メモ
アメリカの連邦議会上院が2021年8月10日に、国内のインフラ強化を目的とした1兆ドル(約110兆円)規模のインフラ投資法案を賛成多数で可決しました。この法案には、「暗号資産取引の報告義務者である『ブローカー』の定義が曖昧なため暗号資産業界が萎縮してしまう」との指摘があり、超党派の上院議員らから修正案も提出されていましたが、修正がなされないままの上院通過となりました。
How the $1 trillion infrastructure bill will direct billions toward tech spending
https://www.cnbc.com/2021/08/10/how-the-1-trillion-infrastructure-bill-will-direct-billions-toward-tech-spending.html
$1.2 Trillion Infrastructure Bill Passes Senate With Troubling Crypto Requirements – Regulation Bitcoin News
https://news.bitcoin.com/1-2-trillion-infrastructure-bill-passes-senate-troubling-crypto-requirements/
Senate approves $1 trillion infrastructure package as crypto worries loom – The Verge
https://www.theverge.com/2021/8/10/22618448/senate-bipartisan-infrastructure-package-schumer-broadband-cryptocurrency
バイデン政権の看板政策の1つであるインフラ投資法案は、アメリカの道路・橋・水道管・ブロードバンドインターネット接続・電気自動車用の充電スタンドといった設備の改修や拡充に対し、5年間で1兆ドルを支出するというもの。2021年3月に提案された当初は、8年間で2兆ドル(約220兆円)を投じる計画でしたが、野党である共和党議員らの反発を受け規模を縮小しました。
またこの法案には、暗号資産取引に携わる事業者(ブローカー)に対して、取引情報を内国歳入庁へ報告するよう義務づける規定が盛り込まれていましたが、このブローカーの定義が曖昧なため「暗号資産のマイナーやソフトウェア開発者も義務化の対象になってしまう」との指摘が相次いでいました。そのため、超党派の議員らによりブローカーの範囲を明確化する修正案が提出されていましたが、否決されました。
巨額インフラ法案の「暗号資産取引のブローカー」の範囲を制限する超党派の修正案が否決される – GIGAZINE
7月28日に上院で審議入りしていたインフラ投資法案の決議が8月10日に実施され、民主党議員50人に加え共和党議員19人が賛成に加わったことにより、69票対30票の賛成多数で可決されました。
暗号資産のブローカーについて定義する条項が、拡大解釈が可能な状態のまま議論が進んでいることについて、反対派の議員らからは失望の声が挙がっています。ユタ州選出のマイク・リー上院議員は8月7日の議会で、「この法案は、暗号資産分野のイノベーションに冷や水を浴びせることになるでしょう。そうなれば、技術革新や技術革新に関する投資が、海外に流出してしまいます」と発言しました。
また、テキサス州選出のテッド・クルーズ上院議員はTwitterに「今回の法案には、暗号資産を消滅させることを目的とした部分が含まれています。これは悲劇的な過ちです」と投稿しています。
上院を通過したインフラ投資法案は今後、9月20日まで休会している下院に送られます。ブロックチェーン技術の推進を目指す超党派の下院議員のグループであるCongressional Blockchain Caucusは、全下院議員に宛てた書簡の中で、「問題の条項をそのままにしておくと、我が国の暗号資産投資に大きな影響を与え、イノベーションの国外流出へとつながるでしょう」と述べて、修正の必要性を訴えました。
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