売れる餃子の特徴は何？ そう問われたら「万人受け」……と言いたいところだが違う違うそうじゃない。何かに特化していて振り切っているものがファイナルアンサー。いわゆる見たこともない世界を見せてくれるようなやつだ。
例えば宇都宮の「正嗣（まさし）」は生姜特化型の代表みたいなものだが、新たな特化型の存在で改めて餃子の世界は広いことを思い知った。青天の霹靂（へきれき）とはこのこと。こんなにもニンニクに全振りした餃子は初めてだ!!
・宇都宮の血が入った大阪餃子
その餃子とは「キラワレ餃子」。大阪の福島にある居酒屋で、餃子の聖地・宇都宮出身のオーナー、つまりサラブレッドが経営している。今回、キラワレにもいろんなメニューがあるなかからノーマルのキラワレ餃子（30個入り2980円、都内までの送料は1090円）を通販してみた。
届いた餃子を見てみると、おそらく手作りなのだろう。ニンニクっぽいものが餃子からチラホラはみ出している。手順としては油を入れて焼いていくのは普通と変わらないが、フィニッシュ直前に「ゴマ油」を使うところに大きな違いがあった。
完成が近づくにつれて部屋内……いや、外の廊下まで漂うニンニクの臭い。嫌われても仕方ないなってくらいニンニクはぶち込んであるのが食べなくても分かる。
だが……
それがいい
ニンニクの臭いが容赦ないものの、突き抜けているだけに絶対にウマいという直感が働いてしまう。もはやニンニクの海に溺れてしまうことは不可避……！
・ジロリアンも満足するニンニク度
ただ、もう作ったからには引き返せない。まずは数々の餃子と対戦してきた餃子黒帯のGO羽鳥から意を決して食べてみた。すると……
羽鳥「むほぉ……ん、待って待って……うわっ！」
羽鳥「これスゴいパンチ力だなぁ。過去最高のニンニクだよ。振り切り方がスゴい。ここまで振り切っちゃってると二郎系ラーメンを思い出すね。これまで食べてきた餃子の中でもトップ5に入るよ。
で、振り切ってるのに整ってる。キラワレって邪道を出してるけど、繊細な邪道をやってるよ。餡がネチョッとしているあたりもまたクセになるなぁ。卵に潜らせて食べても間違いないだろうね。これはアリ！ 素晴らしい!!」
──マジか。全国各地の餃子を食べる生活を始めてから1年以上、羽鳥が大絶賛するとはかなりのウマさなのだろう。しかも、キックボクシングの試合前で減量しているなかパクパク食べたから相当気に入ったようだ。続いて私も口に入れてみると……
うわああああぁぁぁ!!!!!!!!
こ、これは振り切り具合がヤバい……けど、正直ウマい。中にはニンニクとホルモンが大量に入っているらしいが、容赦のないニンニクがこれでもかと襲いかかってきて箸が止まらない。
ウマさとニンニクの無限ループをする感じとでも言おうか。「ニンニクの臭いスゴい → ウマい → ニンニクの臭いスゴい → ウマい → ニンニクの臭いスゴい → ウマい」と頭がおかしくなってしまいそうだ。これはまるで……
ニンニクで作られたウォータースライダーを滑っているかのよう。全身ニンニクになるため食後に人と会うなら口臭ケアはマストだが、もうこんだけウマければ嫌われても構わんという気もしてくる。
中途半端さゼロの破壊力。ここまで気持ちいいくらい振り切っているなら、世のジロリアン（ラーメン二郎を愛する者たち）たちもぶっ飛べるんじゃなかろうか。ていうか、本場・宇都宮でも十分すぎるほどに戦えそうだ。
・ニンニク好きならストライク
諸刃の剣と言える餃子を大正義に押し上げたキラワレ餃子。毒を以て毒を制するという言葉があるが、ニンニクを以てニンニクを制していた。一応メニューにはヘタレ餃子もあるが、ここは食べるならキラワレ一択。ニンニクをこよなく愛する人には猛烈にオススメできる。
