世界各地に広がる「飛び地」とは?

GIGAZINE
2022年11月20日 14時00分
メモ



世界の各地にはさまざまな国家や地域の「飛び地」が点在しています。飛び地とはどういった場所を指すのか、その実例となる地域についてジョン・ネルソン氏が解説しています。

Enclaves & Exclaves
https://storymaps.arcgis.com/stories/e927741a6a1c4157a1e3a91a2645f3f8

飛び地の定義について、ネルソン氏は3種の例を挙げています。「一つの国家の領土に完全に囲まれている地域」「複数の国家に囲まれている地域」「飛び地の領土に完全に囲まれている地域」です。

「一つの国家の領土に完全に囲まれている地域」は「包領」とよばれ、代表的な例としてネルソン氏は、バチカン市国やサンマリノ共和国、レソト王国、リビアの4例を挙げています。

バチカン市国はローマ教皇が統治する、0.5平方キロメートル未満で人口わずか842人の世界最小の主権国家です。


バチカン市国はイタリアに周囲を取り囲まれる飛び地になっています。

人口が3万3000人のサンマリノ共和国もイタリア内の包領で、世界最古の立憲共和国です。また、最古の継続的な主権国家ともいわれています。

南アフリカ内の飛び地のレソト王国は、帝国主義の時代にオランダとイギリスによる植民地支配を受けていましたが、1966年に独立を宣言し、最大の包領となっています。

フランスとスペインの国境付近に存在するリビアはスペインの包領としてフランス内に位置します。1659年のピレネー条約では、リビアは「別荘」とみなされ、スペインの領土の一部として残されました。

次に、「複数の国家に囲まれている地域」の例としてネルソン氏は、ナヒチェヴァン自治共和国やフェルガナ盆地を挙げています。

ナヒチェヴァン自治共和国はアゼルバイジャンの飛び地で、東にアルメニア、西にイランと国境を接する国家です。1990年にナヒチェヴァンはソ連から独立し、その後の分裂で最終的にアルメニアとアゼルバイジャンが独立した結果飛び地となりました。また、ナヒチェヴァンの飛び地としてアルメニア内にカーキ村が存在します。

キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタンの国境に点在する飛び地に住むフェルガナ盆地の住民は、民族的、政治的不安の中に巻き込まれることがあるとされています。

飛び地の中の飛び地としての例は、ナワです。ナワはアラブ首長国連邦(UAE)内のオマーンの飛び地内に存在するUAEの村です。1971年にUAEが建国された際は、国境を引くことが複雑な作業とされた結果、このような地政学的に複雑な集落が誕生しました。

ネルソン氏は、「飛び地と飛び地の関係が進化し、消滅することはかなり先のことです」と述べています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

Source

タイトルとURLをコピーしました