【激戦区】スペインの「ヤバいラーメン屋」厳選3店をご紹介

ロケットニュース24

スペインへ入国して早1カ月。「日本食が恋しくなるでしょう」とよく聞かれるのだが、全然そんなことはない。なぜならスペインの都市部は寿司屋とラーメン屋の激戦区だから。ここでいう「ラーメン」とは中国料理ではなく、あくまでも日本のアレである。

スペイン人たちもその件をよ〜く理解しておられるようで、スペインのラーメン屋の店内は総じて “ちょっとおかしな日本風” になっちゃっているようだ。本記事では私がこの1カ月で食べ歩いたラーメン屋の中から、色々な意味で特にヤバかった店を3つご紹介しよう。

・①バルセロナ『RAMEN SHIFU』

「拉麺さん」と日本語で書かれた看板が目印の『RAMEN SHIFU』は、バルセロナのほかマドリードなどにも店舗を構えるチェーン店だ。ピーク時には行列ができることも。

入店後真っ先に目に付くのは「思い出横丁」のミニチュア看板。本物とソックリ!

「うなぎ」「お好み焼き」「刺身」「鶏めし」などののれんがガチャガチャと吊り下げられているが、どれもメニューにはない。

「まんが喫 1B」惜しい!

よく見ると「搾り」が中国語書体になっている。

スペインの人は「無料案内所」の意味をご存知なのだろうか? もちろん「やきとり」もメニューにはない。

からの金魚……

まさかのサカナクション……! お店の人がサカナクションを刺身と勘違いしていないか心配だ。

ししやも、しやこすし、ホタテすし……

和味イカグン、たちとエビ焼き、エビ酢、オきラ……

ほつき貝サラダ、鮭サラダ、黒椒とり焼き、ピチ|ズ焼き……

中華れかあ、うにすし、ガにすし、みそ汁……繰り返すが、どれもメニューにはないのでくれぐれも注意してほしい。

「東京タワー」と書かれたフスマの上に突如現れる「キッチンホステルAO」に至っては芸術の領域。

また店内の壁紙は日本の様々な「おべんとう」が印刷されたものなのだが、よく見ると「現在お取り扱いしておりません」の注意書きがチラホラ。おそらくどこかの駅弁屋のメニューを拝借したものなのだろう。風情があって大変よい。

さてランチは11.95ユーロ(約1533円)でドリンク、サイドメニュー、デザートがついてくる。サイドは「餃子」「からあげ」「わかめ」「枝豆」の中から選べるぞ。わかめ……?

箸袋には「良い食欲」の文字が。1ミリも間違っていない。

サイドの「からあげ」は日本の冷凍からあげとほぼ同レベル。メッチャうまいとかではないが、間違いなく唐揚げだ。

私がオーダーしたのは「醤油ラーメン」。見た目は100点!

麺は「日本のスーパーに売っている最も安い麺」を想像していただけると近いだろう。スープはややぬるく、 “料理に不慣れな人がお湯を沸騰させる前に茹でちゃった” といった感じ。もちろんこれは日本のラーメン屋の味と比較した場合であり、スペインでこのクオリティが食べられるなら文句なしだ。

またチャーシューに関しては日本でも勝負できるレベル。ホロホロでウマイ。

満腹になったところで登場したのは、ジャンボサイズのタピオカ入りココナッツマンゴーゼリー。

これでビールも選べて1533円。日本のラーメン屋より安いかもしれない。ちなみに店内BGMはずっとオタク系アイドルソングが流れているカオスだ。曲名当てアプリ『Shazam』で調べたところ、この日流れていた曲の一部は以下の通り。誰が選曲したというのか。


『今日も世界はアイラブユッ』ネコプラ∞
『絶対推し的大作戦』KATACOTO *BANK
『MACH DRIVE TIME!』プランクスターズ
『夏の魔法』SOL


・②バルセロナ『MUGINOYA(麦の屋)』

中心部の外れにひっそり佇む『MUGINOYA』はラーメン以外にカツ丼、うな丼、チャーハン、焼きそば、焼き鳥や揚げ出し豆腐といった居酒屋メニューも充実している。

店内のテーマは「昭和レトロ居酒屋とアニメ」ってところだろうか? メニューと関係ないのれんはお約束。

日本のお酒も充実の品揃え!

うとんイカ祭り……?

ドリンクとサイドメニューが付いたラーメンセットは10.5ユーロ(約1347円)。サイドはおにぎり、春巻き、餃子、たこ焼き、コロッケ、鳥の照り焼きから選べる。スゴイ品揃えだな。

お米が恋しかった私は迷わずおにぎりをチョイス! が……

ツナマヨっ……! しかもなぜかライスがキツめの酢飯……!

そして見た目に美しい、看板の「豚骨ラーメン」は……

なぜか中国風っ……! 八角の効いたチャーシューにパンチの効いた香味油、そしてパクチー。こいつぁかなりクセがある一品だ。日本風をイメージしていたので面食らってしまったが、こういうものだと理解すればなかなか美味である。麺にこだわりが詰まっていそう。

ちなみにMUGINOYAでもBGMは日本の歌謡曲。懐メロ多めで居酒屋風だ。あえて季節に合った曲を選んでいるのだとすれば只者ではない。


『夏の日の1993』Class
『夏の終わり』森山直太朗
『いとしのエリー』サザンオールスターズ
『全力少年』スキマスイッチ


・③『らーめん かぐら』マドリード

マドリード市内に4店舗を構える『らーめん かぐら』は、Googleのクチコミ数が1万件に迫る大人気店。


ここは私のホームステイ先の家主・ディエゴが足しげく通うラーメン店であるらしい。スペイン人に熱烈に支持されるラーメンって一体?

開店10分後に入店したらすでに客席の半数が埋まっている。帰りには行列ができていた。

落ち着いた店内。

ほどよい和風である。

唐揚げ定食やカレーも人気の様子。周囲の客のほとんどが「タコヤキ」をオーダーしているのが気になった。

私が注文したのは「とんこつ味噌ラーメン」。ドリンクとセットで10.5ユーロ(約1347円)だ。果たして……


メチャクチャウマイ。



完全にジャパン。


特にチャーシューと煮卵に関しては日本でもトップレベルのクオリティである。『らーめん かぐら』があればスペインの暮らしは安泰だ。こちらのBGMは以下の通り。


『雪の華』中島美嘉
『春よ、来い』松任谷由実
『TOMORROW』岡本真夜
『あ〜よかった』花*花


色々と不思議の多いスペインのラーメン屋。しかし日本のイタリアンやアメリカンだって、本場の人から見ればきっとこんなもんなのだろう。世界にはまだまだハイレベルなラーメン屋が存在している。今後も調査を続ける所存だ。

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.

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