ニューウェーブ書道

デイリーポータルZ

一筆したためます!

書道家が大きな筆で巨大な和紙に文字を書く、書道パフォーマンス。
筆をダイナミックに振りかざし、迫力があってかっこよく、書いてる本人も気分がいいに違いない。

やってみたい!

本格的にやるのは大変そうだけど、大きな筆で字を書くだけなら、意外と簡単にできるんじゃない?
 

「健やかなるときも、病めるときもアホなことだけを書くことを誓いますか?」 はい、誓います。 1974年生まれ。愛知県出身、紆余曲折の末、新潟県在住。

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> 個人サイト 日本海ぱんく通信

書道パフォーマンス用の恰好をしよう!

書道パフォーマンスのイメージ

なんといっても書道パフォーマンスは和服で大きい筆を持つところがかっこいい。

そういういでたちで「夢」とか「愛」とか「感謝」とかどこからも文句のこない前向きなことを書けばいい。これだけなら簡単にできそうだ。

ということで大きい筆はAmazonで「パフォーマンス書道モップ筆」というものを発注。

先端にはスポンジが付いており、通常時はモップ状だが軸を回すとモップ部が細く絞られる仕組み

和服はコスプレ用の紋付き袴を利用。

以前「謎の大物になってパンダカーに乗る」という記事で着用した衣装
謎の大物書道家誕生

これで書道パフォーマンスをやってみよう!

書道パフォーマンス開始

準備ができたので、さっそく「夢」とか「愛」とかなんとか一文字書いてみよう。

ブルーシートで汚れないようにする

皆さまのご多幸をお祈り申し上げまして、一筆書かせていただきます!

あなたの願いを乗せて、まいります!
俺なりの書道パフォーマンス
作品名「縁(えにし)」

ありがとうございます。人と人との縁に感謝。こうしてこの記事を読んでくれているあなたとの縁(えにし)に感謝の気持ちを込めて書き上げました。

実はただのワースト・オブ・元彼

などと思わせておいて、一文字足して未練たらしい願いを書いている可能性もあるので注意したい。

デイリーポータルZ編集部からの書類に署名する

大きい文字は書けたので次は小さい文字をということで、デイリーポータルZの書類にサインを書いてみよう。

DPZ編集部からの書類

大きい筆のままだと、はみ出してしまうので細工をほどこす。

筆の先のスポンジ部分に穴をあけて筆ペンを差し込む
そして、こう書く
「つりばんど岡村」と書いたつもりです。

このまま提出したが、今後、記事執筆の依頼がこなくなったらどうしようとかは考えないことにする。

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人前でパフォーマンスしたい!

つづいては狭い部屋を飛び出して、広い人の目につくところで豪快に書こう。ライブこそがパフォーマンスの醍醐味だ。

で、広くて人の目につくところといえば海水浴場である。

さっそく海水浴場にやってきました。

この恰好で歩くと信号のない横断歩道でもすぐに車が止まってくれることがわかった。

ビーチバレーに興じていた男子中学生たちが黙り込む。楽しい夏休みをすまない。
後方からは子供からの視線を感じる
息子たちよ、父の背中を見て育つんだぞ。どこの子か知らんが。

では屋外での書道パフォーマンスを開始しよう。

気分は武田双雲
武田双雲に出来て、俺に出来ないことがあるか(ある)
大河ドラマの題字の依頼、お待ちしています。

広いところでパフォーマンス出来たものの、ギャラリーはゼロだった。

できた作品は表札にした。

書道パフォーマンスは準備と片づけが大変

部屋と海で書道パフォーマンスをやってみてわかったことは、書くことじたいは気分がいいが、準備と後片づけがとても大変だということ。

米を研ぐとなかなか水が透き通らずに疲れるものだが、書道パフォーマンスで使用した大きい筆を洗うのは、それとはくらべものにならないほど段違いで疲れる。

書道パフォーマンスが簡単にできそうだなどと思った自分がはずかしい。

このサイズの筆だとバケツの水5回以上変えても、水は真っ黒。

また、パフォーマンス自体も本当は墨がほとばしるように殴り書きしたいのだが、掃除のこととか、まわりの迷惑を考えてしまい、墨が飛び散らないようにそっと書いてしまうのである。

俺がやりたかったのはこれじゃない。

墨汁なんて敢えて飛び散らかすようにバサーーーーーッと、ズバーーーーーッと書きたいのだ。
どうにかもっと気軽、かつ豪快に書道パフォーマンスを楽しめないものか?

墨を使わない書道の完成

気軽に書道パフォーマンスが楽しめないのは、後片づけの大変さ、そこらが汚れないようにする配慮のためであることがわかった。

つまり原因は全て「墨」である。

ということは墨を使わずに書道が出来れば、もっと気軽、かつ豪快に書道パフォーマンスが楽しめるはずだ。

と考えて思いついたのがこちら。

墨の代わりの黒いポリ袋

大きい筆の先に黒いポリ袋を何枚も連結したものをくっつける。

あっという間に完成

で、できた筆を持ってカメラの前で大きく振って

よきところでシャッターを切れば
墨で線を引いたように見える
こんなのとか
躍動的な線をひいているように見える

ほらほらこうやって、周りに墨が飛び散る心配も、準備や後片づけの手間も省ける道具ができたのである。

それどころか紙がいらないので更に気軽に楽しめる。
海に紙を持っていくのは風にあおられて大変だったし。

背中に回り込むようにも行ける
ビュンッ!
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真っ白い空間でもOK!

これさえあれば屋外に限らずもちろん屋内でも使用が可能だ。

本当の墨だったらこんな真っ白い空間で自由に筆を振りまわすなんて、あとさき考えたらできないに違いない。

が、この筆なら何の問題もないのである。

作品名 「ノ」
作品名 「クセのある〝ノ〟」
作品名 「反りかえった〝ノ〟」
作品名 「逆向きの〝ノ〟」

今のところ画数が一画のものしか表現できないものの、この筆さえあれば、墨も、紙も、練習もいらず、いつでもどこでも気軽に書道パフォーマンスを楽しめるのだ!

ぜひ全国高校書道パフォーマンス甲子園に参加される高校生にもドシドシ使ってほしい。

「書」は新たなる次元へ

今回の記事で私は、紙の上だけを表現の場としていた「書」を、筆を振れるだけの空間さえあればどこでも表現できるフェーズに突入させてしまったのかもしれない。

言い方を変えれば「書」は二次元から三次元へ活動の場を広げたのかもしれない。

つまり、これからは、すべての空間が書道用紙となったと言えるかもしれない。

というか言えないかもしれない。

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