東京都町田市立小学校に通っていた小学6年生の女子児童が、昨年11月にいじめを苦に自殺をしたという事件は衝撃を与えた。学校が貸与したタブレットが絡んでいたということでさらに衝撃は大きくなっている。
文部科学省は9月14日、同市教育委員会などに事実関係を確認した。
端末のチャットで、女児を「うざい」「きもい」「死んで」と呼んでいたと他の児童の証言もある。また、なりすまし被害が横行していた理由は、パスワードが児童全員共通の数字だったからだという。
また、学校の対応も問題視されている。
学校は、隠蔽したいとしかとられかねない言動を繰り返している。
このような秀逸で詳しいルポも出ている。
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ここでの問題点は二つ。
タブレットの管理がほとんどできないということと、学校があいかわらずいじめに対処できないということだ。
タブレットの管理の実際
現在のタブレットの管理は学校の担当職員に丸投げになっている。
学校にもよるが、クラスによってはタブレットをずっと見ている児童もいて、授業が成立していないのかもしれないと思われる場面が出てきている。
また、ほとんどのサイトが見られるタブレットを学習以外に使ってしまい、そのたびに生活指導の教員に「指導」され、「反省」させられる児童の姿も見られる。教員には、そのような自制心をもつのは大人にも容易ではないという理解はない。
これでは児童との信頼関係がますます壊れていくだろう。
また、年配の教員がちょっと教卓を離れた間に、児童が教員のタブレットを操作して、児童のタブレットの制限を解除するということもあるという。
もちろん、パスワードの管理もまちまちなので、今回のような悲劇的な「事故」もおきる。タブレットはもはや教員に対処できる代物ではないのだ。
GIGAスクールを推し進めるべきだという論調が多いことも、とても気になるところだ。
いじめの隠蔽
そして、あいかわらずいじめは隠蔽される。
上記のルポでは、いじめによる自殺だと担任は認めかけていたが、校長が認めようとしていない。ここまでくると、校長には不祥事を隠蔽するとても強いインセンティブがかかるような制度になっているように思える。
いじめの対応は鈍く稚拙で、ぎゃくに事件発覚後は一連の中傷のチャットを消すという周到さだ。
こちらのほうがよほど深刻だ。
保護者(親)としてできること
自殺した児童の保護者は、学校を信じなければよかったと言っている。
そのとおりだ。
いじめや学級崩壊等でいろいろ原因もあるが、ご自身のお子さんの様子が少しでもおかしいと思ったら、迷わず学校に乗り込むべきだ。連携して複数の保護者で掛け合ったほうがよい。
また、保護者は参観日以外もじっさいのクラスの様子をもっとよく見たほうがよい。学校に拒む理由はない。コロナで学校に立ち入る機会が減っているため、ますます見えづらくなっている。
またいじめにあっている子どもはぜったいに学校に行かせてはいけない。世間体など気にしないでほしい。
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このような事件が二度と起こらないでほしいが、学校のタブレット導入で、そこは無法地帯となっている。こうしている今も、苦しんでいる子供は無数にいるはずだ。