世界的な若者の熱狂、主に競合他社のプラットフォームに投じた数億ドルの広告費、パンデミックに伴う消費者行動の変化を追い風に、TikTokが月間アクティブユーザー10億人を達成した。
しかし、広告関係者と最新の求人情報によれば、それほど大きな規模のプラットフォームでありながら、TikTokはまだ、オーディエンスと広告の次なる成長段階を決定づける基本的なリーダーシップと技術インフラが大きく欠けているようだ。
主なポイント:
- 9月27日、バイトダンス(ByteDance)はロイター(Reuters)に対し、TikTokの月間アクティブユーザーが10億人に達したと発表した。アナリストたちは2021年に10億人を突破すると予測しており、イーマーケター(eMarketer)は12億人という数字を挙げていた。
- これは前年比45%増の成長であり、過去3年間で指数関数的な成長を遂げている。TikTokは2018年初、全世界のユーザー数は5500万人だと述べていた。この成長の大部分は、TikTokが競合他社のプラットフォームで購入した広告によってもたらされたものだ。2019年は広告予算の80%近くがSnapchatに、2020年は73%がFacebookに投じられている(2021年はテレビがもっとも大きな割合を占めている)。
- TikTokは依然として採用活動の真っ只中にある。LinkedIn(リンクトイン)には1400以上の求人情報が掲載されており、そのなかには、ソーシャルコマースにおける今後の動き、中小広告主へのアプローチ方法、広告主のための分析インフラの構築方法を左右する役職も含まれている。
狂乱の拡大
TikTokはしばらく前から積極的に採用活動を行っているが、その採用と成長のペースがあまりに激しいため、パブリッシャー、ブランド、エージェンシーの主要なアドテク職の求人市場にひずみが生じている。
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TikTokが新たに掲載した求人の多くは、将来の収益化を左右する極めて重要なものだ。たとえば、先頃Shopify(ショッピファイ)との提携拡大を発表した「ネイティブコマース体験の製品戦略と導入を監督する」人材なども募集している。
TikTokはまた、中小企業との関係構築に貢献できる幹部も求めている。中小企業はライバルのFacebookを2020年のボイコットなどから事実上守ってきたビジネスセグメントだ。求人のなかには、中小広告主担当のグローバルマーケティングリード、中小企業向け広告製品のマーケティングを主導できる人材が含まれている。
埋めるべき穴はいくつもある
こうした急成長は、多くの広告主が主に実験予算を使い、TikTokを試すきっかけになっており、一部の広告主にとっては、TikTokはすでに重要な存在となっている。DIGIDAY+が2021年に実施した調査では、売上やブランド構築の原動力としての重要性において、TikTokはすでにSnapchatを抜き去っていると判明した。
広告製品そのものについて言えば、この成長、そして、新しいプラットフォームという立場のおかげで、TikTokは大目に見られてきた。ターゲティングや分析に関しては、現在のところ、FacebookやGoogleにかなわないと広告主は口をそろえる。それでも、まだ新しいため、いくらか柔軟性がある。
TikTokが必要としているものの一部は、サードパーティとの統合によって対応することになりそうだ。TikTokは9月28日、インテグラル・アド・サイエンス(Integral Ad Science)と提携し、TikTokへの広告掲載を希望する広告主にインテグラル・アド・サイエンスのブランドセーフティ保証を提供すると発表した。
[原文:The Rundown: Even with 1B active users, TikTok still lacks lots of basics]
MAX WILLENS(翻訳:米井香織/ガリレオ、編集:長田真)