インターホンをスマートに。
Google(グーグル) Nestブランドのスマートカメラとドアホンが新しく登場しました。従来の「Nest」ブランドのDoorbellは米国等で展開されていましたが、今回のモデルからついに日本にも上陸! 待ってました! でも実際の使用感はどんな感じなのか、初代Nest Doorbellを長年愛用してきた米GizmodoのFlorence Ionによる第2世代のNest Doorbell実機使用レビューをお届けします。
ここ数年をかけて、Googleはスマートホームブランド「Nest」を独立した企業からGoogle傘下に入れて統合を進めてきました。そのおかげで、スマートディスプレイなどGoogleアシスタントと連携するガジェットと自由に組み合わせて使えるようになり、どんどん便利になりましたが、いくつかの欠点もありました。
新製品のGoogle Nest Doorbellもそのうちのひとつ。初代モデルより安くなり、デザインもリニューアル、バッテリー式になりました。もともとドアホンを持っていなくて、さらにGoogleと連携するカメラを求めている人にとっては、いくつか注意点はあるものの、賃貸住まい以外の方にはオススメできると思います。ちなみに私のような従来のNestユーザーにとっては、今回の新しいモデルは戸惑うかもしれません。
Google Nest Doorbell (2021)
これは何?:グーグルのバッテリー式の新しいスマートドアベルカメラ。
価格:2万3900円(アメリカでは180ドル)。
よいところ:めんどくさいセットアップ作業なし、デバイス上での顔認識、ピンポーンと鳴らさなくてよい。
残念なところ:設置するのにネジが必要、カメラプレビューのアクセスが遅いときがある、Google Homeアプリでのみ使用可能。
これは完全に現代のスマートドアホン
私はもともと2018年に発売された初代のNest Doorbellと暮らしていますが、その実用性はもちろん、ホリデーシーズンをテーマにした謎のチャイム音も評価していますし、引越しも経験しました。初代Nest Doorbellで気に入っていたのは、アメリカ郊外の人なら誰もが持っているだろうRIngのドアベルみたいに四角い箱っぽくないことです。
新しいNest Doorbellは、21世紀のホームアクセサリーのようですが、1970年代のアメリカの私の家にはちょっとモダン過ぎかも。高さ約12cmから16cmと、初代よりかなり大きくなっていてフラットな感じになりました。並べてみるとその差は歴然です。これは設計上、バッテリーパックを搭載するために必要な大きさなのでしょう。
また、初代のガラスのようなツヤっとした質感から、マットな質感に変わっています。Googleから、米Gizmodoにレビュー用のグレーカラーのドアベルが提供されましたが、他にもホワイト、ベージュ、グリーングレーがあります。
新しいNest Doorbellは、6倍デジタルズーム、1.3メガピクセルカメラ搭載、アスペクト比は3:4です。ちなみに有線タイプの初代Nest Doorbellのカメラは、8倍のデジタルズームで3メガピクセルでしたが、第2世代の方が光に敏感に反応していました。
また新旧モデルの間では、解像度も異なります。第2世代の解像度は960×1,280ピクセルですが、初代は1,600×1,200ピクセル。これは、 解像度を低くすることで帯域幅とバッテリーの両方を節約できるという利点からでしょう。またカメラの視野角は、初代の160度に対し145度となります。
ベルを鳴らすだけなら配線は不要ですが、Nestと互換性のあるスマートスピーカーやスマートディスプレイが自宅に設置されている必要があります。持っていない場合は、ドアの前に誰かが来たかどうかは、Google Homeアプリの通知から確認することができます。このドアベルは音声によるチャイムにも対応しますが、家が大きかったり奥の部屋にこもって仕事などしていたら聞こえない可能性があります。要注意。
また、新しいNest Doorbellは配線接続も可能で、電源も同時に共有されるため、バッテリーを使う必要がなくなります。既存の配線接続ドアホンのチャイムと連動させることで、家の中にいるときにはドアを鳴らすピンポンの音が聞こえます。また同時に、スマートフォン、もしくは自宅のGoogle スマートスピーカーやスマートディスプレイにも通知が届きます。
賃貸物件には向いていない
設置には外壁やもしくはドアに穴を開ける必要があります。
ドアの外壁の仕様にもよりますが、Nest Doorbellの取り付けに電動ドリルは不要でした。ベースプレート、2つの壁用アンカーとネジを取り付ける必要がありますが、普通のドライバーで設置可能です。ドアベルに角度をつけるための20度の角度調整用パーツとスラブのある外壁用のスペーサーが同梱されていて、ドアベル本体をベースから外すためのキーもあります。
穴を開けずにドアベルを設置する方法は箱の中の説明書に書かれていませんでした(Amazonの「Ring Video Doorbell 3」や「Ring Video Doorbell 3 Plus」のようなものを期待していたのですが)。Nest Doorbellの背面はほぼフラットなので、取り付けプレートを使わずに、背面に強力な両面テープなどを貼ればなんとかなるかもしれませんが、そうするとデバイスを充電するためのUSB-Cポートが塞がれてしまいます。無理かもしれない。
Googleアカウントが必要
Nest Doorbellを利用するには、Googleアカウントか、移行済みのNestアカウントが必要です。アメリカ等でNestユーザーだった方は、アプリの構造やビデオクリップの保存方法が異なるようなので要注意です。
Androidデバイスには電源ボタンを長押しすることでスマートホームを管理できる機能が搭載されていますが、Android 12ではこの機能の仕組みが変更され、スマートホームの管理機能は通知画面に表示される専用のタイルに移行されています。
Googleのサポートページによると、旧Nest DoorbellとNestカメラは、Alexaとの互換性があるはずですが、新しいNest Doorbellは既存のスキルを使ってデバイスをペアリングしようとしても、オプションに表示されませんでした。これはNestアカウントではなくGoogleアカウントとしてペアリングしようとしたためです。新しいモデルは、発売当初はAlexaとの互換性がないとのことです。
バッテリーを節約するための機能
第2世代のNest Doorbellは、私が家のネットワーク上にある、もともと使っていた4台の有線のNestカメラと同様に動作します。今回の新モデルでは、バッテリー式で省電力で利用できるようになっていますが、有線のNestカメラより遅くなっています。動きを検知しないとカメラは休止状態になるため、スマートディスプレイ上にプレビューを表示するのに5秒以上かかったことが何度かありました。
Nest Doorbellには、アップグレードされたTPUチップが搭載されていて、クラウド処理なしで9つの異なる物体を認識することができます。動体認識をオフラインで行なえるため、バッテリーの節約にもなりますね。Google Homeの設定から、ペット、人、車、宅配業者など、さまざな物体に対する感度を調整することができます。
Google Homeアプリからカメラを選択するとバッテリーの残量も確認できます。自分の場合は、(約1週間テストしている状態で)バッテリーは2週間もつと表示されました。6Ahのバッテリーを充電するためには、ドアベルを固定プレートから外す必要があります。これはドアベルがプレートから外れると一度電源が切れてしまうので、少し面倒だと思いました。
30%充電されるまでに約1時間かかりました。スマートフォンのような急速充電ではありませんが、2週間に1度、2時間程度の充電が必要そうです。
Nest Awareを契約すると監視機能が強化される
バッテリー式のNest Doorbellは、デバイス上でさまざまな処理が行なわれるため、Nest Awareの契約がなくても使うことができます。日本でNest Awareを契約する場合、30日間のアクティビティの動画履歴を見られる月額630円(年額だと6,300円)の基本プランと、60日間のアクティビティの動画履歴に加えて10日間の連続動画履歴が確認可能な月額 1,260円(年額だと1万2600円)のNest Aware Plusの2つのプランがあります。
契約しない場合でも、デフォルトで3時間のアクティビティ動画履歴が確認できます。
アメリカで展開している230ドル(約2万5300円)で有線式のNest Doorbellは、常時接続されるため、24時間映像と音声を記録することができるのが差別化ポイントではありますが、ほとんどの人はそこまで玄関先の監視を必要としていない、または配線が難しいので、今回の第2世代のNest Doorbellのニーズが高まるのではと思います。
プライバシーの観点から、人や物の認識がクラウド上ではなくデバイス上で行なわれることも安心感があります。アメリカでは、Nest Doorbellで記録された映像を警察から請求される可能性がありますが、Amazon Ringのソーシャルネットワーク「Neighbors」のように、警察がユーザーに直接データを請求することはできません。ただし不倫の証拠にならないように気をつける必要はあります。
全体的に、新しいNest Doorbellは、主にGoogleアシスタントを使いこなしている人には便利に使えるかも知れませんが、似たような機能の製品は他にもありますし、旧モデルの有線バージョンのほうが小さく24時間365日の録画機能もあるので、そちらに馴染んでいる人にとっては乗り換えは要らないかもしれません。
また、日本のマンションはオートロック機能が充実しているので、そもそも不要な人も多いかもしれませんね。一戸建てに住む方で、より防犯機能を高めたい、またはインターホンをスマート化したい方にとってはよさそうです。