CEATEC 2021 ONLINEが、2021年10月19日~22日の4日間、完全オンラインで開催される。
主催者である一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は、10月1日、今年のCEATECのポイントや見どころなどについて説明を行った。
- 今年も300以上の企業・団体が出展、15万人以上の来場見込重点テーマは「カーボンニュートラル」「5G」「モビリティ」「スーパーシティ/スマートシティ」
- プレイベントがすでにスタート重点テーマごとのセッションを毎木曜日に実施中
- 独自の「オンライン開催」プラットフォームを強化「熱気」を体感できるシステムやビデオチャット、「ぶらりと歩く」など
- 展示エリアは「企業エリア」「Society 5.0エリア」「Co-Creation PARK」の3つで構成
- コンファレンスは130セッション以上東芝やMUFG、NTTドコモ、ポーラからスタートアップまで多彩な内容
- 日米欧、アジアのキーパーソンやフロントランナーが毎日登壇「カーボンニュートラル」「5G」「モビリティ」「スーパーシティ/スマートシティ」がテーマ
- 「オンラインでもCEATEC体験は変わらない」展示を「見て」、コンファレンスを「聴いて」、未来の社会を「感じて」「考えて」、共創に向けて「動き出す」
- 出展内容をいち早く公開する出展者もシャープは「浮かせて操作できるタッチディスプレイ」を出店予定
今年も300以上の企業・団体が出展、15万人以上の来場見込重点テーマは「カーボンニュートラル」「5G」「モビリティ」「スーパーシティ/スマートシティ」
CEATECの鹿野清エグゼクティブプロデューサーは、「現時点で、300以上の企業、団体の出展が決まっている。昨年とほぼ同程度の規模であり、今年も多くの企業が出展してもらえる。15万人を超える来場者にオンラインで参加してもらいたい」と述べた。
約300社のうち、新規出展者比率は約3割であり、アドビやポーラ、三菱ふそうトラック・バスなど、異なる産業界からの新規出展もあるという。ソフトバンクも初めての出展することになる。ソニーグループ、日立製作所、パナソニック、東芝、富士通、三菱電機、NEC、シャープの出展も決定している。
スローガンは、昨年と同じく「ニューノーマル社会と共に歩むCEATEC」としたが、「昨年が新型コロナウイルス感染症の影響により、『ニューノーマル』そのものをキーワードとして扱ったのに対して、2021年は、『ニューノーマル社会』とし、withコロナにおけるSociety 5.0の実現に向けて、4つの重点テーマを取り上げることになる。これらのテーマは、すべてがコロナ禍で直面している社会課題の解決につながるものである」と位置づけた。
4つの重点テーマには、「カーボンニュートラル」、「5G」、「モビリティ」、「スーパーシティ/スマートシティ」をあげている。
プレイベントがすでにスタート重点テーマごとのセッションを毎木曜日に実施中
CEATEC 2021 ONLINEは、すでに、プレイベントが2021年9月9日からスタート。4つの重点テーマごとに、毎週木曜日に様々なセッションが公開されており、CEATEC 2021 ONLINEに事前登録した人はいつでも視聴することができる。これまでに延べ2万5000人以上が聴講しているという。
また、CEATEC 2021 ONLINEでは、10月15日にオープニングイベントを開催し、10月18日には、報道関係者を対象にしたメディアデーを開催。10月19日~22日にメインイベントを開催する。さらに、11月30日までアフターイベントの開催や、アーカイブでの聴講も可能にしている。
鹿野エグゼクティブプロデューサーは、「今年は、約3か月間にわたってCEATECを展開するという新たな挑戦を行う。ニューノーマル時代における展示会を考えたとき、オンラインツールなどをフル活用することで、さらなる情報発信の強化や、盛り上がりを作ることができるのではないかと考えた。数日の会期のために準備をし、それが終われば、また1年後というサイクルで運営されていた展示会のあり方を変えることになる」と語り、「プレイベントで延べ2万5000人以上の聴講があったことで、、新しい挑戦には、少なからず手応えを感じている。この流れでメインイベント、アフターイベントも盛り上げていきたい」と述べた。
独自の「オンライン開催」プラットフォームを強化「熱気」を体感できるシステムやビデオチャット、「ぶらりと歩く」など
CEATEC 2021 ONLINEは、昨年同様に、CEATEC独自のプラットフォーム上で、オンライン開催される。
ここでは3つの特徴を持たせたという。
ビデオチャットを実装、出展者と来場者のコミュニケーションを強化
ひとつめは、出展者と来場者が直接会話の機会を増やすためのコミュニケーションツールの強化だ。
昨年は、リアルタイムチャットにより、来場者からの問い合わせに対応する機能を実装していたが、今年は、来場者が入ることができる出展者が待機するミーティンググルームを企業ブースに用意。そこから、ビデオ通話できる機能を新たに実装した。
「ビデオチャット機能は、ブラウザ上で起動するため、専用のアプリケーションをインストールする必要はない。テキストだけでは伝わりにくい内容を、ビデオによる会話によって実現し、双方向でのリアルタイムコミュニケーションに活用してもらたい」と述べた。
「展示会ならではの熱気」を伝える来場状況の表示機能
2つめは、展示会ならではのワクワク感や一体感を創出するための機能だ。
ここでは、展示エリアにおける出展者名の横に、現在の来場者数の状況が分かるマークを新設。さらに、各出展者の展示ブースの標準テンプレートを一新し、出展者が、個性豊かな展示ブースを実現できる機能を追加した。
「昨年の出展者や来場者から、多く寄せられた要望が、展示会ならではの 熱気が欲しいという声だった。オンラインでの熱気の体感は難しいが、来場者が一人で画面に向き合っているのではなく、多くの人たちが同じようにオンラインの会場を訪れていることを表現したいと考えた。また、展示ブースの差別化が難しかったという出展者の声に応える工夫も行った。リアルの展示会の雰囲気を少しでも実感してほしい」とした。
「ぶらりと歩く」を実現する「CEATEC GO」も強化
さらに、昨年も提供した「CEATEC GO」も機能を強化した。
CEATEC GOは、展示会場を「ぶらりと歩く」ことで、偶然に出会うようなリアルの展示会場での体験を促すために、出展者などをランダムに表示する機能。「昨年の機能では、ぶらりと歩くというところまでいかなかった。カテゴリー別に表示するなど、より使いやすくした。CEATECをきっかけとして、新たな動きが生まれたり、これまでの動きが加速したりといった効果を期待している」と述べた。
入場登録システムも改良
そして、3つめが入場登録システムの変更だ。「昨年のCEATECでは、開催初日に入場登録サイトに対するアクセスが集中したことで、多くの方々にご迷惑をおかけした。別々となっていた入場登録サイトとオンライン会場の双方向での連携が、正常に動作しなくなったことが、昨年のシステム障害の要因だった。2つに分かれていたサイトを1つに統合し、入場登録システムを新たに構築。これにより、来場者がスムーズに、正常に登録でき、来場が可能になる」とした。
CEATEC 2021 ONLINEは、公式WEBサイトから入場登録完了後にログインが可能となり、ログイン後に、3つの展示エリアやコンファレンスエリアへの入口が表示され、ここから入ることができる。また、その時間に行われているコンファレンスやイベントの内容も表示され、それぞれをクリックするだけで、アクセスできる。
鹿野エグゼクティブプロデューサーは、「オリジナル版として独自に開発したからこそ、昨年の開催で生じた課題を、新たな開発に反映させることができる」と、今年のプラットフォームの強化に自信をみせた。
展示エリアは「企業エリア」「Society 5.0エリア」「Co-Creation PARK」の3つで構成
展示エリアは「企業エリア」「Society 5.0エリア」「Co-Creation PARK」の3つで構成される。
企業エリアは、出展規模に合わせて、プレミアムプラン、スタンダードプラン、ベーシックプランを用意。Society 5.0の実現に向けたあらゆるソリューションや製品全般、特定の分野や産業、マーケットを革新的に変革するソリューションや製品、Society 5.0の実現を支える電子部品や電子デバイス、ソフトウェアなどのテクノロジーを紹介するエリアだ。
Society 5.0エリアでは、Society 5.0時代の新たな社会インフラとなる技術やサービス、企業、団体、自治体の取り組みを紹介。「カーボンニュートラル」、「スーパーシティ/スマートシティ」、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の3つのテーマのもとに、共創を加速する場を提供。業種や競合の壁を越えたエコシステムを、社会課題解決起点で構築していく内容になる。
また、Co-Creation PARKは、2012年10月以降に設立した設立9年以下のスタートアップ企業や、研究成果の社会実装を目指す大学および研究機関が出展対象となる。現時点で、国内外の100を企業や大学、研究機関が出展を予定。カナダ・オンタリオ州やフィンランドのBusiness Finland、英国のTech Nation、インドのNASSCOMといった産業団体との協力により、これまでにない多彩な顔触れが揃ったという。
さらに、JETRO初となるスタートアップ企業コンテスト「Japan Challenge for Society 5.0」が行われる。同コンテストには、世界53の国や地域から、292件の応募があり、そのなかから採択された18の国と地域から45社の海外スタートアップ企業が参加することになる。
「コンテストでは、日本が抱える社会課題の解決策が、多数披露されると聞いている。大いに期待している」とした。
コンファレンスは130セッション以上東芝やMUFG、NTTドコモ、ポーラからスタートアップまで多彩な内容
展示とともに、CEATECのもうひとつの柱となるコンファレスの内容も明らかにした。
今年は、130を超えるセッションが予定されており、さらに、スタートアップ企業によるピッチイベントも行われる予定だ。
10月15日に開催されるオープニングイベントでは、JEITAの会長を務める東芝の綱川智社長兼CEOが、「カーボンニュートラルへの東芝の取り組み」と題した基調講演を行うほか、ノルウェーCognite ASの共同創業者兼CEOのジョン・マーカス・ラービック氏が、「産業の収益性とサステナビリティへの貢献をもたらすデジタルトランスフォーメーション」をテーマに講演。また、経団連副会長である南場智子氏(ディー・エヌ・エー会長)や、CESを主催するConsumer Technology Associationのゲリー・シャピロCEO、IFAを主催するメッセ・ベルリンのイエンズ・ハイデッカーExecutive Directorがメッセージを送る予定だ。
開催初日となる10月19日午前10時30分からは、三菱UFJフィナンシャル・グループの亀澤宏規社長、NTTドコモの丸山誠治社長、マネーフォワードの辻庸介社長兼CEOによる「デジタル変革の中で新たな社会のプラットフォームを創る、わたしたちの役割とグローバルな共創」と題したパネルディスカッションが行われ、新たなデジタル社会における金融事業者や通信事業者の役割、必要とされるビジネスモデルやプラットフォームのあるべき姿、業界を超えた共創や、持続可能な社会の実現に向けた各社の貢献についてメッセージが発信されることになる。
また、同日午後2時15分からは、ポーラの及川美紀社長による「We Care More. 世界を変える、心づかいを」と題した講演が行われ、ポーラ独自のDXにより、豊かな時間の創出を目指す同社の取り組みが紹介される。
さらに、22日午前11時30分からは、「スポーツとテクノロジーの未来の形~今治からの挑戦~」と題して、元サッカー日本代表監督であり、今治.夢スポーツの会長である岡田武史氏が登壇。今治で行っている挑戦について講演する。
日米欧、アジアのキーパーソンやフロントランナーが毎日登壇「カーボンニュートラル」「5G」「モビリティ」「スーパーシティ/スマートシティ」がテーマ
会期中の4日間は、重点テーマごとに、日米欧、アジアのキーパーソンやフロントランナーが登壇する。
10月19日は、「カーボンニュートラル」をテーマに、JEITAが中心となった設立する「Green ×Digitalコンソーシアム」の設立総会や、ボッシュやデンソーといった自動車関連企業が、カーボンニュートラルの世界における取り組みを紹介。英国やフィンランドの先進的な事例が示される。
10月20日は、「5G」をテーマとし、「5G利活用2021ワークショップ」や「5G高度化に向けた最新動向2021国際ワークショップ」などを開催。5G利活用型社会デザイン推進コンソーシアムによるコンファレンスも予定している。
10月21日は「モビリティ」がテーマであり、昨年のCEATECで、2000人以上が聴講した「次世代空モビリティシンポジウム」を開催。空飛ぶクルマの国内トップランナー企業であるSkyDriveやテトラ・アビエーションのトップによる講演、大阪・関西万博に向けた次世代空モビリティに関するパネルディスカッションが予定されている。
最終日の10月22日のテーマは、「スーパーシティ/スマートシティ」。仙台市長や会津若松市長によるセッションのほか、特別企画として「首長サミット 最先端スマートシティで実現する地域社会の未来像」と題したコンファレンスを企画している。ここには、加賀市、浜松市、尾道市の各市長が登壇する予定だ。
「地域ビジョン/地域戦略セッション」も毎日開催
さらに、4日間を通じて、「地域ビジョン/地域戦略セッション」を開催。21都道府県のフロントランナーによるセッションが行われる。
「日本各地を9ブロックに分けて参加できるようにし、オンライン開催ならでの特性を生かして、オールジャパンのセッションを実現できる」という。
なお、コンファレンスの内容は、配信日の午後5時以降に、オンデマンドとして公開。さらに、2021年11月30日までアーカイブとして視聴することができる。
「どうしてもライブで観ることができない参加者も、当日夕方以降の好きな時間に見ることができるようになる。オンラインならではの特性を生かし、より多くのコンファレンスに参加してほしい」とした。
また、コンファレンスナビゲーターとして、フリーアナウンサーの榎戸教子氏が就任。来場者が興味を持つテーマにナビゲートする。
一方、CEATEC AWARDについても説明。9月24日に、一次審査通過の20点を発表しており、このなかから、総務大臣賞や経済産業大臣賞、部門賞が決定する。CEATEC AWARDの各受賞企業は、10月18日に発表する。
「オンラインでもCEATEC体験は変わらない」展示を「見て」、コンファレンスを「聴いて」、未来の社会を「感じて」「考えて」、共創に向けて「動き出す」
CEATECの鹿野エグゼクティブプロデューサーは、「ニューノーマル社会における新たなチャレンジとして、これまでにはない展示会の形を目指し、覚悟を決めて臨んだ昨年のCEATECでは、延べ15万人以上がオンライン会場を訪れた。実際に完全オンラインで開催して感じたことは、これまでのリアル開催とオンライン開催は、まったく別物であるということ。だが、無意識のうちにリアル開催を意識しながら進めていたことも痛感した。戸惑いや不安もあり、課題も残った。だが、CEATECの新たな一歩を踏み出すことができたことは大きな成果だった。2021年は、当初は幕張メッセとオンラインを組み合わせた開催を予定していたが、6月、CEATECに関わるすべての人たちの安全を最優先に考慮した結果、再び完全オンラインで開催することになった」と、これまでの経緯を説明。「今年は、ロゴの2021の部分を二重にした。リアルでの開催を思い描きながら、オンライン開催を行うことを象徴した、私自身の思いである」と述べた。
また、主催者側では、「CEATEC体験」を提唱しており、このメッセージも継続的に発信する。CEATEC体験は、展示を「見て」、コンファレンスを「聴いて」、未来の社会を「感じて」「考えて」、共創に向けて「動き出す」ことを指すが、「完全オンライン開催であっても、CEATEC体験によるバリューは変わらない。時間や場所を超えて、多くの方々にCEATEC体験をしてほしい」とした。
出展内容をいち早く公開する出展者もシャープは「浮かせて操作できるタッチディスプレイ」を出店予定
一方、シャープは、CEATEC 2021 ONLINEへの出展内容をいち早く明らかにした。
シャープブースでは、「New Normalを加速する、シャープのソリューション」をテーマに、「ニューノーマルソリューションズ」、「ニューノーマル社会を支える要素技術・デバイス」、「ニューノーマル時代のデジタルまちづくり」の3つのカテゴリーで展示する。
目玉となりそうなのは、新開発の「静電ホバータッチディスプレイ」である。ディスプレイに触れずに、指を浮かせた状態で操作が可能であるため、飲食店のセルフオーダー端末、公共施設や商業施設における受付端末、案内用サイネージなどでの利用を想定している。また、マスク着用時やパーティション越しでも相手の声がよりクリアに聞こえる窓口業務用「マイク搭載スピーカーシステム」も公開する。これらを組み合わせた提案にも注目される。
さらに、情報表示ができる次世代型パーティションとして、昨年のCEATECで話題を集めた「透明ディスプレイパーティション」や、補聴器市場に新規参入を果たした「メディカルリスニングプラグ MH-L1-B」なども紹介する。「次世代ロボット倉庫ソリューション」を参考展示する予定だ。
今後、出展各社から展示内容が、順次、発表されることになりそうだ。