Unityが354億円でストリーミング技術会社「Parsec」を買収、クラウド進出への布石か

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Unityが2021年8月10日に、2021年第2四半期の収益が2億7360万ドル(約300億円)で、11四半期連続で30%以上の成長を記録したことを示す決算報告を発表しました。飛ぶ鳥を落とす勢いのUnityは同日さらに、リモートデスクトップやストリーミング関連のソフトウェア開発会社であるParsecを3億2000万ドル(約354億円)で買収することも明らかにしました。

Unity Technologies – Unity Enters Into Agreement to Acquire Parsec
https://investors.unity.com/news/news-details/2021/Unity-Enters-Into-Agreement-to-Acquire-Parsec/default.aspx

Unity to acquire remote desktop app Parsec for $320 million | Shacknews
https://www.shacknews.com/article/126065/unity-to-acquire-remote-desktop-app-parsec-for-320-million

Unity to acquire Parsec in its biggest acquisition to date | TechCrunch
https://techcrunch.com/2021/08/10/unity-to-acquire-parsec-in-its-biggest-acquisition-to-date/

2016年に設立されたParsecは当初、オンラインプレイに対応していないゲームをインターネット経由でマルチプレイできるようにできるアプリケーションを強みとしていました。これは、ホストとなるPCで動作しているゲームの画面を録画してエンコードし、別のPCへとリアルタイムでストリーミング配信するという仕組みとのこと。

ゲーム配信ソフトの開発によって培われたParsecの低遅延で高解像度なストリーミング技術は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが本格化してからは、リモート環境でゲームを共同開発するゲーム開発者のような、クリエイターらにも支持されるようになりました。

以下のムービーを再生すると、Parsecのソフトでゲームを開発している様子を見ることができます。

Work, game, and whatever else – YouTube
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Parsecの技術について、同社の共同設立者であるBenjy BoxerCEOは「私がChris Dickson氏と共同でParsecを起業した時、私たちはこの超低遅延のストリーミング技術があれば、世界中の誰もがリアルタイムの3Dコンテンツをリモートで扱えるようになると確信しました」と話しています。

Unityは8月10日に、Parsecを約3億2000万ドルで買収する計画を発表しました。買収額はすべて現金で支払われ、第3四半期中に完了する予定とされています。企業情報データベースを提供しているCrunchbaseの調べによると、買収発表前のParsecの資本額は3300万ドル(約36億円)で、従業員数は50人とのこと。


Unityのクリエート・ソリューションズ担当シニア・バイスプレジデントであるマーク・ウィッテン氏は、IT系ニュースサイトのTechCrunchに対して、「クリエイターは今後、距離的に離れたグループで仕事をしたり、時にはオフィス、時には自宅といったハイブリッドな環境で仕事をしたりすることになるでしょう。そうなると、クリエイターはどこにいても最大限のマシンパワーを確保できる必要性に迫られることになります。Parsecは、この分野で特に大きなイノベーションを遂げた企業の好例です」と述べました。

同氏はまた、「Parsecは、Unityが持っているクラウドへの野心を支える、すばらしい基礎であることが見て取れると思います」とコメントして、今回の買収がクラウド進出への取り組みの足がかりであることを示唆しました。

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