入国禁止措置の解除に伴い、アメリカへの渡航者が殺到することが予想される(資料写真)| GETTY IMAGES
アメリカは8日、新型コロナウイルスワクチンの接種完了を条件に、外国からの渡航者の入国を再開した。パンデミックの影響で約20カ月間にわたり続いてきた入国禁止措置が解除された。
新ルールでは、外国人旅行者は渡航前のワクチン接種証明書の提示のほか、出発までの3日以内に新型ウイルス検査を受け、陰性証明を提示することが義務付けられる。また、連絡先も提供する必要がある。アメリカ入国後の隔離は不要となる。
これまでの入国禁止措置は、新型ウイルス感染症COVID-19を理由にドナルド・トランプ前米大統領が導入した。2020年初頭に導入された当初は、COVID-19が世界で初めて確認された中国からの渡航者が対象だったが、その後対象国が拡大された。
この措置により、家族が引き離され、観光が停滞するなど、イギリスや欧州諸国、インド、南アフリカ、イラン、ブラジルを含む30カ国以上の非米市民が影響を受けてきた。
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今回、ワクチン接種の完了と、ウイルス検査や接触者の追跡を条件に入国が認められるようになるため、航空会社は旅行者が殺到すると予想している。
フランス・パリを拠点とする旅行会社「Jetset Voyages」の代表ジェローム・トーマン氏は予約状況が「信じられないほど好転」していると、ロイター通信に語った。
イギリス人のアリソン・ヘンリーさん(63)は「ただ息子に会いたいだけなのに(会えず)、ずっとつらい思いをしてきた」と述べた。
英チェシャー州出身のヘンリーさんは8日、20カ月ぶりに息子と会うためニューヨークへ向かうという。
ビジネスや旅行業界の期待
カナダやメキシコとの陸路国境も、接種完了者を対象に再開される予定。
メキシコ国境沿いの街では、規制の影響で苦境に立たされていたビジネスの活性化が期待されている。
米ユナイテッド航空は国際線の利用者が50%増加すると見込んでいる。
米デルタ航空のエド・バスティアン最高経営責任者(CEO)は、旅行客の行列ができる恐れがあると警告。「初めは少し至らない点もあるだろう。残念だが、行列が発生することになると確信を持って言える」と述べた。
欧州連合(EU)は6月にアメリカ人のEU域内への渡航を認めるよう勧告した。一方、イギリスは7月28日から、アメリカからの入国を認めている。