お風呂に入った時などに、鏡に映った自分の体に不満を持った経験がある人は少なくないはず。特に、おなかのたるみや手足の太さといった体形は、多くの人にとって悩みの種です。このような体形や体重へのこだわりには、「脳と内臓の間にあるつながり」が大きく関わっていることが、新たな研究により示されました。
Weaker implicit interoception is associated with more negative body image: Evidence from gastric-alpha phase amplitude coupling and the heartbeat evoked potential – ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0010945221002513
Association between weakened interoception and body image – BioTechniques
https://www.biotechniques.com/neuroscience/do-we-control-how-we-see-our-bodies/
Gut and heart signals affect how we see ourselves: Study: Weak internal connections linked to body shame and weight preoccupation — ScienceDaily
https://www.sciencedaily.com/releases/2021/09/210903085908.htm
「私たちは毎日、肌や手足といった見た目だけでなく空腹感や心臓の鼓動など、体の内側と外側の両方の感覚を知覚しています。また、脳は私たちの意識に上らない内部的な信号も常に処理しています」と話すのは、イギリスのアングリア・ラスキン大学で心理学を研究しているジェーン・アスペル氏です。アスペル氏によると、体の内側から脳に送られる刺激は内受容感覚と呼ばれており、内受容感覚には意識できるものと無意識なものとがあるとのこと。
そこでアスペル氏らの研究チームは、無意識のうちに脳が処理している信号が人の心理に与える影響を解明するため、内受容感覚と人が自分の体に持っているイメージであるボディイメージの関係を調べる研究を実施しました。
研究には36人の成人が参加し、まず自分の体や身体能力に関する評価といったポジティブなボディイメージと、自分の体への羞恥心や体重へのこだわりといったネカティブなボディイメージに関するテストが実施されました。次に研究チームは、被験者らの脳が無意識な心臓の鼓動や胃腸の働きに反応する際の脳波を測定し、被験者らのボディイメージと内受容感覚の働きを比較しました。
その結果、心臓や腸に対する脳の反応が鈍いほど、ネガティブなボディイメージが強いことが判明しました。これについてアスペル氏は「体内からの暗黙のシグナルに対して脳が鈍感だと、自分の外見について否定的な見方をする傾向があることが分かりました。脳と体の内面とのつながりが弱まると、脳は外面を重視するようになり、それが自己評価における見た目の比重に影響するのかもしれません」と分析しています。
研究チームによると、ボディイメージと内受容感覚の関係を明らかにした調査は、これが初めてとのこと。また、今回得られた知見は摂食障害をはじめとするネガティブなボディイメージに関連した症状の診察などに応用できるのではないかと、研究チームは考えています。
論文の筆頭著者であるアングリア・ラスキン大学のジェニファー・トッド氏は、「脳が内臓からの信号を検出する働きに差が出るのは、脳と内臓の間の神経解剖学的なつながりの違いが一因ではないかと考えているので、これを解明するのを今後の研究課題としたいと思います」と話しました。
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