HTCのVRデバイスブランド「VIVE」から、ハイエンド向けVRデバイス「VIVE Pro 2」が2021年6月30日に登場しました。片目2448×2448ピクセル・両目4896×2448ピクセルの5K解像度を実現し、さらに視野角120度・フレームレート最高120HzというVIVE Pro 2を体験する機会を得られたので、実際にPCにつないでいろんなゲームをプレイしてみました。
VIVE Pro 2の概要 | VIVE 日本
https://www.vive.com/jp/product/vive-pro2/overview/
VIVE Pro 2とコントローラー(1.0)とベースステーション(1.0)
さっそくVIVE Pro 2本体を取り出すとこんな感じ。ケーブルの長さは約5m。
ケーブル込みで、VIVE Pro 2の重さは実測で1045g。使用時に5mのケーブルは床に垂れるので、実際はもっと軽くなります。
正面部分にはトラッキング用のデュアルカメラがありました。
左側面
右側面
ゴーグル部分はこんな感じ。顔当て部分はクッションになっていて、マジックテープで固定されています。
ヘッドバンドはこんな感じで、VIVEロゴの刻まれたダイヤルを絞ることでヘッドバンドの長さを絞り、ヘッドセットをしっかり固定することができます。スピーカーは可動式のオーバーイヤー型が左右に2つずつ。左のスピーカーに音量調節ボタンが、右のスピーカーにミュートボタンがあります。
ゴーグル部分を下からみたところ。鼻の部分にはシリコン製の鼻当てがあり、視界の中に光が入ってこないようになっています。ゴーグルに向かって左にあるダイヤルが瞳孔間距離(IPD)調整用のもので、右にあるボタンはディスプレイの奥行きを調整するためのものです。
ケーブルの端子はこんな感じ。
次にヘッドセットとPCを接続するためのリンクボックス、DisplayPortケーブル、USB Type-Aケーブル。
リンクボックスはこんな感じ。中央にインジケーターがあります。
背面には技適マークやシリアルナンバーがありました。
PC側には電源ポート、DisplayPortケーブル接続用のポート、USB 3.2対応のUSB Type-Aポート。
VIVE側には、ヘッドセットケーブルの接続ポートと電源ボタン。
そしてコントローラー。今回は初代HTC Viveで使われた1.0を使います。
ベースステーション2対。ベースステーションについても、今回は初代HTC Viveで使われた1.0を使用。
さっそくセットアップ。まずは以下のページからVIVEのセットアッププログラムを入手します。
VIVE を設定する | VIVE 日本
https://www.vive.com/jp/setup/
「VIVE Cosmos、VIVE Pro、VIVE」の「個人の設定」をクリック。
「VIVE Setupをダウンロード」をクリックすると、「ViveSetup.exe」がダウンロードできます。容量は約6.2MBです。
ViveSetup.exeを起動します。HTCエンドユーザー使用許可書および使用条件とプライバシーポリシーに同意するためにチェックを入れ、「はじめましょう」をクリック。
VIVEソフトウェアとVIVE向けのアプリストア「VIVEPORT」をインストールするには、ストレージに最低18.5GBの空き容量が必要だとのこと。「インストール」をクリックします。
「デバイスの設定」画面に遷移するので、「VIVE Pro 2 Full Kit」の「ダウンロードする」を選択。
「次へ」をクリック。
VIVE Pro 2は5K解像度に対応していますが、GPUがRTX 20以上でなければ5K解像度でVRを体験することができません。今回はNVIDIA GeForce RTX3060を搭載したPCに接続しますが、ドライバの問題で注意が表示されました。今回は一旦無視して「次へ」をクリックします。
「続行する」をクリック。
インストールが始まります。
インストールが終わると、インストールが終わると、VIVE Pro 2のセットアップが始まります。「次へ」をクリック。
ここからは、指示通りにセットアップを進めながら「次へ」をクリックしていけばOK。VIVE Pro 2でVRを体験するためには、最低でも2m×1.5mの空間が必要。部屋を片付けて空間を確保した上で、ルームスケールを設定します。
なお、リンクボックスとベースステーション2つで合計3つのコンセントが必要。状況に応じては延長コードやベースステーション取り付け用の器具を用意する必要があります。
まずはベースステーションを設定します。
ベースステーションに電源ケーブルを接続したところ。
ベースステーションには4分の1インチねじの穴があるので、専用器具だけではなく一般的なカメラ用三脚にも取り付けられます。
ベースステーションは頭より高く、可能であれば2m以上高いところに設置する必要があります。また、想定しているルームスケールの対角線上に2つのベースステーションを配置する必要があります。
とりつけたら電源を入れます。
そんなわけで、ベースステーションの1つは窓枠にクリップと専用マウントで固定し……
もう1つはカメラ用三脚に取り付けてみました。
次にリンクボックスの設定を行います。各種ケーブルと電源ケーブルをつなぎます。
リンクボックスをまずPCに接続。
ヘッドセットを用意します。
リンクボックスにヘッドセットのケーブルを接続します。電源を入れると、USBとDisplayPortの接続確認が行われます。
次にコントローラーを用意します。
コントローラーの電源を入れます。
コントローラー2つのペアリングを行います。ペアリングに成功すると、コントローラーのステータスライトが緑色に変化します。
最後に「ルームセットアップ」を行います。
ここですでにSteamを導入していると、SteamVRが起動。ルームスケールと立位のみの2つが選択できます。今回はひとまず「立位のみ」を選択。
トラッキングを確立するため、2つのベースステーションの間でヘッドセットをかかげ、「次へ」をクリックします。
ヘッドセットの正面方向と空間の中央を設定するため、中央に設定したいポイントに立って正面にしたい方向にヘッドセットを向け、「中央を測定」を押した後に「次へ」をクリック。
床の高さを定めます。ヘッドセットを床に置いて、「床をキャリブレーション」をクリックし、「次へ」をクリックします。これですべての設定が終了。
ヘッドセットのヘッドバンドを持ち上げてゴーグル部分を顔に当てて、ピントが合う位置を探ります。
ピントが合う位置を見つけたら、そのままヘットバンドをおろして……
ダイヤルを回してガッチリと固定します。
スピーカーを下ろして耳に当てます。
これで装着完了。
PC接続型のVIVE Pro 2は、VIVEPORTで直接VRコンテンツを起動できますが、ゲーム配信プラットフォーム・SteamのSteamVRでさまざまなVRゲームを遊んだりVRコンテンツを体験したりすることが可能です。実際にVIVE Pro 2でSteamVRのホームを歩き回ってみたところが以下。5K解像度・90Hzでヘッドセット内ではかなりキレイに世界が見え、さらに視野角120度によって空間が視界を包み込んでいるような感覚が得られました。
VIVE Pro 2でSteamVRのホームをうろうろするところ – YouTube
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さらに、Steamを提供するValveが無料で配信しているVRゲーム「The Lab」をプレイしてみました。The Labには複数のコンテンツがあるのですが、その中でも特に熱いのが弓で敵兵を撃つディフェンス型ゲームの「Longbow」です。実際にLongbowを遊んでみたところが以下のムービー。
VIVE Pro 2で「The Lab」のVR空間で弓を打つ – YouTube
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左手で弓を持ち、右手で弦を引く様子。VIVE Pro 2はベースステーションでヘッドセットやコントローラーの位置を把握できるので、ヘッドセットの方向やコントローラーの位置の認識精度が高いのが特長。また、激しい動きのある画面でもモーションブラーが減り、ディスプレイ解像度も高いので網目模様が見えてしまうスクリーンドア効果ほとんど感じられませんでした。本当に弓を引き絞って相手に向けて矢を放つ動作がそのまま弓矢を撃つ操作につながり、VRならではの体験を楽しめます。
次にVRの音楽ゲームとして定番のタイトル「Beat Saber」をプレイしてみました。以下のムービーは実際のプレイをPCでモニタリングしたところ。
VIVE Pro 2で「Beat Saber」をプレイしたところ – YouTube
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VIVE Pro 2は90Hz~120Hzという高フレームレートを体験できるので、映像の動きが全体的に滑らかな印象です。
ベースステーションでヘッドセットの位置をしっかり認識するので、しゃがんだり体を傾けたりという大きな動きにも遅延なく対応します。ただし、PCに接続する都合上、どうしても5mのケーブルをひきずらなくてはいけないのは賛否分かれるところ。仕方がない部分ではありますが、VIVE Focus 3やOculus Quest 2といったスタンドアローン型VRヘッドセットを体験していると、体を大きく動かすVRゲームをプレイする際にどうしてもケーブルが気になり動きが制約されるのが少しわずらわしく感じました。
そして、VRで女の子と触れ合う体験ができる「VRカノジョ」をプレイしたところが以下のムービー。解像度が上がり、視野角が広くなったことで、「部屋にいる感覚」がよりリアルになった印象を受けました。また、スピーカーの音質のクオリティも上がっているので、没入感はこれまでのVRヘッドセットよりも大きく上がっているといえます。さらに、パフォーマンスを「クオリティ」「ハイクオリティ」に上げると、それだけ画質も非常によくなりますが、PCのパワーがいっぱいいっぱいになったためか、カクカクするようになりました。
「VRカノジョ」をVIVE Pro 2でプレイすると部屋の広さやテクスチャがリアルに感じられる – YouTube
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VIVE Pro 2はスタンドアローン型のVRデバイスと異なり、PCで提供されているVRコンテンツをプレイでき、有志が制作したMODの導入も可能というのが特徴。公式プラットフォーム以外で配信されているアプリやコンテンツにもアクセスできます。ただし、5K解像度を発揮するには一定以上のPCスペックが求められる上に、記事作成時点で5K解像度を全力で楽しめるコンテンツが非常に少ないのは注意が必要。それでも最先端のVRコンテンツを体験できるのは魅力的といえます。
VIVE Pro 2の定価は、ヘッドセットのみで税込み10万3400円。Amazon.co.jpでも注文可能です。さらに2021年8月にはコントローラーとベースステーションがセットになったフルキットが登場する予定。
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