Googleがフォートナイトの開発元・Epic Gamesの買収を目論んでいたことが明らかに

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ゲームエンジンのUnreal Engineや人気バトルロイヤルゲーム「フォートナイト」の開発元として知られるEpic Gamesは、AppleのApp StoreやGoogleのGoogle Playといったアプリストアが、サードパーティー製アプリの売上の30%を手数料として徴収することを不服として、両社に対して訴えを起こしています。この訴訟に際して裁判所に提出された書類から、GoogleがEpic Gamesの買収を検討していたことが明らかになりました。

Google considered buying ‘some or all’ of Epic during Fortnite clash, court documents say – The Verge
https://www.theverge.com/2021/8/6/22612921/google-epic-antitrust-case-court-filings-unsealed

Epic Gamesは2021年5月からAppleとのトライアル(対審)をスタートしていますが、AppleだけでなくGoogleとの間でも訴訟を繰り広げています。Epic GamesはGoogleが反トラスト法(独占禁止法)に違反するとして訴訟を提起しており、訴状の中で「Googleが特定の企業との間で密接な関係を築いている」と指摘。例えば、GoogleはAppleのウェブブラウザであるSafariでGoogle検索をデフォルトの検索プロバイダーとするために、80億~120億ドル(約8800億~1兆3000億円)を支払っており、この2社の緊密な関係が反競争的な行為につながっていると指摘しています。

この訴訟に関する最新の資料で、Epic Gamesは「フォートナイトのAndroid版アプリを、Google Playを回避してアプリを配布するサイドローディングする計画がGoogleにより脅かされた」と主張しています。海外メディアのThe Vergeは「Epic Gamesが、Googleは独占利益を分配することでビジネスパートナーに対して競争を排除することを同意してもらい、消費者や開発者に競争力のある代替品を提供しようとするEpic Gamesなどの取り組みを阻害しようとしていました。実際、Epic Gamesのサイドローディング計画を阻害するために、Googleは弊社の一部あるいはすべての買収を検討していたこともあります」と記し、GoogleがEpic Gamesの買収を計画していたと報じました。

The Vergeの報道に対して、Epic Gamesのティム・スウィーニーCEOは「GoogleがEpic Gamesの買収を検討していたことを、当時は知りませんでした。しかし、訴訟に関する裁判所の命令により、GoogleがEpic Gamesの買収を検討し、Google Playに対抗しようと我々が計画していたサイドローディングプロジェクトを邪魔しようとしていたことが今となって明らかになりました」とツイートしています。


なお、スウィーニーCEOは「この買収がEpic Gamesを買収するためのものだったのか、それともある種の敵対的買収だったのかは不明です。Googleはサイドローディングについて『率直に言ってひどい』と言いながら、Androidを『オープンプラットフォーム』と公に宣伝しています」とも述べました。


さらに、Epic GamesはAndroid版のフォートナイトアプリをリリースするに際して、Google側から特別な取引を提供されたと主張しています。訴状の中には、「Googleのあるマネージャーは、Epic Gamesの副社長兼共同創設者に連絡し、Epic Games側が特別な取引について関心があるかを評価し、特にアプリを直接ダウンロードするサイドローディングなどの、『Androidでフォートナイトアプリを入手する方法』について話し合いました。Googleのマネージャーは会話履歴の中で、フォートナイトアプリを直接ダウンロードできるようにすることについて『率直に言ってひどい』『ひどい経験』と発言しており、一方でEpic Games側は『ほとんどの人が15以上の手順を踏まなくて済むようにする必要がある』と訴えていました」と書かれており、別の側面からもGoogle側がサイドローディングを嫌っていたことが伺えます。

また、Google社員は「Response to Epic(Epic Gamesへの反応)」というタイトルの内部文書の中で、アプリを直接ダウンロードすることによる弊害は「ユーザーにとっての悪い体験につながる」だけでなく、「アプリへのリーチが減り、Epic Gamesにとって大きな機会損失につながる」と言及しています。加えて、「今後のフォートナイトアプリのアップデートではターゲティングやアップデート体験が課題となる」「直接ダウンロードするという方法は、悪意のあるアプリとの関連性が高く、Epic Gamesのブランドや顧客層とは相いれない」「Google Playにはフォートナイトを検索する数十億人ものユーザーが存在するため、アプリをウェブ上から直接ダウンロードするという方法はユーザーに大きな混乱をもたらす」とも説明しており、Epic Gamesのサイドローディング計画が間違ったものであると説得を試みていたことがわかります。


Epic GamesはGoogleの独占禁止法違反について、36の州とコロンビア特別区で訴えを起こしており、各州の司法長官グループも「AndroidはGoogleの主張よりもはるかにオープンではない」と言及しています。具体的には、GoogleはAndroidスマートフォンにおけるサードパーティーアプリストアを制限しており、アプリを直接ダウンロードするサイドローディングなどについても厳しい制限を加えていると指摘しています。

一方、Googleは訴訟の中で「オープンなAndroidエコシステムにより、開発者は複数のアプリストアを通じてアプリを配布可能となっています。また、Google Playを使用することを選択したゲーム開発者のために、Googleには公平でユーザーの安全を保つための一貫したポリシーがあります」「フォートナイトは引き続きAndroidで利用可能ですが、ポリシーに違反しているためGoogle Playでは配信されていません。我々はこれらのメリットのない主張から身を守り続けます」と主張しています。

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