着ていくとなお良い。
オツに楽しみつつ、テレコというよく伸びてピタッと脚に沿う素材を選んできた。
この色のパンツをおしゃれに履きこなしてる人を見たことがあるのだ。その記憶に賭けて買ってきた。
このテレコの生地はかなり伸びる。
さぁ、作ろう!
手持ちのピタッとしたパンツを元に型紙をおこし、布に写した。
長すぎて写真を撮る場所さえない。
次に裁断をする。
突然、私って今回アメリカの囚人服作ってるんだっけ?と思った。
なんでだろう、その色にしか見えない。
でも作るしかない。
サクッと縫いあわせてできた!ながーい!!
パンツの長さは195センチ。キリンならぴったり履けそうだ。でも私も履ける。そこがいい。
これならたっぷり足元をくしゅくしゅさせられるはずだ。
さらにウエストと裾にゴムを入れた。
こうしてルーズソックス風パンツが完成した。
履き方を考える
さっそく履いてみたら、おじいちゃんのモモヒキになっててこれはまずいと思った。
ルーズソックスのくしゅくしゅは再現できたが、ルーズソックスのかわいさがどこかに行ってしまった。
きっと履き方がなっていないのだ。
くしゅくしゅを全体に広げてみたらどうだろう。
くしゅくしゅを膝にためてみたら、サポーターに見える。
やはりルーズソックスのように、くしゅくしゅを膝下に寄せよう。
もっと下に溜めたらどうだろう。
もはや、ルーズソックスの位置よりくしゅくしゅが下がっているけど、これだ。
この出来るだけ下の方に寄せるスタイルが気に入った。
ちなみに、履き心地は良い。
重たくもないし、歩きにくくもない。
冬の時期に外で履いたらレッグウォーマーのようで暖かいと思う。
くしゅらせてなんぼ
今回は日常的に履けるルーズソックス風パンツを目指していたので、ぜひとも外で履きたい。
仲の良い友人2人に「新しい服の写真撮ってほしい!」と頼むと二つ返事で集まってくれた。昔みんなで撮ったプリクラに「竹馬の友」と落書きしたほどの仲だ。
私もいそいそとルーズソックス風パンツの裾をたぐり寄せた。
空は雲ひとつない快晴。
さぁ、パンツよ秋晴れの空にかがやけ。
このド派手なオレンジを選んでよかったと思う。ナイス選択。
スポーツ×ストリートスタイルとしていい感じだ。普段着としても違和感がない。
近づくとこう。
写真でみるとかなりくしゅくしゅしているが、履いている私は少しボリュームが足りないという気持ちだった。自分から見えにくいからか、物足りない気がしてくるのだ。
当時のギャル達もこのような気持ちで長さを増していったのかもしれない。くしゅらせてなんぼである。
かわいいポイントだった「靴に乗ったくしゅくしゅ」はできなかった。くしゅくしゅは十分あるのに、裾にゴムを入れたせいで下に落ちなかったのだ。
立つとこう。
ピタッとしてるのに裾はダボダボな緩急がおもしろい。
私はハイウエストと短丈の組み合わせが好き。
ジェンダーレスでサイズレス。満足の出来だ!
宇宙に行く
だんだんと、オレンジ色とくしゅくしゅ感が宇宙服にも見えてきた。
フードが丸いアウターを着て宇宙服に寄せてみた。
これ、裾を伸ばしたらどうかな?足の長い地球外生命体みたいになるんじゃないかな、と友人に裾を伸ばしてもらう。
撮れたよー、と写真を見せてもらったら、
しかもドヤ顔でスキーしてる。
サーフィンしてる人たちの横でスキーしてる。
丘サーファーならぬ、浜スキーヤーだ。
ちょっとそこに立っててと言われてスキーしてるところを遠くから撮り始める友人たち。
カメラを構えながらどんどん遠くに離れていく友人たち。
はー、楽しい。
海が気持ちよくて寝てみたら漂流物になった。
さぁ、いっぱい遊んだし帰ろう。
首に巻けばマフラーになるし、緊急時はロープになる。遊びたくなったら縄跳びもできる。
それにどんな足の長さの生き物でも履けるサイズレスのアイテムだ。また違う人が履けば、違った雰囲気になるだろう。
そんな日常的に使えるパンツが作れてよかった。
ルーズソックス風パンツ、愛用しよう。
裾をめくるトラウマ
私が小学生の時の話。
その日は大雨だった。
パジャマからデニムに着替え時、左足のスネの辺りにもぞっとした違和感を覚えた。でも特に気にせず登校した。
学校につき、デニムの裾が雨でびしょびしょになっていたので裾をまくろうと思った。
左足の裾をスネまでまくった時、アシダカグモという5センチ以上の大きな蜘蛛が私のデニムからサササーっと出てきた。
本当にゾッとした。
その蜘蛛はいつのまにか天井にはりついていて、クラスメイトがそれに気づいてしまった。あまりにデカイ蜘蛛にキャー!と騒ぎ、落ちてくるかもしれない!と真下にいた子たちは机を動かした。先生も一旦授業をやめて、蜘蛛の駆除に取り掛かった。
私はそれを平然と見ていた。
そして思った。平然としているやつが犯人なのだと。
パンツの裾をたぐり寄せた時、この蜘蛛の話を思い出した。