「人間の虹彩をスキャンして暗号資産を提供する」というシステムに「眼球をカタログ化するな」と元NSAのスノーデン氏が批判

GIGAZINE
2021年10月27日 12時30分
メモ



グローバルなデジタル通貨の発行を目指すアメリカの新興企業「Worldcoin」が、スキャンした虹彩のデータを基に無料の暗号資産を提供するシステム「Orb」を開発したと発表しました。これに対して、元NSA(国家安全保障局)局員のエドワード・スノーデン氏が「眼球をカタログ化するな」と批判しています。

Edward Snowden Slams Sam Altman’s Worldcoin: ‘Don’t Catalogue Eyeballs’ – Decrypt
https://decrypt.co/84277/snowden-slams-sam-altman-worldcoin-eyeball-scan-for-crypto

Worldcoinは、スタートアップアクセラレーター「Y Combinator」の共同設立者で、AI研究組織「OpenAI」のCEOも務める起業家のサム・アルトマン氏が立ち上げた企業です。Worldcoinが発表した「Orb」は、虹彩をスキャンした結果からハッシュを生成し、このハッシュと引き換えにWorldcoinの提供する暗号資産を配布するというもの。

Worldcoinの暗号資産配布までの具体的な手順は以下の通り。

1:ユーザーは、スマートフォンの専用アプリで公開鍵を生成する。
2:公開鍵を変換したQRコードをOrbのデバイスに提示する。
3:Orbのデバイスで虹彩スキャンを行うと、デバイス上で虹彩スキャンから一意的なハッシュが生成される。
4:デバイスから「ユーザーが提示した公開鍵」と「スキャン結果由来のハッシュ」をオンラインシステムに送信。
5:システム側はOrbの署名を検証し、次に虹彩スキャン由来のハッシュがデータベースにないかをチェック。
6:登録された公開鍵を基に、ユーザーのウォレットに無料で暗号資産を送付する。

以下はアルトマン氏がTwitterで公開した、Orbで虹彩をスキャンしてハッシュを生成するデバイスの写真。


Worldcoinは「Worldcoinのアカウントは匿名であり、直接的な生体認証ではなく、オープンソースのゼロ知識証明システムを使用することで、虹彩スキャン由来のハッシュとユーザーアカウントと一意的にリンクすることなく処理します」と述べており、データベースにはハッシュと公開鍵を保存しているだけなので、虹彩スキャンによるハッシュとユーザー個人がひもづけられないと説明。また、虹彩スキャンのデータはその場で廃棄されるとしています。

しかし、これに対してスノーデン氏は、スキャンによって生成されたハッシュはスキャンデータと一意なものであり、ハッシュのデータベースを作成することで結果的にスキャンデータを廃棄する意味がなくなる点を指摘し、「眼球をカタログ化するな」と批判しました。


さらにスノーデン氏は「『ゼロ知識証明を使っています』というのは素晴らしいし、賢いやり方ですが、Worldcoinの方法は依然として悪手です。人体は切符の検札ばさみとは違うのです」とコメントしています。

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2021年10月27日 12時30分00秒 in メモ, Posted by log1i_yk

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