反ワクチンの拡大は「メディア報道が原因の1つ」との指摘

GIGAZINE
2021年08月14日 20時00分
メモ



自分や自分の子どもに対するワクチン接種に反対したり、接種をためらったりする「ワクチン忌避(反ワクチン)」は、WHOが2019年1月に「世界的な健康に対する脅威トップ10」に選ぶなど、かねてから世界的な脅威でした。さらに、新型コロナウイルス感染症のパンデミック対策としてワクチンの接種が世界的に進められるようになったことで、反ワクチンは一層重大な問題となっています。反ワクチンがこれほど深刻化したのは、メディアによる報道が原因の一端ではないかと、オーストラリア・グリフィス大学の専門家らが指摘しています。

Media reports about vaccine hesitancy could contribute to the problem
https://theconversation.com/media-reports-about-vaccine-hesitancy-could-contribute-to-the-problem-161422


グリフィス大学の臨床心理学者であるヘザー・グリーン氏と、マーケティング学部の講師であるジョアン・カルリーニ氏によると、オーストラリアでは反ワクチンが大きな社会問題化しているとのこと。その原因の1つは、メディアが不用意にワクチンへの不安をあおっているからではないかと、グリーン氏らは述べました。

グリーン氏らが特に問題視しているのが、「ワクチンの接種をためらっている人がいる」というニュースが連日報道されていることです。ワクチンに対する姿勢に限らず、人の判断は他の人がどうするかという社会規範に大きな影響を受けます。例えば、アメリカの大学生647人を対象とした2020年の研究では、新型コロナウイルスワクチンを重要視する仲間が多いと感じている大学生は、「自分もワクチンを接種したい」と答える可能性が高いということが分かっています。


アメリカでの研究結果から、グリーン氏らは「ワクチンの接種をためらう人がいることがメディアで大きく取り上げられると、その考えが多くの人に広がってしまいます」と述べました。

グリーン氏らが懸念しているメディア報道としては、上記のほかに「ワクチン接種後に死亡した人がいる」というニュースが挙げられます。イタリアでは、「2014年と2015年の冬にインフルエンザワクチンの接種が実施された際に、少数の死者が出た」というニュースが大きく取り上げられ、その結果65歳以上の人のインフルエンザワクチン接種率が前年から10%も減少してしまったことがあります。

イタリアの一件では、死亡例はワクチンとは無関係だということがすぐに分かりましたが、初期に行われた報道の影響を打ち消すことはできませんでした。


一方で、メディアがワクチンについて取り上げることで、ワクチン接種率が高まる可能性もあります。高齢者のワクチン接種率と報道の関係性を分析した研究によると、見出しに「influenza(インフルエンザ)」または「flu(流感)」という単語が入っている新聞記事が多いほど、その年のインフルエンザワクチンの接種率が高い傾向が見られるとのこと。

こうした点から、グリーン氏らは報道のあり方について「ワクチン接種に関する報道は、社会的規範に沿ったもの、つまり『大多数の人が新型コロナウイルスワクチンの接種を希望している』という事実を補強するものでなければなりません。また、ワクチンに関する報道は、メリットとリスクを明確にし、国や地方自治体の保健衛生当局など信頼できる情報源が発信する情報を定期的に消費者へ届けることに念頭を置くべきでしょう」と述べました。

また、上記に加えて「メディアが自分の役割を認識しなければならないのと同様に、政府はワクチンをためらう動きを変えるよう迅速に行動する必要があります。人々は、ワクチンを接種する理由を探しており、またパンデミックから抜け出すためのロードマップが国から示されるのを切望しているからです」と述べて、政府の早急な対応の必要性も訴えました。

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